6月3日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「中国、年末までに14億人の80%にワクチン接種を完了させると宣言」
中国政府はこの程、年末までに14億人の実に80%の国民へのワクチン接種を達成すると発表した。
『AP通信』報道によると、6月2日現在、中国におけるワクチン接種者は7億400万人であるが、一日当たり1,900万回分のワクチン供給を続けているという。
米国におけるピークは4月であったが、それでも一日当たり340万回分であった。...
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6月3日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「中国、年末までに14億人の80%にワクチン接種を完了させると宣言」
中国政府はこの程、年末までに14億人の実に80%の国民へのワクチン接種を達成すると発表した。
『AP通信』報道によると、6月2日現在、中国におけるワクチン接種者は7億400万人であるが、一日当たり1,900万回分のワクチン供給を続けているという。
米国におけるピークは4月であったが、それでも一日当たり340万回分であった。
中国は、公式データを公表していないため定かではないが、北京市民の87%が既に1度目のワクチン接種を済ませているといい、ただ、これは中国平均値を大きく上回る数値である。
一方、西側諸国では、6月2日に日本主導で開催されたワクチン・サミットにおいて、COVAX宛に約24億ドル(約2,640億円)の資金拠出が決定され、そのうち日本が最大となる8億ドル(約880億円)の追加拠出を新たに表明している。
また、カマラ・ハリス副大統領(56歳)もかねて表明したとおり、2021~2022年合計で40億ドル(約4,400億円)の拠出につき再確認している。
その他、カナダ、フランス、スペイン、スウェーデン等も拠出を表明しており、この結果、COVAX資金は96億ドル(約1兆560億円)に上ることになっている。
COVAXは、途上国向けのワクチン確保を目的として立ち上げられたグローバル組織で、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI、注2後記)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(2000年創設の世界最大の慈善基金団体)が立ち上げたGAVIアライアンス(GAVI、注3後記)等が主導して運営している。
ただ、これまでにCOVAXが配布できたワクチンは、当初の目標である年内に20億回分に対して、127ヵ国宛、僅か7,700万回分に留まっていた。
一方、2022年北京冬季オリンピック開催を控える中国の対応に比し、1ヵ月半後に東京オリンピック開会式を迎える日本では、COVID-19変異株の蔓延に対してワクチン接種の遅れ等もあって、依然逆風にさらされている。
5月31日にリリースされた『日経新聞』の世論調査の結果、回答者の60%以上が大会の再延期、もしくは中止を要求していて、予定どおりの開催を望むのは僅か34%に留まっている。
また、COVID-19感染症対策分科会の尾見茂会長(71歳、医学者・厚生官僚)が6月2日、衆議院厚生労働委員会の席上、現下の感染症蔓延状況下で東京大会を開催することは無理があるとし、もし開催する場合には、東京大会組織委員会の責任で規模縮小等を考える必要があると発言した。
これに加えて今週、東京大会に関わるボランティア(注4後記)のうち約1万人が辞退したとの報道がなされている。
しかし、同組織委員会の武藤敏郎事務総長(77歳、元大蔵・財務事務次官、元日銀副総裁)は同日、既に海外からの観戦者受け入れを中止しているので、1万人のボランティア辞退で大会運営に悪影響を及ぼすことはないと断言した。
更に、同組織委員会の橋本聖子会長(56歳、衆議院議員、元スピードスケート・自転車競技選手)も6月3日、大会の再延期はあり得ない、としてあくまで予定どおりの開催を支持している。
(注1)COVAX:COVID-19ワクチンへの公平なアクセスを目的としたグローバルな取り組みで、CEPI、GAVI、世界保健機関(WHO、1948年設立)などが主導。
