プーチン大統領、トランプ大統領同様夏季休暇を楽しむも国内では反プーチン運動が活発化【米・英国メディア】
8月5日付Globali「トランプ大統領、またも自己所有のリゾートで夏季休暇」で触れたとおり、トランプ大統領は、オバマ前大統領の休暇取得について、税金の無駄遣いだとか、重要事項より己の休暇を優先している等、散々悪態をついてきたことは棚に上げて、自己所有のリゾートでゴルフ三昧の休暇を楽しんでいる。一方、国どおしは仇敵でも、個人的には馬が合うと思われるプーチン大統領も、例によってマッチョな体を惜しげもなく曝して、釣りや狩猟等屋外スポーツに勤しんでいる。ただ、これまでの非民主的・非合法的な支配力行使に、敢然と反旗を翻すリーダーが出現しつつある。そこで、プーチン政権としては、不満層の若者が追随しないよう、あの手この手で封じ込めに奔走している。
8月7日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、釣りや狩猟で休暇を楽しむ」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、毎年8月の夏季休暇取得時に、努めて国内外のメディアに情報公開している。
ロシア政府が8月7日にリリースした46分間の動画では、プーチン大統領が、シベリア南部のトゥヴァ共和国(アジア中央部・ロシア南端に位置するロシア連邦の一共和国)で過ごす姿を公開している。...
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8月7日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、釣りや狩猟で休暇を楽しむ」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、毎年8月の夏季休暇取得時に、努めて国内外のメディアに情報公開している。
ロシア政府が8月7日にリリースした46分間の動画では、プーチン大統領が、シベリア南部のトゥヴァ共和国(アジア中央部・ロシア南端に位置するロシア連邦の一共和国)で過ごす姿を公開している。同大統領は、同行したセルゲイ・ショイグ国防相とともに、上半身裸でダイビングや釣りに興じている。
しかし、一方で皮肉のこもったツイッターが多く認められる。例えば、“65歳にしては逞しい肉体美だが、何ら魅力は感じない”とか、“(西側諸国からの)制裁が強まれば強まる程、上半身裸の姿(肉体美を曝す姿)が増えている”等々。
一方、同日付米『CBSニュース』:「プーチン氏の最も過激な批評家はロシアの敵」
今年6月12日(ロシアの日、注1後記)、モスクワの赤の広場に続くトゥヴェルスカヤ通り(元ゴーリキー通り)で、16~27歳の若者を中心とした数千人が、“プーチンは去れ!”等と叫んでデモ行進した。ただ、治安警察がすぐに取締りを始め、千人余りが逮捕された。
このデモ行進は、41歳の弁護士のアレクセイ・ナヴァーリヌイ氏を支持する若者が起した。すなわち、同氏は反腐敗活動家で、来年3月に予定されている大統領選挙(注2後記)に立候補すると表明したが、中央選挙管理委員会が、横領罪を犯している同氏には立候補資格がないと発表した。同氏は、同罪は政治的謀略だと訴えていて、同氏支援の波が高まれば、同氏の立候補を認めざるを得なくなると考え、支持者らに支援を訴えたもの。
プーチン政権の腐敗を糾弾し始めたナヴァーリヌイ氏は今年4月、何者かに化学染料を目に投げつけられ、失明の危機に遭っている。同氏はすぐさまスペインに逃避し、緊急手術を受けて失明は免れた。
なお、プーチン政権の差し金かどうか直接的証拠はないが、同政権に楯突いた次の人たちが奇禍に遭っている。
・2006年 アレキサンドル・リトヴィネンコ元ロシア連邦保安庁職員:英国に亡命した反体制活動家で、核物質ポロニウム210を盛られて毒殺。英国側の犯人引き渡し要求を、ロシア政府が拒否。
・2006年 アンナ・ポリトコフスカヤ記者:第二次チェチェン紛争やプーチン大統領を批判していたジャーナリストで、自宅アパートのエレベーター内で射殺。実行犯らは逮捕されたが黒幕は不詳。
・2015年 ボリス・ネムツォフ元下院副議長:プーチン政権に対抗する野党勢力の結集を図っていたが、モスクワ川にかかる橋の上で射殺。犯人は逃亡。
(注1)ロシアの日:ロシア連邦の国家主権宣言(1990年6月12日)を記念する祝日。
(注2)大統領選:プーチン氏が最初の大統領職(2000~2008年)にあったとき、憲法を改正して大統領の任期を4年から6年に延ばした。現行の大統領職は2012年からなので、次回選挙は来年3月となる。なお、同選挙に当選すれば、同氏の大統領就任期間は通算20年にも及ぶことになる。
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比ドゥテルテ大統領、支援と引き換えに米ティラーソン国務長官におべっか【米・英・ロシア・フィリピンメディア】
