英国のボリス・ジョンソン首相は、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催されているグラスゴーからロンドンまでプライベート・ジェットで移動し、高級会員制クラブでテレグラフ社の元同僚たちと再会のディナーを楽しんだと報道されている。野党である労働党から「驚異的な偽善」だと批判されている。
ジョンソン首相は、COP26の開会セレモニーで、世界の指導者たちは地球温暖化を食い止めるために「最後の機会であり、今すぐ行動する必要がある。今日、気候変動問題について真剣にならなければ、子供たちの時代には手遅れになってしまう。」と発言していた。
しかし、英メディア『イブニング・スタンダード』と『インデペンデント』によると、ジョンソン首相は、気候会議が開催されているスコットランドからプライベート・ジェットを使ってロンドンに移動し、デイリー・テレグラフの元編集者チャールズ・ムーアとのディナーを楽しんだ。...
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ジョンソン首相は、COP26の開会セレモニーで、世界の指導者たちは地球温暖化を食い止めるために「最後の機会であり、今すぐ行動する必要がある。今日、気候変動問題について真剣にならなければ、子供たちの時代には手遅れになってしまう。」と発言していた。
しかし、英メディア『イブニング・スタンダード』と『インデペンデント』によると、ジョンソン首相は、気候会議が開催されているスコットランドからプライベート・ジェットを使ってロンドンに移動し、デイリー・テレグラフの元編集者チャールズ・ムーアとのディナーを楽しんだ。
首相はグラスゴーで開催されている会議を午後6時20分に出発し、午後7時16分にロンドン・スタンステッド空港に到着した後、男性専用のプライベートクラブ「ギャリック・クラブ」の夕食会に合流した。
今回のジョンソン首相の移動方法について、労働党のアネリーズ・ドッズ議長は「驚異的な偽善」だと述べ、「気候危機に対処するために行動を起こすとなると、保守党用のルール、そしてそれ以外の国のためのルールと分かれているようだ」と批判した。首相はCOP26の冒頭で、参加者たちに「目に見えない息苦しいCO2の毛布で地球を覆うのはやめよう」とも呼びかけていた。
首相官邸はこれまで、「時間的な制約」により、首相は4時間半の列車の旅をすることはできないと説明していた。首相官邸の広報担当者は、「すべての移動は、安全性と時間的制約を考慮して決定されている。首相は、可能な限り持続可能な航空燃料を使用した。このサイズでは世界で最も二酸化炭素排出量の少ない航空機の一つを使用した。英国は、移動を含めたCOP26の運営に関連するすべての二酸化炭素排出量を相殺する」と弁明している。
なお、米『ブライトバート』によると、今回のCOP26には英首相以外にも米国、フランス、カナダ、ドイツ、日本、インド、オーストラリア、イスラエルなどの国の首相たちがそれぞれプライベート・ジェットを利用して気候会議に参加したことが欧米メディアで報じられている。
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トランスジェンダー活動家との論争の中心となっていた英サセックス大学の教授が、トランスジェンダーの権利に関する自身の見解を理由に、学生たちから「いじめと嫌がらせ」を受けていたことが明らかになった。教授は、トランスジェンダー嫌いだと非難を受け、殺害予告を受けていたことにより、大学が「有害な」環境であるとして28日に辞職した。
英
『テレグラフ』によると、サセックス大学の分析哲学の専門家として功績が認められ、大英帝国勲位を受賞しているキャスリーン・ストック教授は最近、生物学的性別よりも性自認の方が「社会的に重要」であるという考え方に疑問を投げかける本を出版した。また、女性のように感じる男性が自動的に更衣室などの女性専用施設を利用したり、女性専用の候補者やスポーツチームに参加したりすることを認めるべきだという考えにも疑問を呈していた。これに対し、「トランスフォビア」であるとしてトランスジェンダー支持の活動家の学生たちから非難され、殺害予告も受け、解任を求める運動も展開されていた。
