中外製薬;英国政府による同社製医薬品が新型コロナウィルス感染症治療に効果ありとの発表で株価急上昇【米・英国メディア】(2021/01/13)
世界中で猛威を振るう新型コロナウィルス(COVID-19)感染症については、ワクチン開発に注目が集まっている。しかし、防疫も重要ながら、焦眉の急は有効なCOVID-19治療薬の発見であろう。そうした中、英国政府がこの程、中外製薬(1943年設立)が開発した関節リウマチ用の医薬品がCOVID-19重症患者の治療に効果がみられたと公表した。それを受けて、同社の株価は急上昇している。
1月12日付米
『CNBCニュース』:「中外製薬株価、英国政府による同社製医薬品がCOVID-19治療に有効との発表を受けて急上昇」
中外製薬の1月12日株価が、取引途上で+16.26%も急上昇し、終値でも前日比+5.91%の値を付けた。
これは、英国政府が、同社の関節リウマチ用医薬品トシリズマブによってCOVID-19重症患者の治療に大きな効果が得られたとの発表を受けた結果である。...
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1月12日付米
『CNBCニュース』:「中外製薬株価、英国政府による同社製医薬品がCOVID-19治療に有効との発表を受けて急上昇」
中外製薬の1月12日株価が、取引途上で+16.26%も急上昇し、終値でも前日比+5.91%の値を付けた。
これは、英国政府が、同社の関節リウマチ用医薬品トシリズマブによってCOVID-19重症患者の治療に大きな効果が得られたとの発表を受けた結果である。
英国保健省(NHS)は1月7日、同社医薬品を“集中治療が必要となった重症患者に対して24時間以内にトシリズマブを投与したところ、死亡率が24%も改善する効果が得られた”との結果を公表した。
更に、“集中治療が必要となる期間も、平均7~10日も早められた”とも言及した。
(編注;英国との時差のため、1月8日株価には反映せず、翌営業日の1月12日となったものとみられる)
NHSのマット・ハンコック大臣(42歳)は、“(ワクチン開発に続いて)COVID-19感染流行問題から脱却する上でまたひとつの大きな成果が得られた”と強調している。
同政府は、この結果を踏まえて、トシリズマブを全国の集中治療室で使用するよう指導していくとする。
更に、同医薬品を中外製薬と共同開発したスイス製薬会社ロシュ(1896年設立)に対して、英国向けの供給を増やすようはたらきかけるという。
なお、ロシュは中外製薬の大株主(61.62%保有)でもある。
一方、ボリス・ジョンソン首相(56歳)は先週、感染力の高いCOVID-19変異種が蔓延し始めたとして、イングランド・カントリー全土に都市封鎖措置を講じている。
1月7日付『英国政府プレスリリース』:「NHS、COVID-19重症患者の集中治療期間を10日間も短縮可能な治療薬を提供許可」
NHSは1月7日、関節リウマチ用医薬品トシリズマブ及びサリルマブ(注1後記)によって、COVID-19重症患者の死亡率が24%も下がり、また、集中治療室での治療期間も最大10日間短縮できたことが分かったと発表した。
英国政府も資金援助している世界的医療機関共同組織REMAP-CAP(注2後記)英国拠点において、COVID-19重症患者に上記2種類の医薬品を投与した結果、上記のような目覚ましい成果を得られたことが確認されている。
従って、NHSは、英国全土のCOVID-19重症患者の集中治療に当たって、これら医薬品の使用を勧めることとする。
(注1)サリルマブ:商品名ケブザラ。米ニューヨーク州のリジェネロン薬品(1988年設立)及びパリ本社のサノフィ(1973年設立)が共同開発した関節リウマチ用医薬品。
(注2)REMAP-CAP:2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や2012年の中東呼吸器症候群(MERS)の感染流行問題を契機に、世界中の医療機関が協力し、重症市中肺炎の最適な治療法を、早期に見出すことを目的とした大規模国際プラットフォーム。世界の主要な救命救急医療に携わる医療者、感染症の集団発生に対応できる医療者、その他にもウイルス、免疫の研究者や、統計学者などの多彩な専門家によって主導。日本を含めて、すでに北米、欧州、オセアニアなどの218拠点で、1100人以上の患者が登録。
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新型コロナウィルス;投機筋は欧米比で深刻度が低いアジアに期待も、直近の感染者急増に懸念【米メディア】(2020/12/25)
アジア主要国は、欧米諸国に比して、新型コロナウィルス(COVID-19)感染者も死者も人口当たりで非常に低い。そこで個人投資家も機関投資家もアジアの景気回復は早いと期待していた。しかし、直近では日本、韓国等の感染者が再び急増し、一方、COVID-19ワクチン接種が依然始まっていないこともあって、来年のアジア市場に懸念を抱き始めている。
12月24日付
『CNBCニュース』:「日本、韓国でのCOVID-19感染者急増でアジアの景気回復に影響」
米ジョンズ・ホプキンズ大(1876年設立のメリーランド州私立大学)の集計データによれば、アジアの主要国のCOVID-19の感染者数は欧米諸国に比べて遥かに低い。
しかし、直近では、日本、韓国等の新規感染者が、世界的流行となった今春当時より遥かに多く発生しているため、来年のアジアにおける景気回復見通しに暗雲が立ち始めている。...
