英国のキャメロン首相は、先週開催されたEU首脳会議で英国の要求を大幅に受け入れた改革案が合意されたことを受け、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を6月23日に行うと発表した。
キャメロン首相は国民投票でEU残留を決めたい考えであるが、世論は二つに割れており、政界でも与党保守党だけでなく閣内でもEU残留に反対する閣僚を抱えている。こうした中、次期首相候補のジョンソン・ロンドン市長(保守党)もEU離脱を支持すると表明し、国民投票の行方は予断を許さない状況となっている。
20日の
『CNNニュース』は、英国のキャメロン首相が、EUに残留するよう求める国民投票を6月23日に実施すると報じた。
・ベルギーで先週開催されたEU28カ国首脳会議で、キャメロン首相は英国への譲歩を引き出した。これにより英国は、EUの最終目標である“より緊密な連合”形成にかかわる必要がなく、EU域外から移住する経済的困窮者に7年間支給する補助金や児童手当の負担を免れることができる。
・キャメロン首相はこれらの譲歩を得たことで、6月23日に国民投票を実施することに踏み切った。...
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20日の
『CNNニュース』は、英国のキャメロン首相が、EUに残留するよう求める国民投票を6月23日に実施すると報じた。
・ベルギーで先週開催されたEU28カ国首脳会議で、キャメロン首相は英国への譲歩を引き出した。これにより英国は、EUの最終目標である“より緊密な連合”形成にかかわる必要がなく、EU域外から移住する経済的困窮者に7年間支給する補助金や児童手当の負担を免れることができる。
・キャメロン首相はこれらの譲歩を得たことで、6月23日に国民投票を実施することに踏み切った。英国国民は国民投票で、EUという巨大な国際機構に加入して大きな影響力を行使するか、単独でより大きな国家主権を確保するかの選択を迫られる。
・キャメロン首相は英国がEUに留まるとする立場を明確にしたが、保守党の中でも意見は分かれており、閣僚のうち少なくとも4人はEU残留に反対している。
・EUにとって英国の離脱は、EU内でドイツに次ぎ第2位の経済力を持ち、国連安全保障理事会の常任理事国を失うことであり大きな打撃である。
20日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、英国が6月23日に実施するEU残留か否かの国民投票は、英国および欧州諸国に重大な影響を与えると報じている。
・キャメロン首相は、EU委員会での厳しい交渉を通じて英国が“特別のステータス”を獲得したことを閣議で報告し、国民投票の実施を発表した。
・EU委員会での合意によれば、英国はEUの最重要目標である“連合の緊密化”を推進する義務を免責される。また、EU域外から英国に出稼ぎに来る労働者への支援金、児童手当などの支給を4年間制限することができる。更に、ユーロ通貨に参加せず自国ポンドを維持することによって、英国の金融業界が不利益を被ることはないとの保障も獲得した。
・英国のEU離脱は、域内での経済危機問題、シリアの内戦による大量の難民流入などの対応に苦しむEUにとって更なる痛手である。
・英国にとっても、欧州単一経済市場から外れることは経済的不安定を助長し、国際的な孤立感を深めることになる。もし、国民投票でEU離脱という結果になれば、親EUのスコットランドでは独立要求の声が高まる可能性がある。
・キャメロン首相は過去EUに対して批判的であったが、現在は支持する側に立場を変えている。一方、6人の閣僚は英国離脱(Brexit)に賛成すると表明している。
20日の
『BBCニュース』は、有力政治家のロンドン市長のボリス・ジョンソン氏が、EUに留まることは民主主義の崩壊につながるとして、EU離脱を支持すると表明したと伝えている。
・ジョンソン市長の発表はEU離脱キャンペーンを非常に勢いづかせるとともに、キャメロン首相には大きな打撃になると思われる。ジョンソン市長は英国のカリスマ政治家の一人であり、これまで主導者を欠いていた離脱運動に国民の関心が集まることは間違いない。
・問題は、国民投票の結果を左右するほどの影響力があるかどうかである。ジョンソン氏はこれまで陽気な性格で2回の地方選挙で勝利しているが、将来の首相候補として国政の場での力が試されることになる。
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ローマ法王は、共和党候補ドナルド・トランプ氏について、メキシコ訪問からローマへの帰路で記者に「架け橋ではなく、壁を築こうとする者はキリスト教徒ではない」と発言したと報道された。トランプ氏はこれに対し「宗教指導者が人の信仰に疑問を投げ掛けるのは、恥ずべきことだ」と反発。討論集会でもローマ法王とトランプ氏の抗争が話題となった。法王はキリスト教徒に尊敬される存在のため、このような発言は今後の選挙戦に影響するのだろうか。
2月19日付
『ヤフーニュース』(ロイター通信引用)は次のように報道している。
・世界で高まる懸念を背景にローマ法王はトランプ氏はキリスト教徒ではないと発言。トランプ氏は名誉を傷つけられたとコメント。
2月18日付米
『USAトゥデイ』は次のように報道している。
・共和党予備選挙の2日前にトランプ氏とローマ法王の対立が注目された。(法王は)大統領選挙に関わるつもりはないが、トランプ氏の「メキシコ政府が性犯罪者を米国に送っている」等とする難民政策に反発した。
・ジョン・ケーシック候補は「法王の広報係ではないが、法王はキリスト教徒としての信仰のあるべき姿を示す使命を持った人である」等と擁護した。
同日付英
『BBCニュース』は、次のように報道している。
・米国のカソリック教徒は選挙区において重要と見られており、多くの人は中絶と同性婚への反対政策によって共和党を支持している。
2月19日付米
『CNN』は、「ローマ法王、トランプ氏はキリスト教徒ではないと示唆」との見出しで以下のように報道している。
・ローマ法王は記者からの共和党候補トランプ氏の難民政策についての質問に、「(トランプ氏が)手続きを経ない難民の追放とメキシコ国境への壁の建設を要求するなら、キリスト教徒ではない」等と発言した。これを受けてトランプ氏は反論し、「宗教指導者といえども他人の宗教に意見できない。」等とした。また、バチカンがISISの標的になれば(法王は)「私が大統領だったら」と願うに違いないと述べた。
・サウスカロライナ州で行われた討論集会では、トランプ氏は法王の人格は素晴らしく争うつもりはないとし、またメディアの報道より実際の法王の言葉はより寛容であったとした。
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