トランプ大統領;任期中最後の(?)G-20サミット出席も、新型コロナウィルス感染対策セッションには参加せずゴルフ場に直行【米・英国メディア】(2020/11/22)
既報どおり、敗北を認めようとしないドナルド・トランプ大統領(74歳)は、特に外交問題をめちゃくちゃにしたままジョー・バイデン次期大統領(77歳)に押し付けようとしている。ただ、盟友であるムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(35歳)の顔を立ててか、サウジアラビアが議長国となっている主要20ヵ国首脳会議(G-20サミット)には出席した。しかし、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題からオンライン会議となっていることを良いことにして、COVID-19感染対策セッションには参加せずゴルフ場に直行している。
11月21日付米
『CNBCニュース』:「トランプ大統領、任期の最後となるG-20サミットに出席も、感染症対策セッションは欠席」
ドナルド・トランプ大統領は11月21日、サウジアラビアが議長国となってオンライン上で開催されたG-20サミットに出席した。
しかし、同サミットで最も重要事項のひとつとされるCOVID-19対策セッションには参加せず、大統領選敗北後、ほとんど毎週末過ごしたバージニア州のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブに直行して、ゴルフに興じている。...
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11月21日付米
『CNBCニュース』:「トランプ大統領、任期の最後となるG-20サミットに出席も、感染症対策セッションは欠席」
ドナルド・トランプ大統領は11月21日、サウジアラビアが議長国となってオンライン上で開催されたG-20サミットに出席した。
しかし、同サミットで最も重要事項のひとつとされるCOVID-19対策セッションには参加せず、大統領選敗北後、ほとんど毎週末過ごしたバージニア州のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブに直行して、ゴルフに興じている。
ただ、ホワイトハウスがリリースした声明によると、同大統領はG-20サミットの冒頭、COVID-19対策のためのワクチン開発や経済の早期回復に注力していると(いつもの自画自賛の)演説をしている。
G-20首脳の何人かは、世界保健機関(WHO)が主導している共同開発ワクチンについて、世界に公平に配布するよう求めている。
しかし、自国第一主義を標榜するトランプ政権は今夏、WHOから脱退すると宣言したばかりか、WHOが推進しているCOVAXファシリティ(注後記)にも参加しないと表明している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領(42歳)は、当該システムの下、まず最も後進国向けにワクチンがわたるよう国際社会が協力していくことが重要だと訴えた。
また、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(66歳)は、“感染爆発を抑えるためには、各国が一致協力してワクチン開発・供給体制を構築することが肝要”とした上で、“そのために十分な基金を準備する必要がある”と強調した。
一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(68歳)は、既に開発を終えたスプートニクⅤワクチンを他国に提供する準備を進めており、更に2つ目、3つ目のワクチンも開発中だと同サミットで説明した。
また、中国の習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)も、現在5つのワクチンが最終臨床試験となるフェーズ3に進んでおり、その開発及び供給体制構築に努めていると表明した。
11月22日付英国『メール・オンライン』:「トランプ大統領、G-20サミットの“感染症対策セッション”を欠席してゴルフ場直行」
トランプ大統領は11月21日、オンライン上で開催されたG-20サミットの冒頭部分に参加しただけで、同サミットにおける最も重要課題のひとつである感染症対策セッションを欠席し、ゴルフ場に直行した。
COVID-19は、世界中の感染者が5,700万人を超え、また、死者も130万人超となっており、その中にあって米国は感染者・死者とも世界最悪となっている。
にも拘らず、当該セッションに加わらなかったばかりか、早速ツイッターで、“バイデン体制下では、これ程早期にワクチン開発を達成することはあり得ない”と主張するばかりである。
更に同大統領は、“「フェイクニュース」をばらまくメディアは、COVID-19は米国ばかりか世界に蔓延しているのに、米国を悪くいうニュースのみを流している”とした上で、“COVID-19感染者の中で、米国における致死率が低いことも報道しようとしない”とメディアを一方的に責めるツイートをしている。
(注)COVAXファシリティ:開発されたワクチンを、途上国含め世界が公平に配分できるようにするワクチン国際共同購入システム。日本含め186ヵ国が参加していて、現在5種類のワクチンが最終臨床試験段階に進んでいる。
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中国とインド;ヒマラヤ山脈西部の国境紛争はひとまず一時停戦に合意【米・インドメディア】(2020/09/11)
9月4日付GLOBALi「
中国の帝王;インドとの国境紛争で期待に沿えない中国軍部隊に大ナタ」で報じたとおり、中国の帝王と言われる習近平(シー・チンピン)国家主席は、国境紛争でインド軍より優位に立てない中国軍部隊に失望している模様で、この程大ナタを振るうことになった。ただ、米国による中国包囲網構築を恐れる中国も、国境問題で譲れなくとも中国との経済関係破綻までは望んでいないインドとも、これ以上軍事衝突が継続・拡大することは望んでいない模様で、この程両国外相が一時停戦に合意して共同声明を発表した。
9月10日付米
『CNBCニュース』:「中国とインド、国境紛争での一時停戦に合意」
中国とインドは、6月中旬にヒマラヤ山脈西部の国境付近で武力衝突して以来、両軍による睨み合いや小競り合いが続いている。
両国外相が9月10日、モスクワで開催された上海協力機構(SCO、注1後記)に出席した機会を捉えて協議し、国境問題について双方が対話を通じて解決に向けて努力することで合意した。
インド外務省によれば、スブラマニヤム・ジャイシャンカル外相(65歳)及び王毅(ワン・イー、66歳)外交部長(外相に相当)は、“率直”かつ“建設的”に協議したという。...
