中国による南シナ海人工島の軍事拠点化が本格化【米・英・ロシア・中国メディア】
時流やGlobaliで報じられているとおり、米政府は、北朝鮮問題での中国の対応に業を煮やして、北朝鮮国境至近の遼寧省地方銀行“丹東(タントン)銀行”を北朝鮮の核開発を支援した疑いで初制裁を科すと決定したばかりか、“一つの中国”原則に抗うように、台湾向けへの武器売却方針を発表した。中国側は、当然の如く反発しているが、この問題の裏では、かねて報じたとおり、南シナ海に建設した人工島の軍事拠点化を着々と進めている。更に中国は、南シナ海の領有権争いの急先鋒だったフィリピン懐柔に積極的に取り組んでいる。
6月30日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「米シンクタンク:中国が南シナ海人工島に新たな軍事施設を建設と公表」
米シンクタンク“戦略国際問題研究所(CSIS)”傘下の“アジア海洋問題透明性監視団(AMTI)”は6月29日、直近撮影の衛星写真の解析から、中国が既に南シナ海人工島のうち、ファイアリー・クロス礁、ミスチーフ礁、スビ礁上に新たな軍事施設をほぼ完成させたと発表した。...
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6月30日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「米シンクタンク:中国が南シナ海人工島に新たな軍事施設を建設と公表」
米シンクタンク“戦略国際問題研究所(CSIS)”傘下の“アジア海洋問題透明性監視団(AMTI)”は6月29日、直近撮影の衛星写真の解析から、中国が既に南シナ海人工島のうち、ファイアリー・クロス礁、ミスチーフ礁、スビ礁上に新たな軍事施設をほぼ完成させたと発表した。
AMTIによれば、ミサイル設置用基礎構造物・レーダー施設・通信施設だとみられ、これまで以上に米国から、同海域の自由な航行を阻害しかねないと非難の声が挙げられよう。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「衛星写真から、中国が南シナ海の南沙諸島に新たな軍事施設を建設したことが判明」
これまでの米国防総省発表によれば、中国は南沙(スプラトリー)諸島内のファイアリー・クロス、スビ、ミスチーフ礁上の人工島に、24の戦闘機用格納庫、陸上武器設置用基礎構造物、滑走路、兵舎、管理棟、通信施設を建設中という。そして、工事完了後に中国は、同諸島内に一挙に3つの戦闘機部隊を配備することが可能になるという。
更に、AMTIの直近の衛星写真解析によれば、既に建設済みのミスチーフ礁、スビ礁上の8つのミサイル設置用基礎構造物に加えて、ファイアリー・クロス礁に新たに4つの同施設を建設中という。
また、ミスチーフ礁上には、大規模アンテナを備えたレーダー施設が建設中で、これによって周辺海域が隈なく監視できるようになるため、同海域の領有権を主張しているフィリピンにとっては問題となろう。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、いよいよ南シナ海を軍事制圧へ」
AMTIの発表によれば、中国が南沙諸島内の3つの人工島に、戦闘機基地、レーダー施設、長距離地対空ミサイル設置用基礎構造物を建設中とみられ、南シナ海における軍事的プレゼンスをいよいよ高めつつあると言える。
これまでの日米他からの非難に対して、中国は、南シナ海における平和と安定に努めており、また、同海域周辺諸国とは対話による協議を続けていくと主張してきているが、かかる軍事施設の整備によって、力による制圧が優先されていることが明白である。
一方、7月1日付中国
『新華社通信』:「中国首相、フィリピンとは考えの相違よりも協調が上回ると発言」
李克強(リー・コーチアン)首相は6月30日、北京を訪問中のフィリピン新外相のアラン・ピーター・カエタノ氏(5月就任)と会談した際、フィリピンとはかつての考えの相違ではなく、現在は協調関係が上回っていると発言した。更に同首相は、中国はこれからも、フィリピンが経済的な開発・発展を遂げるよう支援していくと表明した。
また、同首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を中国は最優先課題と捉えているとして、今年のASEAN議長国、かつ、東アジアサミット主催国でもあるフィリピンに協力していく姿勢を示した。
同外相も、中国との閣僚レベルの対話を継続していくことで、両国間の関係改善がなされるとした上で、今後も中国との連携強化に努めていくと表明した。
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日・米共同開発の迎撃ミサイル発射実験は失敗<米・英・ロシアメディア>
6月22日付Globali「北朝鮮の脅威に日米が強硬対応」の中で触れたとおり、北朝鮮に1年半余り拘束された後に解放された米国人学生の死去に伴い、米朝間の緊張が更に高まる恐れから、万が一の北朝鮮暴走に備えて、日米ともにミサイル防衛等緊急対応を取り始めた。その一環で、かねて日米共同で開発に着手していた、海上配備型迎撃ミサイル“SM-3ブロックⅡA”について、この程2度目の発射実験を実施したが、今回は失敗した模様で、悪戯に金正恩(キム・ジョンウン)委員長を喜ばせてしまったとみられる。
6月23日付米
『CNNニュース』:「日米共同開発のミサイル迎撃システムの実験失敗」
日米がかねて開発を進めていた、イージス艦搭載ミサイル迎撃システム“SM-3ブロックⅡA”の発射実験がハワイ沖で実施されたが、失敗に終わった模様である。
同システムは、準中距離及び中距離弾道ミサイルを海上から迎撃するもので、6月21日(現地時間)に2度目の発射実験を行ったもの。今年2月に行われた最初の実験は成功に終わっている。...
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6月23日付米
『CNNニュース』:「日米共同開発のミサイル迎撃システムの実験失敗」
日米がかねて開発を進めていた、イージス艦搭載ミサイル迎撃システム“SM-3ブロックⅡA”の発射実験がハワイ沖で実施されたが、失敗に終わった模様である。
同システムは、準中距離及び中距離弾道ミサイルを海上から迎撃するもので、6月21日(現地時間)に2度目の発射実験を行ったもの。今年2月に行われた最初の実験は成功に終わっている。
なお、同システムは、一度に100発のミサイルを追跡可能なAN/SPY-1レーダーと組み合わされており、目下韓国に配備されつつある終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)と同様、中国の安全保障が脅かされるとして、中国が強く反発している。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「日米共同開発の迎撃ミサイル発射実験、標的撃ち落としに失敗」
日米による“SM-3ブロックⅡA”システム開発は、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の脅威に備えるためのものである。また、日本独自に、現在配備のPac-3パトリオット迎撃ミサイル(陸上発射型)の高度化にも取り組んでいる。
なお、米軍は、“SM-3ブロックⅡA”システムが搭載可能となる巡洋艦を22隻、駆逐艦を62隻保有し、日本の場合、現在はイージス駆逐艦6隻だが、これを更に増やす計画である。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「米海軍、ミサイル迎撃実験に失敗」
米ミサイル防衛局は6月21日、ハワイ沖の米軍駆逐艦“ジョン・ポール・ジョーンズ”から“SM-3ブロックⅡA”ミサイルの発射実験を行ったが、標的を撃ち落とすことができなかったと発表した。
米軍が5月30日にバンデンバーグ空軍基地で行った、陸上発射型弾道ミサイル迎撃システム(GMD)によるICBM撃ち落とし実験は成功していた。
なお、米当局は、今後データを解析して失敗原因の分析を進めるとしており、これ以上の詳細はコメントしないという。
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