米国;在ロシア米国大使館等の現地職員解雇に続いて、24人もの駐米ロシア外交官の退去を勧告【米・ロシアメディア】
8月2日付米
『ニューズウィーク』誌:「ロシア、米国が後任を認めない条件でロシア外交官24人の退去を勧告と非難」
在ワシントンDCロシア大使館によると、米ロ間外交問題の流れの中で、米国側からロシア外交官24人が9月3日までに退去するよう求められ、また、後任の赴任も認められていないと明かした。
これは、先月末、米国がロシア側の求めに従って、在ロシア米国大使館等に勤務する200人近い現地職員を止む無く解雇した事態に続くものである。...
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8月2日付米
『ニューズウィーク』誌:「ロシア、米国が後任を認めない条件でロシア外交官24人の退去を勧告と非難」
在ワシントンDCロシア大使館によると、米ロ間外交問題の流れの中で、米国側からロシア外交官24人が9月3日までに退去するよう求められ、また、後任の赴任も認められていないと明かした。
これは、先月末、米国がロシア側の求めに従って、在ロシア米国大使館等に勤務する200人近い現地職員を止む無く解雇した事態に続くものである。
ロシアのアナトリー・アントノフ大使(66歳)が、『ナショナル・インタレスト』誌(1985年刊行の国際関係専門誌)のインタビューの中で述べたものである。
同大使は、“米国がビザ発給条件を非常に厳格化したため、退去を求められた外交官24人の後任は選定できない”と言及した。
同大使はまた、今年6月にジュネーブ(スイス)で開催されたウラジーミル・プーチン大統領(68歳)とジョー・バイデン大統領(78歳)の首脳会談以降、残念ながら両国間関係は何ら改善されていないと吐露した。
同首脳会談における数少ない合意事項のひとつで、同大使及びジョン・サリバン米国大使(62歳)がそれぞれ任地に復帰している。
更に同大使は、“米国による、言わば排除と同等のロシア外交官退去措置は、こじつけられたものだ”とし、“米国務省は昨年12月、駐米ロシア外交官の在留期間を一方的に3年に限定するという、他の国には行っていない措置を講じている”と非難した。
なお、米国側は、かかる一連の対ロシア制裁導入・強化措置の理由として、2020年米大統領選へのロシア介入疑惑、英国滞在中の元ロシア人スパイ服毒事件、野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(45歳)の不当逮捕及び同氏支持者への取り締まり、更に、米政府省庁が採用しているソーラーウィンズ社(1998年設立)製ソフトウェアへのサイバー攻撃等々を挙げている。
ただ、ロシア側は上記のいずれも関与を否定している。
一方、8月3日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「駐米ロシア大使、米国側がロシア外交官のビザ発給条件を改悪と非難」
アントノフ駐米ロシア大使は8月2日、『スプートニク』のインタビューに答えて、米国務省はロシア外交官の取り扱いについて記者団をミスリードしていると非難した。
同大使によると、ロシア側から米国に対して、双方の外交官の滞在ビザ1年の延長措置を取ることを繰り返して要請していたが、米国側はこれをはぐらかそうとしているという。
実際、ロシア側は米国政府に対して、約130人のロシア外交官及びその家族に対するビザ延長を申請していたが、公使参事官1名のビザ延長を認めただけだとする。
一方、ロシア側は同時期に、22人の駐ロ米国外交官のビザ延長を認めている。
同大使は更に、米国務省のネッド・プライス報道官(38歳)が声明で、ロシア側が在ロシア米国大使館等での現地職員雇用を禁止したことでロシアにおける米国外交官の業務に支障を来していると言及しているが、米国におけるロシア外交官の扱いに対する現状を糊塗しようとするものであり、記者団に誤解を生じせしめる懸念がある、とも言及した。
同大使によれば、“米国側の措置によってロシア外交官の駐米が叶わなくなり、しかも決定から72時間以内の退去を求められていることから、彼らの私財の処分や現地職員の解雇等、苦渋に満ちた対応を迫られている”という。
