13日夜、パリ中心部とその近郊でレストラン、劇場、競技場など複数の場所を襲撃する同時多発テロが発生した。検察当局によると、129人が死亡、352人が負傷者し、このうち99人が重体となっている。襲撃犯のうち6人が自爆し、1人は警官に射殺されたが他にも共犯者がいる模様で、当局が逃亡者の行方と全容の解明を進めている。イスラミックステート(IS)は14日、インターネット上に犯行声明を発表した。各国のメディアは「フランスで発生した戦後最悪のテロ」と事件を厳しく非難するとともに、IS弱体化のための軍事行動を求める声が高まっていると報じている。
11月15日付の英
『BBCニュース』は、パリでの同時多発テロ攻撃は、3つのグループによって実行されたと報じている。
モーリンズ・パリ市主席検事は、現時点での調査結果ではテロ攻撃は、3つのテログループが連携して実施したものと思われると述べた。死亡した犯人の一人は、パリ郊外に住む30歳の犯罪歴のあるフランス人と特定されている。この男は、治安当局から過激派と目されていたが、テロ容疑で取り調べを受けたことはなかった。...
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11月15日付の英
『BBCニュース』は、パリでの同時多発テロ攻撃は、3つのグループによって実行されたと報じている。
モーリンズ・パリ市主席検事は、現時点での調査結果ではテロ攻撃は、3つのテログループが連携して実施したものと思われると述べた。死亡した犯人の一人は、パリ郊外に住む30歳の犯罪歴のあるフランス人と特定されている。この男は、治安当局から過激派と目されていたが、テロ容疑で取り調べを受けたことはなかった。死亡した7人のテロリストは全員カラシニコフ自動小銃を持ち、自爆用ベストを着用していた。
モーリンズ主席検事は、警察は2ヵ所の襲撃で使用された黒塗りの乗用車「セアト」と、惨劇が起きた劇場で発見されたベルギーナンバーの「フォルクスワーゲン・ポロ」を調べていることを明らかにした。レンタカーのポロを借りた男はテロ事件の朝、他の2人とともにベルギーの国境検問を通過したことが確認されている。捜査当局は、この3人が襲撃チームの一味であると考えて行方を追っている。
ISは「8人の自爆爆弾と自動小銃で武装した仲間が、注意深く選んだ目標を攻撃した。これはシリアやイラクのISに対する空爆への報復である」とする犯行声明を出した。一方、オランド仏大統領は、「フランスはISに対し容赦しない。同盟国と連携して国内外を問わず、法の許す範囲であらゆる行動を執る」ことを宣言した。
11月14日付
『ロイター通信』は、今回のパリ同時テロによって、ISへの大規模な軍事行動への圧力が強まりそうだと報じている。1年以上に及ぶ米国主導の空爆にも拘わらずISの勢いは衰えず、その脅威は世界中に広がっている。
米国はこれまでISに対し軍事力増強を小出しにしていると批判されていたが、国内外から空爆の強化を含め軍事作戦を拡大すべきとの圧力が強まっている。米仏両国には、中東で大規模な地上戦に引き込まれることに強い嫌悪感があるため、どこまで軍事行動を急拡大させるかどうかは今のところはっきりしない。しかし、オバマ大統領は、最近、戦力増強を約束しており、議会やテロ対策専門家も今回のテロ事件でその必要性を指摘している。過去2週間の間に、ISの犯行による大規模なテロ事件が連続して発生し、レバノンのベイルートで起きた自爆テロでは43人が死亡、エジプトのシナイ半島ではロシア旅客機が墜落し224人が死亡している。
フランスは既にテロ事件の前から、空母を中東地域に派遣することを決めており、同政府はパリのテロ事件を戦争行為であると断じていることから、ISへの空爆を強化することは間違いない。米国政府関係者は同盟国と空爆の強化について協議するとともに、地上軍特殊部隊の派遣も検討していることを明かしている。
11月14日付
『アルジャジーラ』は、カタール大学のレミ・ピエット准教授の見解を紹介し、仏政府が今回のテロ事件によってシリアに対する方針の変更や、ISに対する軍事行動を縮小することはないと報じている。
それによると、今年初めにフランスで2度の残虐なテロ事件が発生したが、フランス人の結束は高まり、フランスの対外政策には何ら影響しなかった。テロは再び起きたが、今回の攻撃対象は政府機関やユダヤ人学校などのハードターゲットではなく、レストランや劇場といったソフトターゲットであり、仏治安当局がテロを阻止するのは困難であったと思われる。仏政府はこれまで一貫してシリアのアサド大統領の退陣を要求しており、これがテロ事件によって変わることはない。