目下、マニラ(フィリピン)で東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムが開催されている。この機会を捉えて、レックス・ティラーソン国務長官と会談したロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、昨年のオバマ大統領(当時)に浴びせた暴言は封印して、米国支援を期待して同長官におもねる発言をしている。
8月7日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース:「オバマ大統領に“地獄に落ちろ”と暴言を吐いたフィリピン大統領、今や米代表に“身分の低い友人”だとおもねる態度」
オバマ政権時代、反米的態度を取っていたロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月7日、レックス・ティラーソン国務長官と会談した際、“私は東南アジアの身分の低い友人”だと180度違う対応を取った。
現在フィリピンでは、イスラム過激派組織イスラミック・ステートと連携したフィリピン過激派組織が台頭しており、米軍の支援を受けて制圧に努めている。...
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8月7日付米
『ザ・デイリィ・コーラー』オンラインニュース:「オバマ大統領に“地獄に落ちろ”と暴言を吐いたフィリピン大統領、今や米代表に“身分の低い友人”だとおもねる態度」
オバマ政権時代、反米的態度を取っていたロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月7日、レックス・ティラーソン国務長官と会談した際、“私は東南アジアの身分の低い友人”だと180度違う対応を取った。
現在フィリピンでは、イスラム過激派組織イスラミック・ステートと連携したフィリピン過激派組織が台頭しており、米軍の支援を受けて制圧に努めている。そして、今回の会談でも、この議題が中心となった。
これまでドゥテルテ大統領は、自身の麻薬撲滅政策を非人道的と非難したオバマ大統領(当時)に様々な暴言を吐いたり、米軍駐留を再認した“拡大防衛協力協定(EDCA)”を破棄すると発言したりする等、ことごとく反米的な対応を取ってきた。しかし、同政策に直接触れないドナルド・トランプ大統領が当選したときには、いち早く祝辞を述べる等、これまでの対応を改める兆しを見せていた。
同日付英『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「フィリピンのドゥテルテ大統領、レックス・ティラーソン米国務長官に“私は東南アジアの身分の低い友人”だと告げる」
これまでの反米対応と打って変わって、ドゥテルテ大統領はティラーソン国務長官に穏やかな態度で接した。
会談に先立ち、大統領府のアーネスト・アベロ報道官は、マラウィ(フィリピン南部ミンダナオ島)の過激派一掃、世界のテロ対策、米比経済及び人的交流、バランギガのベル(注後記)返還等について協議されることになると発表している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「ドゥテルテ大統領、ティラーソン国務長官の表敬訪問を受けて、“私は米国にとって身分の低い友人”だとおもねる」
ドゥテルテ大統領は最近も、米国は“ひどい”と言い、自身の任期中に訪米することはないと言っていたにも拘らず、ティラーソン国務長官を迎える態度は全く異なっていた。そして、これまでの暴言を忘れたかのように、米国は“友好国”であり“同盟国”だとも持ち上げている。
8月8日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「ドゥテルテ大統領、ティラーソン国務長官に“私は貴国にとって身分の低い友人”だと発言」
8月7日午後、大統領府にティラーソン国務長官を迎えたドゥテルテ大統領は、米比同盟関係やASEAN関係について協議できることをうれしく思うと述べた。
そして同大統領は、フィリピンの過激派一掃への米軍支援に感謝し、また、(指摘を忌み嫌っている)人権問題についてもオープンに話す用意があるとした。なおまた、長年未解決となっている、バランギガの教会ベルの返還についても話題にしている。
(注)バランギガのベル:フィリピンで3番目に大きいサマール島東部で1901年、米比戦争に勝利した米陸軍部隊が、戦利品としてバランギガの町の教会のベルを3つ略奪したもの。以前返却が為されないままで、米軍の基地に保管されている。
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