ウクライナ戦争で初めてロシア軍女性将校が死亡【英国メディア】
2月下旬に勃発したウクライナ戦争では、ロシア側は中々認めようとしないが、ウクライナ軍の巧みな攻撃によって多くのロシア軍将校や兵士が死亡している。そしてこの程、ロシア軍で初めて女性将校がウクライナ軍のミサイル攻撃で死亡した。2014年のロシア軍によるクリミア半島併合に続く戦闘でも大きな功績をあげていた将校であっただけに、今後のロシア軍の士気に影響を及ぼしかねないとみられる。
8月5日付
『ザ・テレグラフ』紙(1961年創刊)は、「ウクライナ人殺害を“自慢”していたロシア軍女性将校が死亡」と題して、ウクライナ戦争で初めてロシア軍女性将校が死亡したと報じた。
ロシア地元メディアによると、“ウクライナ人を殺害するのは何と楽しいことかと自慢”していた一個師団司令官が、ロシア軍内で最初に死亡した女性将校となった。
オルガ・カチューラ大佐(52歳)で、ウクライナ東部ドネツク州ホルリウカ市において車で移動中にウクライナ軍のミサイル攻撃を受けて死亡したという。...
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8月5日付
『ザ・テレグラフ』紙(1961年創刊)は、「ウクライナ人殺害を“自慢”していたロシア軍女性将校が死亡」と題して、ウクライナ戦争で初めてロシア軍女性将校が死亡したと報じた。
ロシア地元メディアによると、“ウクライナ人を殺害するのは何と楽しいことかと自慢”していた一個師団司令官が、ロシア軍内で最初に死亡した女性将校となった。
オルガ・カチューラ大佐(52歳)で、ウクライナ東部ドネツク州ホルリウカ市において車で移動中にウクライナ軍のミサイル攻撃を受けて死亡したという。
彼女はロシアの傀儡政権であるドネツク人民共和国(DPR、2014年一方的に独立宣言した親ロシア反政府組織)に所属する大佐で、DPRはウクライナ市民を狙って砲撃しているとして西側諸国から糾弾されていた。
ウクライナ軍の戦略通信部はかつて、ウクライナ軍に汚名を着せるため、彼女が率いる部隊がウクライナ軍の制服をまとって市民を攻撃していたと非難している。
ドネツク州出身の彼女は、悪名高い親ロシア派の反乱軍指導者のイゴール・ベズラー少佐(56歳)が率いる部隊に所属するまでは、長い間警察官の職に就いていた。
そして今年1月、ウクライナ西部在の裁判所から、彼女が不出頭のまま、市民を巻き込んだテロ行為に加わった罪で禁固12年の有罪判決が出された。
ウクライナ情報部によると、彼女が2014~2015年の間、ウクライナ東南部ドンバス地方で発生した大規模戦闘の際に市民に向けて大砲を撃ち込むよう命令を下し、多くの犠牲者を出したことが上記の有罪判決に繋がっているという。
彼女はかつて、ロシアのテレビ局のインタビューに答えて、“ウクライナ人との戦闘を楽しんでいる”と豪語していた。
しかし、亡くなる1週間前のインタビューでは、自分は“ウクライナと戦っているのではなく、北大西洋条約機構(NATO)軍と戦っている”と主張していた。
なお、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)は8月4日、ロシア軍の最高の栄誉となる“ロシアの英雄賞”を授けることを決めた。
8月4日付『ザ・サン』紙(1963年創刊)は、「プーチン、ロシア軍で初めて女性将校を喪失」と、“邪悪な女性将校”と呼ばれた一個師団女性司令官が死亡したと報じている。
プーチン大統領は8月4日、ウクライナ軍によるロケット弾攻撃で死亡したオルガ・カチューラ大佐に、ロシア軍の最高の栄誉賞を授けることを決定した。
同大佐は、ウクライナ戦争で死亡した97人目の将校となる。
彼女の死亡のニュースは、プーチン信奉者の一人である国営メディア『RT』テレビのマルガリータ・シモニャン編集長(42歳、2005年就任)が報じた。
同編集長は、“プーチン大統領がカチューラ大佐に「ロシアの英雄賞」を授けた”とした上で、“彼女は私たちの共通の英雄だ”と称賛した。
彼女は2人の子供を持つ母親であったが、同時にDPR所属の大佐で140人の射撃手を率いていた。
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米国がウクライナ戦争に直接関与しているとロシアが批判
ロシアは、米国がウクライナへ武器の供与に伴い提供する情報を例に、米国がウクライナ戦争に対し直接関与していると主張している。
8月3日付
『ロイター通信』:「米国がウクライナ戦争に直接関与しているとロシアが批判」:
2日ロシアは米国がウクライナ戦争に直接関与していると批判した。
これは、ウクライナの軍情報部スキビツキー副部長が英紙のインタビューで、米国が供与した米国製高機動ロケット砲システム(ハイマース)が、高度な衛星画像とリアルタイム情報をもとに使用されていた、と述べたことに反応したもの。砲撃の前には、米国とウクライナ情報部とで協議が行われ、米国側が攻撃停止の司令を出すこともあるという。...
