10月4日付
『AP通信』:「北朝鮮のミサイル発射で日米協議」:
北朝鮮が、日本上空を通過し過去最長の飛行距離となる弾道ミサイルを発射したのを受け、バイデン大統領は4日、岸田首相と今後の対策を協議した。
ホワイトハウスの声明によると、両首脳は、北朝鮮のミサイル発射を「最も強い言葉」で非難し、日本国民を危険にさらし、当地域の安全を脅かすものであり、国連の安全保障決議に明らかに違反しているとしている。更に日米は、国際社会と連携し、即時かつ長期的に対応することで一致。また、北朝鮮の違法なミサイル開発の阻止も宣言している。両首脳間では、拉致問題についても協議された。
米国との核外交を拒否する金正恩の北朝鮮は今年、20ヶ所以上の場所から、約40発のミサイルを発射している。しかし、過去10日間で5回目の発射となる4日のミサイル発射は、最も挑発的なものとなった。この度重なるミサイル発射は、明らかに、先週朝鮮半島で米韓や日米間で行われた軍事演習への対抗とみられる。
米国のジャンピエール報道官は北朝鮮との会談の可能性へは言及していないが、前提条件なしでの会談の可能性は否定した。バイデン政権内では、米国や太平洋上への挑発を続ける北朝鮮への懸念が高まっている。
同日付米『CNBCニュース』:「北朝鮮のミサイル発射で米警戒」:
北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射に対し、米国のバイデン政権は、同盟国と連携をとり、様々なレベルでの対応を行った。
岸田首相とは、米国政府の「日本の防衛への強固なコミットメント」を表明。サリバン国家安全保障顧問、ブリンケン国務長官は、日韓の各担当者と協議。オースティン国防長官も、日韓と電話会談を行った。これら各閣僚の電話会談の公式発表で目立ったのは、「強固な」という言葉だった。
米韓は北朝鮮のミサイル発射に対抗し、朝鮮半島沖の黄海で、空軍による標的爆撃の訓練などの合同演習を行った。無人島を標的とした爆撃も行われたという。
また日米も、米海兵隊戦闘機と航空自衛隊による共同訓練を行った。米国防総省のカービー報道官は、これらの訓練は、ミサイルへの対抗としての軍事演習である一方、高まる脅威への日米韓の連携を強化する目的もあるとしている。
同氏は4日のテレビ出演で、「北朝鮮のミサイル発射は、時に成功し時に失敗するが、そうやって性能を向上している。我々はこれに警戒を続け、防衛能力を高めておかねばならない」と述べている。
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日本は、欧米やアジアの一部の国と違って、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題が収束しない段階での外国人への門戸開放に否定的であった。しかし、ここへきて漸く重い腰を上げ、6月から外国人旅行者の受け入れを再開する運びとなった。ただ、保守的傾向の強い高齢者が全人口の3分の1以上を占めていることもあるのか、直近のアンケート調査の結果、大多数の日本人は依然門戸開放に消極的である、と米メディアが報じている。
5月11日付米
『CNBCニュース』は、「日本、6月から外国人旅行者受け入れを再開する予定であるも、多くの日本人は不満」と題して、それまでも保守的傾向にあった日本人の多くが、かつての観光立国の掛け声よりも、COVID-19感染再爆発を懸念して門戸開放に消極的だと報じている。
アジア諸国の多くは、外国人旅行者受け入れを再開しているが、欧米諸国にとって訪問先としての人気度が高い日本は依然閉鎖したままである。
ところが、ここへきて漸く変化の兆しがみえる。
すなわち、岸田文雄首相(64歳、2021年就任)が訪問先のロンドンで5月5日、6月に外国人旅行者受け入れを再開すると発表したからである。
しかし、多くの国の住民は大抵、感染防止のための入境制限措置が緩和されることを歓迎するが、日本人の多くはこの動きに否定的である。