最後に同大使は、米国側が昨年12月にロシア外交官の駐在期間について3年を上限とするとの一方的な措置や、今回の24人のロシア外交官の退去勧告等、米国政府は、ロシアの外交官態勢に悪影響を及ぼそうといろいろな手段を持ち出していると非難している。
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バイデン新政権;中国対峙の外交方針の下、米軍艦による南シナ海・台湾海峡の自由航行頻度は維持?【米・ロシアメディア】
3月16日付GLOBALi「
バイデン新政権;アジア重点政策の下、中国対峙のためアジア同盟国との連携再構築」で報じたとおり、ジョー・バイデン大統領(78歳)は、四ヵ国戦略対話(クワッド会議、注1後記)サミット開催主導を皮切りに、国務長官・国防長官の初外遊先として日本・韓国を訪問させ、更に、国防長官には訪印もさせる積極策を講じている。そこで注目されるのが、トランプ前政権下で俄かに増加した、米軍艦による南シナ海及び台湾海峡を横断しての“航行の自由作戦(FONOP)”が、今後も高い頻度を以て中国牽制のために実施されるのかという点である。
3月15日付米
『AP通信』:「中国牽制のため、トランプ政権下で米海軍のFONOP頻発」
中国は、南シナ海の90%前後を自国の主権下にあるとし、また、台湾は中国の領土だと主張して、一方的に様々な行動に出てきている。
そこで米政府は、中国がこれらの地域で軍事力を以て制圧し、米国の影響力を減退させようとしていると懸念し、米軍艦を同地域に派遣して中国牽制に出ている。
特に、中国に対して貿易・最先端技術・新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題等でどぎつい対応を繰り広げたトランプ政権下では、南シナ海の中国人工島周辺でのFONOPを2019年、2020年とそれぞれ10度ずつ、また、台湾海峡横断航行も2020年に13度と、過去14年間で最多回数実行されている。...
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3月15日付米
『AP通信』:「中国牽制のため、トランプ政権下で米海軍のFONOP頻発」
中国は、南シナ海の90%前後を自国の主権下にあるとし、また、台湾は中国の領土だと主張して、一方的に様々な行動に出てきている。
そこで米政府は、中国がこれらの地域で軍事力を以て制圧し、米国の影響力を減退させようとしていると懸念し、米軍艦を同地域に派遣して中国牽制に出ている。
特に、中国に対して貿易・最先端技術・新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題等でどぎつい対応を繰り広げたトランプ政権下では、南シナ海の中国人工島周辺でのFONOPを2019年、2020年とそれぞれ10度ずつ、また、台湾海峡横断航行も2020年に13度と、過去14年間で最多回数実行されている。
このFONOP航行は、国際法に基づくものと主張できるだけでなく、具体的な武力衝突なしに目に見える形で対中国牽制が可能となるため有効と考えられる。
バイデン新政権下でも、南シナ海におけるFONOP継続は実行される可能性があり、2月17日にはミサイル駆逐艦“ラッセル”(1995年就役)がスプラトリー諸島(南沙諸島)周辺海域においてFONOPを実施している。
その際、米海軍第7艦隊は、“違法かつ一方的な海洋活動は、南シナ海周辺国にとって、同海域における自由航行・飛行、自由貿易、自由経済等への深刻な脅威となる”として、FONOP実施の理由を公式表明している。
一方、台湾海峡横断も同様の作戦が継続されるとみられるものの、米国はかつて“一つの中国原則”を公認している手前、中国の主張を露骨に批判することがためらわれる。
そこで、オバマ政権下では、中東からアジアへの重点政策転換を経て最後の2年間(2015~2016年)ではそれぞれ十数回横断航行していたが、トランプ政権下になっての最初の2年間(2017~2018年)では僅か数回しか実施されなかった。
ただ、冒頭で触れたとおり、形振り構わなくなったトランプ政権は、2019年に9度、2020年に直近最多となる13度も実行している。