カナダのオンラインニュースサイト『ポストミレニアル』によると、活動家の学生たちは、大学が彼らの要求に応じるまで抗議活動をエスカレートさせると警告したため、教授はキャンパスに近づかないように注意を受けていた。
10月5日、教授は大学での講義の直前に、女子トイレに貼られた「トランスフォビックなクソ」と教授を非難するステッカーを見つけた。自分の身を守るために、教授は講義をオンライン講義に変更したという。翌朝、教授はキャンパスに通じる地下道が解雇を要求するポスターで埋め尽くされているのを発見した。そのポスターには、「トランスフォビアのために年間9250ポンド(約145万円)も払わない」「ストックをクビにしろ。給料は俺たちのポケットから出ている」と書かれていた。別のポスターには、トランスジェンダーの旗の色の毒蛇が描かれ、「私たちは一緒でなければ安全ではない」という文が添えられていた。
ドラッグクイーン・ストーリータイムの創始者であるトム・カナムは、過激な行動を取った学生たちが「安全でないと感じる」のは、教授が、男性が女性用トイレを使用することに反対したからだと示唆し、これはキャンパス内のあらゆるトイレ施設に男性がアクセスすることへの反対であり、「福祉」の問題であると主張している。
英『テレグラフ』によると、ストック教授はサセックス大学を去ることを発表した際、「非常に困難な数年間だった」と説明し、同じような状況にある他の機関がこのことから学ぶことができることを望んでいると述べた。
大学担当のミシェル・ドネラン英教育閣外大臣は、ストック教授の退任は言論の自由にとって「悲しい日」であると述べ、サセックス大学の「有害な環境」によって、彼女がそこで働き続けることは「耐えられない」ものになったと付け加えた。そして、「学者が身の危険を感じるようなことがあってはならない。これは、言論の自由の法案の必要性を強めるものである。私たちは言論の自由を守るために立ち上がらなければならない」と述べている。
今月初め、「Anti-Terf Sussex 」と名乗るグループは、ストック教授を「この惨めな島で最も著名なトランスフォビアの一人であり、過激なフェミニズムが幼稚に変形したものを信奉している」とオンラインで紹介していた。トランス・エクスクルーショナリー・ラディカル・フェミニスト(trans exclusionary radical feminist)の略であるTerfは、一般的に、女性であることを「アイデンティティー」とすることと、女性として生まれたことは同じではないと考える人たちを指す蔑称として使われている。また、「トランスフォビック」な意見を持っているとみなされる人々を指す言葉としても使われている。
脅迫を受けていたストック教授は、警察から、自宅の玄関に監視カメラを設置し、携帯電話で999をダイヤルすると自動的に自宅に呼び出しがかかるように設定することをアドバイスされていた。
サセックス大学の副学長であるアダム・ティッケル教授は「ストック教授が仕事に復帰できることを期待していたし、そのようにサポートしたいと思っていた」と述べ、学術的に厳密な挑戦は歓迎されることでありながら、ストック教授の研究を理由に、学術界の一因としてのストック教授に対する「不寛容」が見られたと述べた。
「これは今も、そしてこれからも、学問の最も基本的な原則に真っ向から反している。私は、性別や哲学的信念を理由に人を差別することは違法であることを明確にしたいと思う。彼女の退任は、私たち全員にとっての損失だ。」と指摘した。
英『ガーディアン』によると、同大学のトランス系学生を代表すると主張するインスタグラムのアカウントは「今日はサセックスのLGBTQ+の学生にとって大きな勝利だ。1分間とってこの勝利を味わおう」と投稿した。
サセックス大学の学生組合は、「学生には、自分の権利が疑われたり、差別的な表現が共有されたりしたときに、抗議する権利がある」と反論しており、トランスジェンダーとノンバイナリーの学生は、脅迫されているように感じ、大学からのサポートが不足していると不満を訴えていたという。
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