(注2)CEPI:世界連携でワクチン開発を促進するため、2017年1月世界経済フォーラム・ダボス会議において発足した官民連携パートナーシップ。 日本、ノルウェー、ドイツ、英国、オーストラリア、カナダ、ベルギーに加え、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラスト(1936年設立、英国本拠の医学研究支援等を目的とする公益信託団体)が拠出。平時には需要の少ない、エボラ出血熱のような世界規模の流行を生じる恐れのある感染症に対するワクチンの開発を促進し、流行が生じる可能性が高い低中所得国においてもアクセスが可能となる価格でのワクチン供給を目的としている。
(注3)GAVI:子供の予防接種プログラムの拡大を通じて、世界の子供の命を救い、人々の健康を守ることをミッションとした同盟で、民間セクター、公共セクターが共に参加する革新的なメカニズム。世界経済フォーラムの2000年総会で設立。ワクチンと予防接種のための世界同盟(Global Alliance for Vaccines and Immunization)より改称。
(注4)東京大会ボランティア:大会組織委員会が募集した大会ボランティアが約8万人、これに加えて、各自治体が募集した都市ボランティアが約3万人に上る。
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中央アフリカにあるカメルーンの人権団体、野党、地元メディアは、国際通貨基金(IMF)からの3億3500万ドル(約369億円)の融資の大半がどのように使用されたのかを説明できていないことを受けて、政府に調査結果を公表するよう求めている。
使い道が不明となっている資金は、パンデミックによる経済への打撃を食い止めるための、カメルーンに対するIMFの融資の一部だった。2020年3月にカメルーンでコロナウイルスの流行が始まって以来、IMFはカメルーンに対して2つの緊急融資を承認し、総額3億8200万ドル(約421億円)を融資していた。
米国営放送局『ボイス・オブ・アメリカ』によると、カメルーンの人権団体や野党が、新型コロナウイルス対策のためにIMFから融資された約3億3500万ドルの使い道について、政府に説明を求めたところ、カメルーン政府は31日、行方不明のIMF資金に関する調査は続いており、市民に冷静な対応を求める声明を発表した。政府報道官のレネ・エマニュエル・サディ氏は、「正義は必ず実行される」と述べた。政府当局はまた、この1週間で15人の閣僚が資金の使い道を説明するために最高裁判所と特別刑事法廷に出頭したことを明らかにした。
野党である社会民主戦線党の法律顧問であり、カメルーン人権連盟のメンバーでもあるジョゼフ・ラボアジエ・ツァピ氏は、最高裁で一部の閣僚が資金を盗んだことが発覚した際、カメルーン特別刑事法廷は、閣僚の逮捕を命じるべきだったと述べている。支援金は、命を救い、苦しんでいる人々を支援するために投資されるべきだったと指摘している。同氏は、カメルーンの政府閣僚には議員のような免責特権がないことを明確にしたいと主張している。
米ニュースサイト『ブライトバート』によると、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は4月23日、「カメルーン政府はIMFに対し、支援金の支出に関する半年ごとの報告書の発行、独立した監査の委託、調達契約を受注した企業とその実質的な所有者の名前の公表など、透明性のある資金の使用を約束していた」と指摘し、「しかしながら、政府は、その支出について有意義な公的監視を可能にする詳細な情報をいまだ公表していない」と批判した。さらに、「政府当局は、1993年以来、すべての医療センターが収入の10%を支払っている健康連帯基金の使用についても沈黙を守っている。この基金は、今回のパンデミックのような公衆衛生上の緊急事態に備えた準備金として機能することを意図している」と述べた。
HRWはIMFに対し、交渉中とされるカメルーンへの第3次新型コロナウイルス融資を承認する前に、カメルーン政府が資金の使用について「独立した信頼できる」監査を行うよう求めている。HRWの上級ビジネス・人権研究員であるサラ・サードゥン氏は、「支援金の利用状況を説明しようとする突然の意向は、IMFとカメルーン政府が、パンデミックの発生以来3回目の融資を交渉するにあたり、透明性と説明責任に一層の注意を払っているという良い兆候である。しかし、監査や調査が独立していて信頼できるものでなければ、IMFはお役所仕事に陥る危険性がある」と警告している。
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