なお、バイデン政権下での台湾海峡横断は、3月10日にミサイル駆逐艦“ジョン・フィン”(2017年就役)が横断航行したことで2度目の実施となっている。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米軍、2020年に南シナ海で最多となるFONOP作戦及び監視飛行を実施」
北京大学(1898年設立)傘下のシンクタンク、南シナ海問題率先調査(SCSPI、2019年設立)が直近で発表した調査報告によると、米国は2020年、南シナ海においてこれまで最多となるFONOP作戦及び監視飛行を実施したという。
また、同海域での軍事演習も、前年より回数は減っているものの、単に軍事力を見せつけることに留まらず、将来の戦闘に備えての実戦訓練の様相を呈しているとする。
SCSPIによると、衛星写真や公開されているデータから分析したものなので、一部不正確な部分はあるとしながらも、次のように事態を詳述している。
<監視飛行>
・少なくとものべ1,000回に及ぶ偵察飛行を中国沿岸部等で実施。
・烏山空軍基地(オサン、ソウル南部)、嘉手納空軍基地(沖縄)、アンダーセン空軍基地(グアム)及びクラーク空軍基地(フィリピン・ルソン島)所属の様々な偵察機による監視飛行。
・民間の軍需産業保有の航空機を偵察機に起用しても情報収集。
・パラセル諸島(西沙諸島)海域で5度、スプラトリー諸島海域で4度FONOP作戦実行。
・2016年3度、2017年4度、2018年5度、2019年8度と、従来実績より最多。
・米国は、海洋法に関する国連条約(UNCLOS、注2後記)を依然批准していないにも拘らず、同条約に則っての作戦だと主張。
・更に米国務省は2020年7月になって初めて、中国が南シナ海において主張する九段線(同海域の約90%をカバー)を全面否定。
・一方、台湾海峡横断航行も過去最多となる13度実施(従来の実績は、2007~2009年:6度ずつ、2010年:4度、2011年9度、2012年10度、2013年11度、2014年5度、2015年11度、2016年12度、2017年5度、2018年3度、2019年9度)。
・台湾は中国の領土の一部であることを米国も公式に認めているにも拘らず、中国による侵略に対応するためとして、台湾宛に武器供与を継続。
<戦闘に備えての実戦訓練>
・COVID-19感染問題下で、多くの米軍艦がそれぞれの港での停泊を余儀なくされ、演習自体の回数は減っているものの、戦闘に備えての実戦訓練の様相。
・特に、原子力空母“ロナルド・レーガン”(2003年就役)が率いる空母打撃群による南シナ海における実戦訓練と思しき演習が4ヵ月超にわたり実施。
・また、台湾海峡周辺においても、監視及び目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)搭載の対地版早期警戒管制機E-8Cによって20度近くも偵察飛行。
・更に、別の実戦訓練の一環で、戦略爆撃機B-52ストラスフォートレス(成層圏の要塞の意)及び超音速戦略爆撃機B-1Bを台湾北部からフィリピン南部の広範囲にわたって飛行訓練実施。
(注1)クワッド会議:非公式な戦略的同盟を組んでいる日・米・豪・印の四ヵ国における会談で、二ヵ国同盟によって維持。対話は2007年当時、安倍晋三首相(当時53歳)によって提唱され、その後ディック・チェイニー副大統領(同67歳)の支援を得て、ジョン・ハワード首相(同68歳)とマンモハン・シン首相(同75歳)が参加して開催。この対話によって、インド南西端で毎年開催されるマラバール演習(四ヵ国合同演習)が実施されている。
(注2)UNCLOS:海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月に署名開放、1994年11月に発効した条約。国際海洋法において、最も普遍的・包括的な条約であり、基本条約であるため、別名「海の憲法」とも呼ばれる。なお、世界の大洋に面しているにも拘らず、依然非締結であるのは、米国、トルコ、ペルー、ベネズエラ。
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