これまでも日本人の多くは、COVID-19感染問題発生前から国内旅行を好んでいて、「観光庁(JTA、2008年設立)」の資料によると、2019年における国内旅行関連売上高は21兆9千億円(1,670億ドル)にも上る。
一方、JTAによると、同年の外国人観光客は約3,200万人と、10年前の680万人から大幅に増加したものの、大手経営コンサルティング会社「ベイン&カンパニージャパン(1982年設立)」の奥野慎太郎シニアパートナーは、訪日観光客の消費額は日本の国内総生産(GDP)の5%以下であることから、“政府も、他産業に先駆けて観光産業を優先した政策を取るまでの必要性を感じていない”と分析している。
そして、『NHK』が直近で行ったアンケート調査の結果、回答者の65%以上が、入国制限の継続を望んでいるどころか、むしろ緩和に反対するとの声を上げていることが判明した。
この背景には、比較的に保守的傾向のある65歳以上の高齢者が、全人口の3分の1近くを占めることが挙げられる。
訪日観光客向けガイドツアーを運営している「ジャパン・ローカライズド(2017年設立)」の宮本大代表によると、COVID-19問題前には多くの観光客を案内していた京都において、余りにも多くの観光客が詰めかけたことに辟易した地元住民が、(コロナ禍で)“静寂さが戻った”と歓迎しているとの声を聞いているという。
また、京都を中心にバックパッカー(低予算の個人旅行者)相手のツアーを請け負っていた「クラフト旅」のリー・シアン・チー事業開発責任者も、“多くの京都住人が、観光客が増えすぎて閉口していたが、今は20年前の静かな京都に戻って安堵している”と述べているという。
同社自身も、コロナ禍の最中で外国人顧客が激減したことより、“オンライン・ツアー”事業を展開していたが、諸外国で観光客受け入れが再開し始め、その“オンライン・ツアー”自身の需要も減り始めているという。
なお、岸田首相が、日本においても外国人旅行者受け入れを再開すると表明しても、2021年に僅か25万人に落ち込んだ訪日旅行者が以前のように簡単に増えることはないとみられる。
何故なら、地元紙の報道では、日本入国に当たって、ワクチン接種や陰性証明、更には自主隔離の必要性などが条件付けられるばかりか、少人数のパッケージツアーが受け入れ対象とされているからである。
ただ、「日本政府観光局(JNTO、2003年設立、正式名称:独立行政法人国際観光振興機構)」が『CNBCニュース』に語ったところによると、まだ訪日観光客受け入れに関して、何ら具体的な指示を受けていないという。
従って、日本人にとって、外国人観光客が増えすぎて辟易することになるのはまだ当分先の話とみられる。
同日付マレーシア『ベルナマ』(マレーシア国営通信、1968年設立)は、「日本、6月から1日2万人までの観光客受け入れ再開」と題して、日本が少しずつ観光客受け入れを増やしていくと報じている。
5月11日付『NHK』報道によると、日本政府は6月から、外国人旅行者の受け入れについて、これまでの枠を倍増して1日2万人までとする意向だとしている。
所謂ゴールデンウィークが終わって、COVID-19感染問題の深刻化に至っていない状況から、検疫等の水際対策によって、受け入れ観光客を増やすことは問題ないと判断したとみられる。
政府関係者によると、少人数のパッケージツアーであれば、早ければ今月から受け入れ条件緩和措置が取られる見込みだという。
日本では、昨年11月下旬よりCOVID-19感染者再急増を受けて、日本に居住していない外国人の入国を禁止する措置が講じられてきていた。
ただ、日本が、主要7ヵ国(G-7)の中で最も厳しい入国制限措置を長期間にわたって続けていることから、観光業界含めて多くの事業関係者から厳しく批判されていた。
実際問題、昨年11月以降の外国人入国者数は1日当たり3,500人に制限され、それが今年3月1日に5千人、3月14日に7千人、そして4月10日に1万人と僅かずつの増加に留まっていた。
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