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12月24日付
『CNBCニュース』:「日本、韓国でのCOVID-19感染者急増でアジアの景気回復に影響」
米ジョンズ・ホプキンズ大(1876年設立のメリーランド州私立大学)の集計データによれば、アジアの主要国のCOVID-19の感染者数は欧米諸国に比べて遥かに低い。
しかし、直近では、日本、韓国等の新規感染者が、世界的流行となった今春当時より遥かに多く発生しているため、来年のアジアにおける景気回復見通しに暗雲が立ち始めている。
英国の経済リサーチ会社パンテオン・マクロエコノミクス(PM、2012年設立)は、“アジアの主要国にとって、今年深刻だったCOVID-19問題が、1月1日を迎えても改善する見込みが立たないだろう”と分析している。
主要国の現状は下記どおり;
<日本>
・12月23日現在、感染者20万7,007人、死者2,941人(致死率1.4%)。
・今年11月頃から再び感染者が増え始め、先週にはついに一日当たり3千人超の最多記録更新。
・『ロイター通信』報道によると、日本医師会等が挙って、このままいけば医療崩壊につながると非常事態宣言。
・しかし、菅義偉首相(72歳)は、主導していたGo-to-travelキャンペーンを一時中止としたものの、再び全国に非常事態宣言を発出することには消極的。
・PMのエコノミストは12月23日、日本政府が進めている“比較的生ぬるい”ソーシャルディスタンシング・ルールでは感染防止という効果は期待薄とコメント。
・また、来年の1~3月期の日本の景気動向は、“新年早々にも二度目で、かつもっと効果的な非常事態宣言が発出されるか否か”にかかっているとも付言。
<韓国>
・12月23日現在、感染者5万3,533人、死者756人(致死率1.4%)。
・日本と同様、今月になっての一日当たり感染者は1千人超と、これまでの記録を更新。
・ただ、ソーシャルディスタンシング・ルールは日本よりも厳しい対応。
・『聯合(ヨナプ)ニュース』報道によると、政府が12月22日、全国で5人以上の集会・会食等を禁止し、また、スキー場等の冬季施設の閉鎖を命令。
・PMは、かかる措置によって韓国の景気への悪影響は今年10~12月期内で留められるかもしれないとコメント。
<マレーシア>
・12月23日現在、感染者9万8,737人、死者444人(致死率0.4%)。
・米ジョンズ・ホプキンズ大データによれば、9月まででは感染がほぼ沈静化していたが、10月以降に急増。
・そこで、政府は部分的都市封鎖等、新たな厳しい措置を講ずる見込み。
・英国の経済リサーチ会社キャピタル・エコノミクス(CE、1999年設立)は12月22日、10~12月期の同国経済は、特に個人消費の落ち込みで“弱含み”となろうと分析。
・CEは更に、“今後導入されるであろう行動制限措置によって、(COVID-19沈静化していた)7~9月期の個人消費の伸びは大きく落ち込むとみる”とし、“グーグル・モビリティ・データ(注後記)が頻繁に使われることで、ソーシャルディスタンシング・ルール堅持のため個人の行動が著しく制限される”と解説。
(注)グーグル・モビリティ・データ:今年3月末からグーグルが公開したもので、外出自粛などの政策で人々の行動がどのように変わったかをデータ化し公開。娯楽施設や店舗・公共交通機関などの大分類を用いこれらの場所の傾向を時系列のグラフで表示。日本等131ヵ国が対象。
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