米・英・中国メディア;ドイツVWスキャンダルは組織的な問題?(2015/12/14)
今年9月に米国当局の摘発から始まった、ドイツのフォルクスワーゲン・グループ(VW)の排ガス規制逃れの不正問題であるが、全世界でのVWブランドの販売落込みはもとより、VWの組織的な関与があったとするニュースについて、各国メディアが伝えている。
12月11日付米
『NYSEポスト』NY証券取引ニュースは、「VW不正は組織の幹部が関与と示唆」との見出しで、「今年10月に就任したVW新会長のハンス・ディーター・ポウチ氏(64歳)は12月10日、不正問題について徹底的に追及しており、きちんと責任を取らせると述べた。同氏によれば、限られたグループで不正が行われたと疑われ、現在9名の幹部を出勤停止としていることも明らかにした。また、不正スキャンダルが発覚して、世界1,100万台のVW車のリコール問題に発展したことで引責辞任した、マーチン・ウィンターコルン氏に代わって9月末より最高経営責任者(CEO)に就任したマティアス・ミューラー氏(62歳)は、不正問題を摘発した米環境保護局と何週間も積極的に交渉を続けており、(制裁金問題含めて)最終合意に向けて来年1月に訪米の上協議すると述べた。...
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12月11日付米
『NYSEポスト』NY証券取引ニュースは、「VW不正は組織の幹部が関与と示唆」との見出しで、「今年10月に就任したVW新会長のハンス・ディーター・ポウチ氏(64歳)は12月10日、不正問題について徹底的に追及しており、きちんと責任を取らせると述べた。同氏によれば、限られたグループで不正が行われたと疑われ、現在9名の幹部を出勤停止としていることも明らかにした。また、不正スキャンダルが発覚して、世界1,100万台のVW車のリコール問題に発展したことで引責辞任した、マーチン・ウィンターコルン氏に代わって9月末より最高経営責任者(CEO)に就任したマティアス・ミューラー氏(62歳)は、不正問題を摘発した米環境保護局と何週間も積極的に交渉を続けており、(制裁金問題含めて)最終合意に向けて来年1月に訪米の上協議すると述べた。」と報じた。
同日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「VWの11月販売2.4%減少」との見出しで、「VWは12月11日、11月のVW車の販売が496,100台と、昨年同月の508,400台より▼2.4%減少し、また、今年1~11月の販売も534万台と、昨年同期の559万台より▼4.5%減少したと発表した。VW販売担当幹部は、不正スキャンダルの影響が色濃く出ており、今年中の巻き返しは難しいと述べている。」と伝えた。
同日付米
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、「VW、米国や南米を含め世界的に販売落込み」との見出しで、「VWは不正問題発覚以来、高級ブランドのアウディの販売収益で凌いでいたが、それも11月には全体的に急激な落込みとなりカバーできなくなっている。特に米国では▼15%、更に南米では▼42%も販売が急落している。中国で+5.5%、西欧州で+2.6%と持ち直しているが、世界的な落込みを補う程ではない。新CEOのミューラー氏は12月10日、規制の厳しい米国でのディーゼル車の販売増を狙って、VW技術グループが2005年、規制逃れに繋がる不正操作を行ったことを認めた。10年もの間不正が続けられ、それを見逃してきたVWグループ内の問題について、徹底的な組織改善に向けて最善を尽くすとも語った。なお、不正問題発覚以来、VWグループの首脳陣が6人交代している。」と報じた。
また、同日付英
『BBCニュース』は、「スキャンダルでVW販売が4.5%落込み」との見出しで、「米国以外、ブラジルで▼51.4%、ロシアで▼31.8%と落込みが激しいが、後者二ヵ国の場合は、不正スキャンダルよりも景気後退による影響が大きいとみられる。」と伝えた。
更に、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報、人民日報英語版)』(
『AFP通信』記事引用)は、「VWの排ガス不正問題は2005年からと判明」との見出しで、「ポウチ会長は12月10日、不正スキャンダルはひとつの間違いではなく、いくつものルール違反が組織的に見逃された結果であることを明らかにした。ただ、監査役会や取締役会が承知していたという事実はないとも明言した。」と報じた。
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パリで同時多発テロ、イスラミックステートが犯行声明(第2報)(2015/11/17)
パリ同時多発テロの捜査が進むにつれ、実行犯グループの素顔が徐々に浮かび上がってきた。また、テロ襲撃犯がイスラム難民に紛れて潜入した疑いが浮上し、難民受け入れに対する影響を懸念されている。フランス政府は非常事態を宣言し、各国政府による国境閉鎖が相次ぐなど、テロ事件は欧州社会に深刻な打撃と不安を与えている。
11月15日付
『CBSニュース』は、仏警察が唯一生き残ったテロ実行犯の兄弟のサラ・アブディサラム(26歳)を国際手配し、行方を追っていると報じている。サラは、テロ攻撃に使ったレンタカーをベルギーで借りたことが判明しており、仲間2人と逃亡している。仏警察はテロ襲撃の数時間後、ベルギーとの国境付近でサラの乗った車を職務質問したがそのまま見逃してしまった。
死亡した7人のテロリストのうち3人はフランス国籍、2人はベルギー国籍である。...
