米・フィリピン・マレーシア・中国メディア;アジアから見た米大統領選の行方(2)(2016/11/10)
11月9日付
Globali「アジアから見た米大統領選の行方」の中で、“どちらが米大統領選で勝とうとも、アジア諸国は対米戦略を見直すことになろう”と報じた。そして、大方の予想と期待に反して、ドナルド・トランプ共和党候補が勝利を収めたことから、「トランプ・ショック」でアジアの株式市場は一時的に大荒れとなったが、トランプ氏への警戒感が後退して米市場が大幅上昇に転じたことから、アジア市場も軒並み値を上げた。また、ヒラリー・クリントン候補よりもトランプ候補を好ましいと思っていたフィリピンのドゥテルテ大統領及びインドのモディ首相は、それぞれトランプ氏の勝利を祝福している。
11月10日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「アジア市場、トランプ・ショックから立ち直り反発上昇」
「●トランプ・ショックを受けて11月9日に急落したアジア市場は、11月10日に反発上昇。
・日経平均株価:前日▼5%下落に対して、+7%上昇。
・豪州市場:+3.3%反発上昇と、1日の上げ幅としては2011年以来最大。
・上海市場:+1.3%。...
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11月10日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「アジア市場、トランプ・ショックから立ち直り反発上昇」
「●トランプ・ショックを受けて11月9日に急落したアジア市場は、11月10日に反発上昇。
・日経平均株価:前日▼5%下落に対して、+7%上昇。
・豪州市場:+3.3%反発上昇と、1日の上げ幅としては2011年以来最大。
・上海市場:+1.3%。
●MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インデックス)のアジア太平洋総合株価指数も、前日の▼2.4%から+2%へと反発上昇。」
同日付米
『CNBCニュース』:「ドナルド・トランプ候補の米大統領選勝利で、人民元は対
ドル6年振りの安値」
「●11月10日の人民元の対ドル換算レートは、前日の6.7769人民元から6.7918人民元へと下落し、2010年8月以来の安値。
●米ドルは11月9日、トランプ・ショックの影響で一時下落したが、共和党政権が経済成長後押しのための金融刺激策を実施するとの期待で米国債利回りが上昇したことを受けて、11月10日の為替市場では反発して急上昇。
●トランプ氏は選挙戦の最中、中国が意図的に人民元安を誘導して対米輸出を有利にしていることから、重い関税を課すと述べていたが、皮肉にも更に人民元安の状況。
●市場関係者は、今後共和党政権がどのような対中経済政策を取るのか注視。」
同日付フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙:「ドゥテルテ氏、トランプ候補の勝利で対米
政策軟化か」
「●マレーシア訪問中のロドリゴ・ドゥテルテ大統領は11月9日夜、フィリピン・コミュニティの聴衆を前に、トランプ氏の大統領選勝利を祝福するとともに、今後は米国に敵愾心を見せることはせず、お互いに相手を尊重して二国間関係を継続することに期待すると発言。」
同日付マレーシア
『ザ・スター・オンライン』(
『AFP通信』配信):「インドのモディ首相
がトランプ氏勝利を祝福」
「●ナレンドラ・モディ首相は11月9日、トランプ氏の大統領選勝利を祝福するとともに、彼が選挙期間中に示したインドへの友好の意思表示に感謝するとツイート。
●また、今後インド・米国間関係を更に強化すべく協力していくことを期待するともコメント。」
同日付中国
『環球時報』:「専門家:トランプ政権は中国経済に影響を与えようが必ずしも
悪いことはなかろうと分析」
「●トランプ候補は遊説中、中国貿易に対して批判的な発言が多く、新大統領になって、対中政策が厳しくなり、中国からの対米輸出や投資が鈍ることが予想。
●ただ、それも短期的なもので、長期的観点からは、米中は相互に大きく依存している関係上、大きく損なわれることはないと期待。
●何故なら、トランプ氏は中国製品に45%もの関税を課すなどの暴言を吐いていたが、国際貿易のバリュー・チェーン(注後記)は米中二国間に留まらないことから、このような無謀な措置は中国のみならず、米国そのものにも悪影響をもたらすことになるため、実際の政策に反映されることはないと分析。
●更に、人民元レートへの圧力が弱まり、結果的に人民元の安定へと繋がることで、中国金融政策にも追い風となると評価。」
(注)バリュー・チェーン(価値連鎖):米経営学者のマイケル・ポーターが著書「競争優位の戦略」(1985年)の中で用いた言葉。バリュー・チェーンの活動を主活動と支援活動に分類。主活動は購買物流、オペレーション(製造)、出荷物流、マーケティング・販売、サービスからなり、支援活動は企業インフラ、人材資源管理、技術開発、調達から構成と説明。
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シンガポール・カンボジア・マレーシア・インドネシアメディア;東南アジアから見た米大統領予備選(2016/03/22)
先週、中東及び中南米メディアの報道について触れたので、今回は東南アジアメディアがどう報道しているかみてみたい。
3月18日付シンガポール
『ザ・ストレイツ・タイムズ』紙の報道記事「トランプ大統領の誕生は、イスラム過激派と同じくらい世界にとって脅威」:
「・英国の調査グループ、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU、注後記)が発表した世界リスク分析・評価によると、トランプ大統領の誕生は、世界経済にとって、イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)と同程度の脅威。
・トランプ候補が主張する、反イスラム、反移民政策、更には異常な程までに自由貿易に敵対する姿勢から、世界のリスク度(1~25段階で評価)で12と評価。...
