世界銀行(WB)が、今年2度目の2017年世界経済見通しを発表した。それによると、日本については輸出や設備投資の伸びなどで、昨年より成長が加速すると分析し、また、世界経済についても、貿易や資源価格の改善などで、同じく昨年からは成長が加速すると見通した。
6月5日付米
『USAトゥデイ』(
『AP通信』配信):「WB、今年の世界経済成長率を2.7%と予想」
WBは6月4日、資源価格の安定と貿易の伸びによって、今年の世界経済成長率が2.7%、また、2018年は2.9%達成可能と見通した。いずれも、2016年の2.4%から改善するとしている。
WBによれば、2014年から始まった資源価格下落によって、世界経済は2年間低迷したが、今年について原油価格は24%、また、非エネルギー資源価格も4%上昇し、更に、世界貿易も4%と、直近3年間で最も大きく伸びると予想した。
主要国別成長見通しは以下のとおり。
・米国:2016年の1.6%から2017年は2.1%成長へと躍進。
・欧州圏(17ヵ国):2016年の1.8%から2017年の1.7%と若干減速。
・日本:2016年の1%から2017年は1.5%成長が見込まれ、2013年以来最速の伸び。
・中国:2016年の6.7%から2017年は6.5%、また、2018年は6.3%へと漸減傾向。
WBの世界経済見通し分析報告主担当エコノミストのアヤーン・コウズ氏は、経済環境が好調と予測される今こそ、各国は不必要な規制の撤廃や企業間の競争促進等によって、生産性の向上に努めるべきであると説いている。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「WB、世界経済は“脆弱な回復”だと見通す」
国際通貨基金(IMF)が2017年世界経済見通しを3.5%と予測しているのに対して、WBは2.7%と低く、また、2018年も2.9%と見積もり、更に、新興国についても2017年は4.1%、2018年は4.6%と見通している。
WBのジム・ヨン・キム総裁は、世界経済の回復基調はまだ脆弱であるが、回復に向かっていることは確かであるので、この機会を捉えて各国には、制度や市場構造改革という長期戦略を立案・実施していくことが望まれるとコメントした。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「WBエコノミスト:世界経済危機のリスクが漸く薄まったとコメント」
WBエコノミストのコウズ氏は、直近4年間で初めて、世界経済を危機に陥れる新たなリスクが表れなくなっているとコメントした。具体的には、原油価格の再下落、2度にわたる米利上げ、更には欧州における主要選挙結果等、当初懸念されていた事態は大きなリスクとはなっていないと述べた。
更に同氏は、WB世界経済見通し報告発表直前に、トランプ大統領が米経済にとって不公平として2015年パリ協定(気候変動対策)離脱を宣言したが、WBの使命は、世界各国に気候変動対策の必要性を促していくこと、すなわち、クリーン・エネルギー開発、環境保護的農業、持続的な都市開発、更には大災害危機管理を推し進めていくことであることから、同大統領の発言には何ら影響を受けないと付言した。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「WB、2018年の世界経済成長率は直近7年で最高値となると予測」
WBが6月4日にリリースした“世界経済見通し2017年6月版”によると、先進国の経済成長率は1.9%伸び、新興国も昨年の3.5%から4.1%に改善されると予想されることから、世界経済は今年2.7%成長、更に2018年には2.9%成長が見込まれるという。
WBのキム総裁は、製造業や貿易の伸び、新興国の経済回復、更には資源価格の安定等によって、世界経済成長見通しは明るく、来年は直近7年間で最高となると予測しているとするが、最近取沙汰されている保護貿易主義が蔓延してくるようだと、これらの成長見通しが阻害される恐れがあるとコメントした。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』配信):「WB、2017年の世界経済成長率は2.7%で変わりなしと発表」
WBは、先進国の需要回復、中国を中心とした輸出入貿易の伸び、更には資源価格安定による資源輸出の改善によって、昨年僅か2.5%の伸びであった世界貿易高は、2017年には4%改善する見通しだと発表した。
WB見通しの内訳は、先進国の経済成長率が昨年の1.6%から2017年は1.9%に改善、また、新興国の場合、昨年の3.5%が2017年は4.1%に大きく改善すると見通している。ただ、先進国の成長率が2018年1.8%、2019年1.7%とペースダウンするのに対して、新興国は、2018年4.5%、2019年4.7%と堅調に推移すると見込んでいる。
なお、中国の場合、2017年の6.5%成長が、2018年及び2019年とも6.3%と若干減速するとWBはみているが、依然世界の中では高い成長率である。
WBのキム総裁は、世界経済見通しは明るいとみているが、貿易規制の強化や政策の不確実性が世界経済の成長を阻害する恐れがあるので、今後の動静を慎重にみていく必要があるとコメントしている。
閉じる
トランプ大統領が、環太平洋経済連携協定(TPP)に続いて、気候変動対策に関わるパリ協定からも離脱を宣言し、オバマ前大統領のレガシーをことごとく打ち壊そうとしている。ただ、米市民はロシア・ゲート疑惑を問題視している模様で、パリ協定離脱宣言前の世論調査であるが、更にその不支持率が上昇している。
5月31日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「ドナルド・トランプ大統領の支持率低下する一方、弾劾手続き支持者が増加」
5月31日にリリースされた米政治メディア
『ポリティコ』/モーニング・コンサルトの世論調査によると、回答者のうち43%が議会に対してトランプ大統領の弾劾手続き開始を求めており、前回調査の38%より増えている。ただ、弾劾不要とする支持者も、前回の46%より若干減少したが45%いる。
政党支持者別内訳は、民主党支持者の71%が弾劾手続きを支持しているのに対して、共和党支持者の76%はその必要はないとしている。
また、同大統領の支持率については、世論調査会社ギャラップの直近の調査結果では、支持率が41%であるのに対して、不支持率は53%となった。オンライン世論調査の“538”の調査結果も、支持率39.1%、不支持率54.8%となっている。
なお、
『フォックス・ニュース』は先週、同大統領支持率は40%となっていると報道したが、今回の特徴として、選挙時に支援グループにいた白人や低学歴市民の支持率が下がっていると付け加えた。
一方、同日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース:「世論調査で、トランプ大統領が米国を代表して話すことに最も嫌悪感を抱いていることが判明」
モンマス大世論調査機関(ニュージャージー州在の私立大学内に本部を置く2005年創設の組織)の直近の調査によると、トランプ大統領が米国を代表して話すことで損失を被るとした人が61%にも上り、米国のためになると考えた人の33%を大きく上回っていることが判明した。
また、ショーン・スパイサー大統領府報道官の場合は、損失42%・有益28%、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、損失40%・有益28%となっており、唯一、マイク・ペンス副大統領のみが損失29%・有益53%と支持されていた。
同調査機関のパトリック・マレー代表は、大統領自身の発言等に多くの人が嫌悪感を抱いている以上、その補佐役の発言にも批判が高まるのは止むを得ないことだとコメントした。
なお、本調査は、5月13日・15~16日の間、合計1,002人の成人に対して、インターネット・電話で直接インタビューして得たとしている。
閉じる