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11月15日付
『CBSニュース』は、仏警察が唯一生き残ったテロ実行犯の兄弟のサラ・アブディサラム(26歳)を国際手配し、行方を追っていると報じている。サラは、テロ攻撃に使ったレンタカーをベルギーで借りたことが判明しており、仲間2人と逃亡している。仏警察はテロ襲撃の数時間後、ベルギーとの国境付近でサラの乗った車を職務質問したがそのまま見逃してしまった。
死亡した7人のテロリストのうち3人はフランス国籍、2人はベルギー国籍である。
●オマル・イスマエル・モステファイ(30歳):パリ南部郊外に住むフランス国籍のアルジェリア人で、劇場襲撃の主犯とみられている。2004~2010年に8回の逮捕歴があり、2010年にフランス治安当局の過激派監視リストに入っている。熱心なイスラム教徒であり、2013~14年の間にシリアに渡航した形跡がある。モステファイの家族や仲間7人が拘束されている。
●アマド・アルモハマド(25歳):シリア人。競技場で自爆。但し、傍で見付かったパスポートは偽造とみられる。ギリシャ当局によるとアルモハマドは、10月3日にギリシャに入国、同7日にマケドニア経由でセルビアに入国している。
●イブラヒム・アブデスラム(31歳):ベルギー在住。テロ襲撃に関わったフランス人3人兄弟の1人で自爆死した。
●ヨセフ・サラヘル:27歳のエジプト人
●ビライ・ハドフィ:20歳のフランス国籍
●ベルギー人2名(氏名不詳)
また、仏捜査当局は、テロ襲撃犯が着用していた自爆用ベストには過酸化アセトンという強力であるが不安定な爆薬が使われていることを明らかにした。このベストは、ヨーロッパで爆薬の専門家が作ったものと推定される。
11月16日付
『ロイター通信』は、ベルギーのモーレンベークが、イスラム過激派の欧州での拠点になっていると報じている。モーレンベークは、ベルギーのブリュッセル首都圏地域に位置する19の基礎自治体の一つであり、ベルギー国内の約50万人のイスラム教徒の多くが住む地域にある。ベルギーは地方分権が強く、フランス語圏とオランダ語圏での対立があるため、治安当局の仕事はやりにくい。また、ベルギーは湾岸諸国からイスラム原理主義者の移住を受け入れてきたことに加え、巨大な武器の闇市場がある。このため、イスラム過激派にとっては格好の隠れ場所になっている。
オランダ・レーデン大学テロ・テロ対策センターのエドウィン・バッカー教授は、「ブリュッセルではベルギーに帰属意識を持たず、非常に孤立していて警察の目が届かない地域が幾つかある」と語っている。また政治状況が複雑なため、イスラム教会での憎しみを煽る説教やシリアでの戦闘への勧誘などを取り締まる立法なども立ち遅れている。ベルギーの政治制度は極端な地方分権であるため、小国でありながら銃火器の密売の一斉摘発すら難しい状況であり、ベルギー当局はイスラム過激派の影響拡大を恐れている。
11月15日付
『BBCニュース』は、パリで起きたテロ事件は、EUの難民対策と国境政策に重大な影響を与えると報じている。早くもポーランドのヨーロッパ担当相が、「難民は安全が確認された場合にのみ受け入れる」述べている。EUで決まった難民配分スキームでは、ポーランドは4500人を受け入れることになっているが、それが実行されるかは疑わしい。EU委員会は、日曜日、難民危機に対し“身勝手な行動”を執らないよう加盟各国に警告したが、難民流入ルートがテロリストに利用されたことがはっきりすれば、難民締め出しの動きは加速する。テロ事件は欧州の社会不安を深め、政治的には右翼がこの機会を利用しようとしている。今回のテロ事件によって、難民問題はより複雑で対処が難しくなったことは間違いない。
また、テロ事件は、シエンゲン協定で取り決めたヨーロッパ内での移動の自由に影響を与えている。ドイツを含め多くの国が同協定の履行を一時中断し、フランスは今一時的な国境出入国管理を敷いている。同放送は、欧州統合の重要な枠組みであるシエンゲン協定を守ろうとする強い決意はあったとしても、各国の国境管理が長引けばそれだけ欧州域内での移動の自由は危うくなってくると警鐘している。
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