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3月18日付シンガポール
『ザ・ストレイツ・タイムズ』紙の報道記事「トランプ大統領の誕生は、イスラム過激派と同じくらい世界にとって脅威」:
「・英国の調査グループ、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU、注後記)が発表した世界リスク分析・評価によると、トランプ大統領の誕生は、世界経済にとって、イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)と同程度の脅威。
・トランプ候補が主張する、反イスラム、反移民政策、更には異常な程までに自由貿易に敵対する姿勢から、世界のリスク度(1~25段階で評価)で12と評価。
・因みに、最高リスクは、20;中国経済のハードランディング、続いて16;ロシアのウクライナ・シリア干渉、及び、通貨混乱による新興国債務超過、そして15;域内外からのプレッシャーによる欧州連合(EU)分裂、更に、8;英国のEU離脱、及び、南シナ海における中国の軍事衝突。」
同日付カンボジア
『カンボジアン・タイムズ』紙の報道記事「EIU、トランプ大統領の誕生を深刻な世界リスクのひとつと評価」:
「・EIUがトランプ候補によって世界経済リスクが高くなるとしたのは、反自由貿易発言の他、中国の為替政策を何度も批判し、更には、中東の問題やイスラム過激派のテロ行為に対して極端な右傾発言(テロリストは家族もろとも皆殺し、シリアに総攻撃をかけてIS掃討)等々から、やがて貿易戦争をもたらす恐れがあると評価したこと。
・ただ、EIUは、トランプ候補が共和党代表指名を獲得しても、民主党の代表と目されるクリントン候補には勝てないだろうと予測。」
同日付マレーシア
『ザ・スター』オンラインニュースの報道記事「ロシア政府、トランプ候補が選挙ビデオでロシアを侮辱したと抗議」:
「・ロシア政府は3月17日、トランプ候補の選挙ビデオに、ロシアが正に戦っているISの黒装束の戦闘員とともにプーチン大統領を登場させ、民主党のクリントン候補に敵対させるような映像を流したことは、ロシアを侮辱するものとして猛烈に抗議。
・ロシア国営テレビも、これまではトランプ候補をロシア側の考えに近いという評価で報道してきたが、今回の悪質なビデオ映像を以て、冷戦時代と同様の反ロシアキャンペーンを張っているとして非難。」
同日付インドネシア
『ジャカルタ・グローブ』紙の報道記事「ロイター通信世論調査で、米国女性の半数がトランプ候補を拒絶」:
「・ロイター通信が3月1~15日の間、任意抽出の5,400人にアンケートしたところ、去年の10月には40%だったのに、今回はさらに増えて半数の女性が拒絶反応。
・米連邦国勢調査局によると、1996年以降の大統領選挙で、男性より女性の投票率が高いとの結果ゆえ、トランプ候補にとっては手痛い反応。
・トランプ候補が、女性TVコメンテーターや女性ジャーナリストを非難する発言を繰り返していることで、特に民主党支持の女性から忌み嫌われている模様。
・更に、反トランプ陣営からは、かつてトランプ候補が女性のことを“太った豚”とか“犬”と呼んでいたなどと糾弾する映像。」
(注)EIU:英国の定期刊行物
『エコノミスト』の調査部門で1946年設立。民主主義指数という一覧を2006年から隔年で、また世界平和度指数やクオリティ・オブ・ライフ インデックスなどといった指数一覧を発表。
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