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9月10日付米
『CNBCニュース』:「中国とインド、国境紛争での一時停戦に合意」
中国とインドは、6月中旬にヒマラヤ山脈西部の国境付近で武力衝突して以来、両軍による睨み合いや小競り合いが続いている。
両国外相が9月10日、モスクワで開催された上海協力機構(SCO、注1後記)に出席した機会を捉えて協議し、国境問題について双方が対話を通じて解決に向けて努力することで合意した。
インド外務省によれば、スブラマニヤム・ジャイシャンカル外相(65歳)及び王毅(ワン・イー、66歳)外交部長(外相に相当)は、“率直”かつ“建設的”に協議したという。
同省によれば、“両外相は、目下の国境付近での武力衝突・睨み合いは双方の利益とならないことを確認した”とし、“中印両国がこれまで合意している実効支配線(注2後記)を尊重し、対話を通じて緊張緩和に向けて努力する”ことを再確認したとする。
中国・インド両軍は、ヒマラヤ山脈西部の国境付近で5月から小競り合いを繰り返し、6月中旬には、45年振りとなる犠牲者を出す武力衝突(棍棒による殴り合い)に発展した。
その後の両軍による小競り合い・睨み合いが続き、9月初めにも、これまでの合意に反して、45年振りの威嚇射撃の事態まで発生していた。
なお、世界最大の政治リスク専門コンサルタント会社のユーラシア・グループ(1998年設立、ニューヨーク本拠)によれば、両国は“1インチたりとも領土が減らされることに全く同意できない”ことから、今後とも両軍による小競り合いや、場合によって局地的な軍事衝突は起こり得るとし、その可能性は60%としている。
何故なら、インドのナレンドラ・モディ首相としては、“インドを守る最強の首相”という評判を落とすことはできず、中国によって実効支配地域からじりじりと後退させられてきていることから、領土問題で如何なる妥協も許されない。
一方、習国家主席も、世界最強の軍事大国となると標榜していることから、中国としても一歩も引きさがることは全く考えられない。
なおまた、ユーラシア・グループの評価によると、外交交渉努力によって両国の領土問題が解決に向かう可能性は25%であるとし、深刻な武力衝突に発展してしまう可能性は15%だとする。
9月11日付インド『ヒンダスタン・タイムズ』紙(1924年、ガンジーによって創刊):「中印両国、更なる信頼度拡充に向けて努力するとの共同声明を発表」
両国外相が合意した共同声明によると、“両国は、目下続いている国境付近での緊張を緩和するため、これまでの両国間の様々な合意事項に則って、双方の信頼度を更に向上させていくことで合意した”とする。
信頼度向上の手段や具体的内容について言及はないが、これまで両国は国境問題に関し、1993年、1996年、2013年にそれぞれ覚書を締結して、紛争鎮静化を図ってきている。
ただ、インド側としては、6月中旬にヒマラヤ山脈西部のガラワン渓谷で発生した武力衝突は、中国軍が上記覚書に反した行動を取ったことに起因すると主張している。
一方で、両国間の国境紛争がくすぶり続けることによって、両国間の貿易や人の交流に支障を来すことは双方の利益にはならない。
特に、今年がインド・中国国交樹立70周年に当たることから、両国間のパートナーシップ強化は、両国それぞれの発展のためにも必要不可欠と考えられる。
(注1)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、国家連合。「テロリズム、分離主義、過激主義」に対する共同対処の他、経済や文化など幅広い分野での協力強化を図ることを目的として2001年発足(前身の組織は1996年設立)。中国の上海で設立されたために「上海」の名を冠するが、本部(事務局)は北京。
(注2)実効支配線:1962年の中印国境紛争の後に設定された、インドと中国との支配地域を分ける境界線。
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