国連安全保障理事会は18日、5年にわたり内戦が続くシリア情勢について、アサド政権と反政府勢力が停戦し、和平の公式協議を来年1月初旬を目標に開始することなどを求める決議を採択した。決議には、アサド政権と反政府勢力の双方が参加する「移行政権」の設置案も盛り込まれており、25万人以上の犠牲者を出した内戦が和平に向かうきっかけになるか注目される。一方、今回の和平案はアサド大統領の処遇に触れていないことや、イスラミックステート(IS)の掃討についての具体的な計画が盛り込まれていないなど、実効性を疑問視する声も多い
12月18日付
『BBCニュース』は、国連安全保障理事会が、全会一致でシリアでの和平案を採択したと報じた。5年にわたるシリア内戦では25万人が死亡し、数百万人以上が難民となっている。決議ではシリア政府と反政府派が停戦し、来年1月初旬に和平交渉の席に着くことを求めている。
アサド大統領支持者は、国連決議が同大統領の処遇について触れていないため、これを歓迎している。これは、ロシアのシリア内戦への軍事的・外交的影響が強まり西側が妥協したものであるが、反政府勢力とその支援国にとっては交渉のあらゆる場面で進捗の妨げとなることは確実である。...
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12月18日付
『BBCニュース』は、国連安全保障理事会が、全会一致でシリアでの和平案を採択したと報じた。5年にわたるシリア内戦では25万人が死亡し、数百万人以上が難民となっている。決議ではシリア政府と反政府派が停戦し、来年1月初旬に和平交渉の席に着くことを求めている。
アサド大統領支持者は、国連決議が同大統領の処遇について触れていないため、これを歓迎している。これは、ロシアのシリア内戦への軍事的・外交的影響が強まり西側が妥協したものであるが、反政府勢力とその支援国にとっては交渉のあらゆる場面で進捗の妨げとなることは確実である。
◆国連安全保障会議のシリア和平決議(骨子)
・来年1月初旬実施を目指し、停戦および政権移行の正式交渉を開始すること
・「テロリスト」と認定されるISおよびアル・ヌスラ戦線(アルカイーダ系)は和平交渉から除外する
・「テロリストグループへの「攻撃と防衛」(米露主導の空爆)は継続する
・潘基文国連事務総長は1月18日までに停戦監視方法について報告する
・「開放的で信頼性のある無党派の政府」を設立する
・18ヵ月以内に国連の監視下で「自由で公正な選挙」を実施する
・政権移行をシリア人主導でおこなう
12月19日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、国連安全保障理事会が採択したシリア和平案について期待は持てるが、多くの欠陥があると報じている。
この和平案は、ジョン・ケリー米国務長官が3ヵ月にわたって“説き伏せ”外交をおこなった成果であるが、シリア国民を救済することができるかこれから試練に曝される。和平案には次のように多くの疑問点があり、期待すべき部分は少ない。
・停戦をどのように実施するか? 国連はシリア国内で戦闘をおこなっているグループの地域的停戦に言及しているが、イランやカタールが内戦に関与しているため実現性は乏しい。
・誰が停戦を監視するか? 国連平和維持軍の派遣は、明確な休戦ラインが無く同軍が攻撃対象とされる可能性が高いため、困難と思われる。国連が承認する多国籍軍の派遣も、同地域に利害の無い国による部隊編成が難しい。
・ISの掃討に誰が地上軍を送るか? IS掃討は空爆だけでは無理であることは明らかであるが、米露や安全保障理事会メンバーはシリアへの地上軍派遣には消極的である。クルド族武装勢力はISと戦闘しているが、その一方でトルコはクルド武装勢力を攻撃している。
・反政府勢力に対し、アサド大統領退陣の保証無しにISと戦うよう説得できるか? 西側諸国はアサド退陣要求を強く要求していくことを、トルコやサウジアラビアなどの近隣諸国に約束する必要がある。
・和平交渉の席に着くのは誰か? サウジアラビアが呼びかけをおこなうのは、スンニ思想過激派や非宗教的統治を約束するグループなど多岐にわたるスンニ武装勢力である。彼らが、アサド政権の支持者と和平合意できるかは賭けに等しい。
・シリア新政府は存続できるか? 今後2年で和平案が描くとおり政権移行ができたとしても、武装勢力が力を持ちテログループがはびこる地域で、新たな弱体な政権が誕生するだけとなりかねない。
・イランはどう動くか? ロシアはお荷物のアサド大統領を見限るかもしれないが、イランがヒズボラの支援から手を引いたり、シリア新政府への口出しを止めると考える者は少ない。
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12月2日付「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)へのポーズ? 北京市当局が公害工場閉鎖命令」の中で、“(北京市周辺のスモッグが危険レベルに達しているというニュースに関し)COP21で米国とともに、2020年以降の新しい温暖化対策の枠組み合意に向けて、中心的役割を果たそうとしている習主席にとっては、誠にきまりの悪いニュースだった模様で、早速地方政府をして厳しい対応措置を取らせた”と報じた。2千余りの工場を閉鎖させただけではなく、市内乗り入れの車を奇数、偶数ナンバー別とすることで半減させたりした。一時的な措置ではあるが、少しは効果があったのか、はたまた寒波襲来に伴う北西風のお蔭か、スモッグの原因となる微粒子状物質(PM2.5)が吹き飛ばされ、警戒レベルは下げられた。しかし、根本原因を根絶やしにする等の抜本的対策を講じない限り、スモッグ問題は容易に解決できるものではなく、あれから2週間が経って、またPM2.5が危険レベルに達するとのニュースが駆け巡っている。
12月17日付米
『Foxニュース』は、「中国北部、今年最悪の大気汚染」との見出しで、「中国中央気象センターは12月17日、中国北部のスモッグが12月19日から4日間、今年最悪のレベルとなるとの予報を発表した。この予報は、2週間半前に、国家基準の4段階の注意報のうち、最も危険な“レッド・アラート”が出されて以来二度目となる。同センターによれば、PM2.5濃度が1立法メーター当り500マイクログラムを超えるという。世界保健機構(WHO)の基準では、25マイクログラム以下が安全と定められている。なお、北京では12月6日~9日の間、650マイクログラムを超えていた。」と報じた。
12月18日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』記事引用)は、「北京市当局、二度目の“レッド・アラート”発令」との見出しで、「中国の国家基準では、PM2.5が少なくとも3日間200マイクログラム超となると“レッド・アラート”が発令されるが、今回の予報は500マイクログラム超となる最悪のレベルである。なお、米国基準では、200マイクログラム超で健康に重大な影響を与えるとしている。」と伝えた。
同日付英
『BBCニュース』は、「北京、またしても“レッド・アラート”」との見出しで、「“レッド・アラート”発令により、工場の操業や車乗り入れ規制、また、ビル・家屋の化石燃料暖房の制限などが実施され、住民には不要な外出を控えるよう通達される。なお、当局が発表した大気汚染がひどい地域を示す地図によると、北京市を中心に南北2,000キロメーター(北は黒龍江省ハルピン市~南は安徽省ヘフェイ市)に跨る広範囲に及び、特に河北省石家庄市(シージャツアン)が最悪という。」と報じた。
また、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報)』(
『新華社通信』記事引用)は、「北京市、大気汚染危険注意報を再発令」との見出しで、「北京市大気汚染緊急対策本部は12月18日、12月19日午前7時~22日深夜12時までの4日間、最高レベルの“レッド・アラート”を発令し、市内の車の乗り入れ制限、爆竹や野外バーベキューを禁止とした。なお、幼稚園や学校は閉鎖されることになろう。」と伝えた。
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