史上稀にみる誹謗中傷に明け暮れた、米大統領選の結果がもうすぐ判明する。米国のみならず、国際社会のリーダー的役割を担う米大統領選挙が、“どちらが、より嫌いでないか”という消却方で決まるという状況に、米国民のみならず、多くの国から失望の声が聞こえる。オバマ大統領が“アジア太平洋重点政策”に挙げたアジアの国も、冷やかに見ているようである。
11月8日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「アジア、どちらが米大統領選で勝とうとも米戦略見直し必至」
「●日本の元外交官は、日本側がより好ましいと思うヒラリー・クリントン氏が仮に勝利しようとも、“アジア太平洋重点政策”を進めるに当っては、米国の信頼を取り戻すことが必須と発言。
●何故なら、ひとつには、アジア太平洋諸国が自由貿易発展を願って、漸く基本合意に漕ぎ着けた「環太平洋戦略的経済協定(TPP)」について、ドナルド・トランプ候補だけでなく、クリントン候補も選挙中は反対を表明していたこと、二つ目は、誹謗中傷・暴言等で名立たるトランプ氏を、曲りなりにも共和党代表候補に選んだという米国民に対する批判の目があること。
●インドネシアのバスリ前財務相も、TPPは中国排除の、言わば“アジア太平洋重点政策”を推し進める上で米国にとって最重要ツールであるにも拘らず、両候補がいずれもこれに否定的であることから、アジアにおける自由主義貿易推進の先進国、特に日本、韓国、台湾、シンガポールなどが、今後の対米戦略に懸念を抱いているとみられること。
●更に、シンガポールのアジア研究専門家のバジパイ教授も、米国がTPPから離脱するとなれば、それは中国がアジア地域での影響力増大を獲得することを意味すると解説。
●現実問題、既にフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領、マレーシアのナジブ・ラザク首相は、米国を見限って中国寄りの政策を推進。」
同日付シンガポール
『チャネル・ニュース・アジア』オンラインニュース(
『AFP通信』配
信):「アジア市場はクリントン氏勝利に期待して上昇せるも、投資家は苛立ち」
「●11月8日のアジア市場は、クリントン候補が勝利するとの期待の下、軒並み上昇。
●香港+0.5%、シドニー+0.1%、ソウル+0.3%、シンガポール+0.7%、上海+0.5%。
●ウェリントン(ニュージーランド)、台北、マニラ市場も上昇したが、日経株価は若干下落。
●また、ロンドン▼0.1%、パリ▼0.2%、フランクフルト横ばいと、欧州市場は悲観的。」
同日付中国
『人民日報』:「どちらの候補が勝とうが、米大統領選は“偽物の”民主主義を露呈」
「●今回の米大統領選が民主主義とはほど遠いと言える第一の理由は、二人の候補が、政策論争ならぬ誹謗中傷合戦に終始。
●第二に、民主党候補にクリントン氏が決まった途端、敵である共和党の重鎮たちが、トランプ候補を落選させるべく、共和党員にクリントン氏への投票を呼びかけ、更には、(中立であるべき)大手メディアの多くが、クリントン氏支持を公にしたこと。
●また、米経済、社会、政治をみてみても、米国が“病んでいる”ことが明白:
・米経済は成長しているとするが、貧富格差は拡大(弱者の犠牲の上で経済成長)。
・(初の黒人大統領の)オバマ政権の8年間を経ても、依然米社会の人種差別問題は未解決どころか悪化。
・政治的にも、二大政党がそれぞれ極端な政策を標榜し、かつ、相手方を非難するばかりで、およそ民主主義政党と評価するのは困難。
●以上より、どちらの候補が勝利したとしても、米国の真の政治的問題に直面することになろうし、国際社会も米国の将来について、大いなる懸念をもって注視。」
一方、同日付米
『クォーツ』オンラインニュース:「中国国内で米大統領選の結果を知る方法」
「●世界中で、米大統領選の投票状況についてのニュースが飛び交っているが、中国国内の大衆にとって、その情報を得るのは一苦労。
●第一に、中国政府がフェイスブック、ツイッター、ユーチューブ他多くの外国ネットサービスの閲覧を制限。
●更に、中国メディアに対しても、選挙戦の生放送は通常禁止。
●しかし、当クォーツが中国国内をチェックしたところ、米ABCニュース、CBSニュース、CNN、Foxニュース、NBCニュース、更には、当クォーツ・オンラインニュースは、これまで中国政府に制限されたことはなかったので、今回も当該選挙速報がつぶさに入手可能。」
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