国際エネルギー機関、電気自動車需要急増と中国経済成長鈍化が相俟って化石燃料需要は2030年までに頭打ちと予測【欧米メディア】(2023/10/25)
国際エネルギー機関(IEA、注1後記)が、電気自動車(EV)需要の急増と中国経済成長鈍化が相俟って、石炭等の化石燃料に対する需要は2030年までに頭打ちとなると予測している。
10月24日付欧米
『ロイター通信』、英国
『ザ・テレグラフ』紙等は、直近で発表されたIEAレポートによると、石炭等の化石燃料に対する需要が2030年までにピークを迎えるというと報じている。
IEAはこの程、EVに対する需要急増に加えて、世界最大のエネルギー消費国の中国の経済成長鈍化によって、石炭等の化石燃料に対する需要が2030年までに頭打ちとなると予測するレポートを発表した。
ファティ・ビロルIEA事務局長(トルコ人エコノミスト、2015年就任)は、“クリーンエネルギーへの転換は世界規模で起こっていて、もう誰も止められない”とした上で、“政府・企業・投資家は、その流れを支援することはあっても阻害してはならない”と訴えた。...
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10月24日付欧米
『ロイター通信』、英国
『ザ・テレグラフ』紙等は、直近で発表されたIEAレポートによると、石炭等の化石燃料に対する需要が2030年までにピークを迎えるというと報じている。
IEAはこの程、EVに対する需要急増に加えて、世界最大のエネルギー消費国の中国の経済成長鈍化によって、石炭等の化石燃料に対する需要が2030年までに頭打ちとなると予測するレポートを発表した。
ファティ・ビロルIEA事務局長(トルコ人エコノミスト、2015年就任)は、“クリーンエネルギーへの転換は世界規模で起こっていて、もう誰も止められない”とした上で、“政府・企業・投資家は、その流れを支援することはあっても阻害してはならない”と訴えた。
レポート掲載の図表では、化石燃料に対する世界の需要が2030年までにピークを迎えると示されていて、ただ、石炭への需要は同年までに頭打ちとなるが、天然ガス・石油の需要の場合はあと二十年ほど先になるとしている。
更にIEAレポートでは、それでも依然化石燃料に対する需要は非常に高く、このままではパリ協定(注2後記)で合意された平均気温上昇を1.5C未満とすることは困難とされている。
なお、IEAの予測では、2030年までにEV需要が今の10倍以上となるとしていて、米国では新車の50%がEVとなり(2年前の予測は12%)、また、2022年の世界のEV販売台数の半分が中国で占められていたことから、中国のクリーンエネルギーに対する需要動向が大きな素因となるとしている。
すなわち、目下世界最大のエネルギー消費国となった中国において、今後の経済成長が鈍化すると見込まれることからも、化石燃料需要減退・クリーンエネルギー需要増に繋がっていくとする。
そこでIEAは、“化石燃料の需要が頭打ちになるからと言って、それらへの投資が停止されることには結びついていないが、投資継続の合理的根拠がなくなりつつあることは明白だ”と結んでいる。
一方、これに逆行する形で、石油輸出国機構(OPEC、注3後記)は今月初め、新規の原油開発プロジェクトへの投資停止との呼び掛けは“見当違い”であり、“反ってエネルギーや経済危機を引き起こしかねない”との声明を発表していた。
(注1)IEA:日・米・仏・英・伊・加・豪等29の加盟国が、その国民に信頼できる、安価でクリーンなエネルギーを提供するための諮問機関。国際と冠しているが、旧西側諸国のみで構成(よって中ロは部外者)されており、国際原子力機関(IAEA)のような国連の組織とは無関係。本部所在地はパリ。
(注2)パリ協定:第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて2015年12月に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定。産業革命前からの世界の平均気温上昇を「1.5℃未満」を目指す等が合意された。
(注3)OPEC:国際石油資本などから石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年9月に設立された組織。設立当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヵ国を加盟国としていたものの、後に加盟国が増加し、現在では13ヵ国が加盟。本部はオーストリア・ウィーン。
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中国、出生率低下阻止のためいよいよ体外受精等支援の出生促進政策実施【欧米メディア】(2023/06/18)
中国は、韓国や日本と同様、出生率低下による人口減少問題に直面しつつある。そこでこの程、出生率低下阻止のため、女性の卵子凍結や体外受精等を公費で支援する出生促進政策を実施することになった。
6月15日付
『ロイター通信』、6月16日付英国
『ザ・テレグラフ』紙は、中国当局が近年の出生率低下に伴う人口減少問題に対応するため、体外受精等を支援する出生促進政策に踏み切ることにしたと報じている。
北京市人民政府は6月15日、近年の出生率低下を食い止めるため、7月1日以降公費で様々な出生促進政策を実施する旨発表した。
同政府傘下の医療保障局の独信副局長(ドゥエ・シン)によると、体外受精、受精卵移植、精子凍結・保存措置等、16に上る様々な不妊治療行為を保険で賄う等で支援するという。...