オランド大統領のテロ事件への対処に対しては超党派での支持が集まっており、野党は大衆扇動的な言辞を控えている。また、宗教界とりわけイスラム評議会は強くテロを非難している。多くのフランス人は、今回のテロ事件は宗教や特定の人種とは無関係であり、テロ集団に身を投じた人間達が起こした事件と考えていると、同メディアは報じている。
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8月30日付
『BBCニュース』は、平和憲法の護持と安倍首相の退陣を要求して、何万人もが雨の中で街頭デモをおこなったと報じた。日本人がこれほど声をあげることは珍しく、機動隊が出動して規制をおこなったが混乱は起きなかった。デモ活動はこの夏ずっと続いているが、学生や若者が中心となっているとし、「彼らはこれまで政治に無関心であると批判されてきたが、沈黙することをやめ立ち上がったようである」と報じている。
8月28日付
『ロイター通信』は、「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」というグループが、日本の学生は政治に関心を示さず内向的というイメージを変えつつある、と報じている。...
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8月30日付
『BBCニュース』は、平和憲法の護持と安倍首相の退陣を要求して、何万人もが雨の中で街頭デモをおこなったと報じた。日本人がこれほど声をあげることは珍しく、機動隊が出動して規制をおこなったが混乱は起きなかった。デモ活動はこの夏ずっと続いているが、学生や若者が中心となっているとし、「彼らはこれまで政治に無関心であると批判されてきたが、沈黙することをやめ立ち上がったようである」と報じている。
8月28日付
『ロイター通信』は、「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」というグループが、日本の学生は政治に関心を示さず内向的というイメージを変えつつある、と報じている。それによると、日本では1960年代以降大規模な学生運動がなく、市民運動は主に年配の左翼活動家が中心となっていた。SEALDsが、安倍政権が進めている安保関連法案に反対するため国会周辺での抗議デモをおこなうと発表し、流れが変わってきた。SEALDsを嫌う右翼民族主義者はブログなどで、SEALDsグループ内には中国のスパイがいると言っているが、そのような証拠はない。SEALDsは、特定秘密保護法が成立したことに危機感を抱いた学生により2013年12月発足し、現在約400名が活動している。上智大学の中野晃一教授は「SEALDsは、“普通にファッショナブルで同時に政治的”というイメージをつくり出しており、他の世代も活性化させている」と話す。学生達は、選挙権が20歳から18歳に引き下げられる2016年7月の参議院選挙を、自民党の力を弱める機会として視野に置いている。
8月30日の
『FOX』はAP電として、これまで労働組合や年配の左翼活動家がおこなってきた抗議運動に、最近では若い母親や学生などの新顔が加わっていると報じる。日曜日には、東京の国会議事堂前では何万人ものデモが街頭を埋め、9月に成立する見込みの安保関連法案への抗議活動をおこなった。日本人は通常公の場で政治的な発言をせず、こうした抗議活動は1960年代初期に頻発した過激派大学生による暴力的闘争以降はほとんど起きなかった。2011年の福島原発事故の後の反原発運動も尻すぼみとなっている。
安倍政権は、自己主張を強める中国や増大するテロの脅威など、厳しさを増す環境や日本に対するグローバルな平和維持活動への期待に応えるために、法律の変更が必要であると主張する。しかし、法律の専門家や学識経験者は法案の合憲性に疑問を投げかけている。法案への反対運動の勢いが、より大きな広がりをみせるかどうかは分からないが、若い母親や学生など、政治に無関心な草の根層が、ソーシャルメディアなどに啓発され育ちつつある。「安保関連法案に反対するママの会」というグループが7月に活動を開始し、2万人の安保関連法案反対の署名を集めた。また、反対運動では、数十年にわたり学生運動が途絶えている中で、SEALDsなどの学生活動家の存在が目を引くようになっている。学生たちは、活動家の暴力的なイメージを好まず、デモ隊はヒップホップのリズムのなかで、平和的に抗議活動をおこなっていると報じている。
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