中国歩み寄り姿勢の豪州労働党政権に対し、中国軍がまたしても豪州海軍機に挑発行為【欧米メディア】(2024/05/08)
昨年来既報どおり、9年振りに返り咲いた豪州労働党政権は、危機的な対立関係となった対中国政策を見直し、中国に歩み寄る姿勢をみせている。しかし、こと安全保障問題では前政権を踏襲して米英豪3ヵ国軍事同盟(AUKUS、2021年発足)を継続・強化する対応を取っている。そこで豪州側対応を嫌気してか、中国軍戦闘機がまたしても豪州海軍機に対して挑発行為に出ている。
5月7日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』、欧米
『ロイター通信』、8日付米
『AP通信』、英国
『ジ・インディペンデント』紙、フランス
『AFP通信』は、豪州首相が中国軍機による豪州海軍機への挑発行為を強く非難したと報じている。
豪州労働党政権は、2022年5月に9年振りに政権に返り咲いて以来、前政権下で危機的な対立関係となった対中国政策を見直し、歩み寄る姿勢をみせてきている。
しかし、こと安全保障問題では米同盟国としての立場を踏襲しており、インド太平洋地域の平和と安定を維持する上で、中国対峙も止む無しとしている。...
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5月7日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』、欧米
『ロイター通信』、8日付米
『AP通信』、英国
『ジ・インディペンデント』紙、フランス
『AFP通信』は、豪州首相が中国軍機による豪州海軍機への挑発行為を強く非難したと報じている。
豪州労働党政権は、2022年5月に9年振りに政権に返り咲いて以来、前政権下で危機的な対立関係となった対中国政策を見直し、歩み寄る姿勢をみせてきている。
しかし、こと安全保障問題では米同盟国としての立場を踏襲しており、インド太平洋地域の平和と安定を維持する上で、中国対峙も止む無しとしている。
ところが、そうした対応が気に喰わないのか、中国人民解放軍(PLA、1927年創設)所属の成都J-10戦闘機が5月4日、黄海上空を飛行中の豪州海軍ヘリコプター「シーホーク」に向けてフレア(赤外線誘導の兵器を惑わすために使うおとりの閃光弾)を発射する事態を引き起こした。
豪州政府発表によると、同ヘリコプターの操縦士は、万が一フレアに衝突して墜落するのを避けるため“緊急回避行動”をとらねばならなかったとする。
かかる挑発行為は、昨年11月にも、日本海で停泊中の豪州軍艦「トゥーンバ」(2005年就役)乗船の豪州人潜水夫に対して、PLA駆逐艦「寧波」(2006年就役)がソナー(水中を伝播する音波を用いて、海中・海底の物体に関する情報を得る装置)を浴びせる事態が起こっている。
潜水夫は、同艦のスクリューに絡まった漁網を取り除く作業をしていたが、そのソナーパルスのために軽傷を負っている。
しかしながら、中国側は今回の事態に対しても、豪州軍側の落ち度を責めるコメントをしている。
すなわち、中国外交部(省に相当)の林剣報道官(リン・チァン、47歳、2024年就任)は5月7日の記者会見で、“豪州軍ヘリコプターが中国の領空近くで「挑発的行動」を取ったため、中国軍戦闘機が然るべく対応をした”として、豪州側を非難した。
これに対して、アンソニー・アルバニージー首相(61歳、2022年就任)は5月7日、地元ラジオ局のインタビューに答えて、“(中国報道官が中国領空近く、と言及しているとおり)豪州軍ヘリコプターは正に国際法上で認められた空域を飛行していたことは間違いない”とした上で、“国連安全保障理事会採択の、対北朝鮮制裁状況を監視する任務に就いていたものであり、中国側非難は全く的外れだ”と強硬に反論している。
同首相は更に、“PLA戦闘機が取ったプロ意識に欠ける行動は全く容認できないし、中国報道官が何と言おうと、PLA戦闘機の行為を危険だとする豪州国防軍の評価を何ら棄損するものではない”とも強調した。
なお、同首相は、李強首相(リー・チャン、64歳、2023年就任)が来月来豪した際、本件も話題に上げると付言している。
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米国、中国鉄鋼の関税引き上げ検討(2024/04/18)
バイデン米政権は、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとしている。
4月18日付
『AP通信』:「バイデン氏、米鉄鋼業界保護と日本の買収阻止表明、中国関税引き上げ検討」:
バイデン政権は17日、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとした。通商政策を通して、激戦区であるペンシルバニア州の労働者票を固める狙いがある。中国強硬策を今も提案するトランプ氏と同様の施策となる。
バイデン大統領は、ピッツバーグの米鉄鋼組合の本部で、「1世紀以上の間、米国企業の代表格だったUSスチールは米国の企業であり続けるべき」だと述べた。...
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4月18日付
『AP通信』:「バイデン氏、米鉄鋼業界保護と日本の買収阻止表明、中国関税引き上げ検討」:
バイデン政権は17日、USスチールの買収を阻止し、鉄鋼業界を保護するため、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げることを検討するとした。通商政策を通して、激戦区であるペンシルバニア州の労働者票を固める狙いがある。中国強硬策を今も提案するトランプ氏と同様の施策となる。
バイデン大統領は、ピッツバーグの米鉄鋼組合の本部で、「1世紀以上の間、米国企業の代表格だったUSスチールは米国の企業であり続けるべき」だと述べた。
政権当局は、日本製鉄による買収提案を調査しており、先月、バイデン氏が買収反対の姿勢を表明していた。今回も、同社が「米国内で所有・運営される米鉄鋼会社であり続けることが不可欠」だと強調した。
在米中国大使の報道官は、米国は「一国主義と保護主義により、再三にわたり関税引き上げという間違いを犯している」と批判している。
米当局によると、中国は世界の鉄鋼の約半分を生産し、米国製の半値未満で市場に出回っている。関税引き上げにより、自動車の生産コストや建設資材価格の上昇などによるという経済リスクが懸念される。
4月17日付米『ボイス・オブ・アメリカ』:「再選に向けバイデン氏、中国の鉄鋼関税3倍へ」:
米鉄鋼業界では、低価格の中国産の影響を懸念し、労働組合からの圧力が高まっており、バイデン大統領は、中国製の鉄鋼とアルミニウムの関税を3倍に引き上げる構えだ。
2018年、トランプ前大統領は、貿易拡大法第232条に基づき、鉄鋼輸入製品への25%、アルミ製品への10%の関税措置を発表したが、トランプ氏が設定した関税は現在7.5%に留まっている。
アメリカ鉄鋼協会がまとめた国勢調査局のデータによると、中国は2023年、米国への鉄鋼輸入国第7位で、59,8万トンを米国へ輸出している。
通商拡大法232条は、ダンピングや輸入関税よりも、国家安全保障により関係しており、2020年からはパートナー国からのアルミニウムや鉄鋼などの一定商品が例外措置とされている。アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、日本、EU、メキシコ、韓国、英国の鉄鋼が、全面または一部除外、アルミニウムでは、アルゼンチン、豪州、カナダ、EU、メキシコ、英国が同様に除外となる。
バイデン氏は就任後、ペンシルバニア州の28000人を含む80万人の雇用創出目標を掲げている。現在では工業が衰退し失業率の高い、かつての製造業、鉄鋼業、石炭産業の中心部をさす「ラストベルト」が益々、選挙の重要な争点となってきている。
今月初頭、岸田首相が訪米した際、バイデン氏はUSスチールの買収提案への反対を再度繰り返し表明した。3月、この表明を受け、米鉄鋼組合がバイデン氏への支持を発表している。
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