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6月15日付
『ロイター通信』、6月16日付英国
『ザ・テレグラフ』紙は、中国当局が近年の出生率低下に伴う人口減少問題に対応するため、体外受精等を支援する出生促進政策に踏み切ることにしたと報じている。
北京市人民政府は6月15日、近年の出生率低下を食い止めるため、7月1日以降公費で様々な出生促進政策を実施する旨発表した。
同政府傘下の医療保障局の独信副局長(ドゥエ・シン)によると、体外受精、受精卵移植、精子凍結・保存措置等、16に上る様々な不妊治療行為を保険で賄う等で支援するという。
同政策実施に至る背景として、今年1月、中国の2022年における人口が14億1,180万人と、前年比▼85万人(出生数956万人、死者数1,041万人)と初めて減少に転じたことが挙げられる。
すなわち、2022年出生率が1千人当り6.77人と、直近60年間で初めて前年より大幅に減少(2021年は7.52人)した上、2023年も減少傾向が続くとの予測が明らかになっている。
(編注;2021年の米国における出生率は11.06人、英国10.08人、インド16.42人)
これに先立って中国国家衛生健康委員会(1949年前身設立)は昨年8月、出生率向上のため地方政府に対して具体的な施策実施に向けてのガイドラインを発信していた。
これに沿って中国北東部遼寧省政府(リャオニン)も5月、7月1日以降出生率向上のための支援策を講じると発表している。
ただ、これら支援策の対象は婚姻女性とされていて、未婚の女性は対象外となっている。
この措置に対して、中国政府政策顧問らが今年3月、未婚の女性に対しても卵子凍結・体外受精等の支援を認めるよう提言していた。
かかる状況下、未婚の35歳の北京市在住の女性が北京市公立病院を相手取って、自身の卵子凍結要請が拒否されて権利が侵害されたとして裁判を起こしている。
一方、中国では1979年から施行された一人っ子政策(注1後記)のため、男女間に異常なアンバランスが生じていて、男性が女性よりも3,700万人も多く、婚姻の減少にも繋がってしまっている。
更に、同政策の弊害として、少子高齢化が進む状況となっていて、2035年までには60歳以上の高齢者(注2後記)が4億人超となると見込まれている。
(注1)一人っ子政策:1979年から2014年まで実施された産児制限政策。原則として一組の夫婦につき子供は一人までとする計画生育政策。家父長制の中国では、同政策下で男児が最優先された。2015年から2021年までは一組の夫婦につき子供二人までとされていたため、俗に二人っ子政策と呼称。
(注2)高齢者:国連の定義は60歳以上で、世界保健機関(WHO)では65歳以上。日本の雇用関連の法律上では55歳以上、医療制度上は65~74歳が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者と規定。
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