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8月3日付
『ロイター通信』:「米国がウクライナ戦争に直接関与しているとロシアが批判」:
2日ロシアは米国がウクライナ戦争に直接関与していると批判した。
これは、ウクライナの軍情報部スキビツキー副部長が英紙のインタビューで、米国が供与した米国製高機動ロケット砲システム(ハイマース)が、高度な衛星画像とリアルタイム情報をもとに使用されていた、と述べたことに反応したもの。砲撃の前には、米国とウクライナ情報部とで協議が行われ、米国側が攻撃停止の司令を出すこともあるという。
プーチン大統領の側近がトップのロシア軍は、このインタビューが、「米国はロシアとの対立を避け、ウクライナへの支援を武器供与に限定されると主張してきたが、米国が紛争に直接関与している証拠だ」と述べている。そして、民間人が多数犠牲となったウクライナの攻撃によるドンバス地域等の居住地への攻撃は、米国に責任があると主張した。
一方核兵器に関してロシアは、ウクライナ紛争で核兵器使用に至ることはないが、NATO諸国による「直接侵攻」への対抗として、核兵器使用の決定に至る可能性はあるとしている。核拡散防止条約会議で、ロシアのアレクサンダー・トロフィモフ高官は、「核兵器を使う場合があるとすれば、ロシアの国家への脅威となる大量破壊兵器もしくは、通常兵器への対抗策としてのみとなる。これらのシナリオはウクライナ情勢とは関わりがない」と述べている。
8月2日付英『Guardian』:「米国がウクライナ戦争へ直接関与しているとロシアが主張」:
ロシアは、米国がウクライナへ、長距離ミサイルの標的情報を供与していることを批判することで、ウクライナ戦争における米国諜報部の役割を疑問視し始めた。
ロシア国防省は声明で、米国が「多くの民間人死亡」につながる情報を供与することで、戦争に「直接関与」しており、ウクライナによるドンバス居住地域へのロケット攻撃は、米国に責任があるとした。
バイデン米政権は、1日に発表された5.5億ドルの追加支援を含むと、これまでウクライナへの軍事支援が80億ドルを超えると発表しているが、その一方で、ロシアとの戦争に直接参加してはいないと強く主張してきた。
ウクライナ軍情報部のスキビツキー副部長は、英紙テレグラフのインタビューで、米政府が高機動ロケット砲システム(HIMARS)によるミサイル攻撃を調整していることを認めたと指摘した。ロシア軍撃退に、米国産の長距離ロケット砲(ヒマラス)が非常に効果を出していると答えたことが引き金となった。
同部長は、米側による「素晴らしい攻撃予測やリアルタイム情報」が役に立ったと述べるも、米高官が直接標的の情報を共有していた点は否定。しかし、米国とウクライナ高官の間で、攻撃前に協議があったことは認めた。
ロシアのザハロワ外務省報道官は、この発言に飛びつき、報道機関リア・ノボスティに、「米国の直接関与を示すことに他ならない。武器の供与には使用方法の指導が伴うだけでなく、この場合米国は、直接射撃を担っていると言えるだろう」と述べている。
米国はこれまでウクライナにハイマース16基を供与しており、今週4基が追加される予定で、米国から供与される高度なシステムは、ウクライナの防衛の中心を担っている。
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