1月30日付米
『CNBCニュース』:「スタバ売上期待下回る、不買運動や中国の影響」:
30日の四半期売上報告によると、国内外ともに売上が下回った。ラクスマン・ナラシムハンCEOは、中国のライバル店や国内のボイコットが原因としている。
株価は下落したものの、3%回復した。第1四半期売上総額は10.2億ドル、1株あたり90セント増。8.5億ドル、74セントだった前年比で草加となった。海外の既存店舗売上は7.2%との予測を下回り、5%増だった。
北米では、飲食への支出が増えたことで、既存店売上高は5%増。国内の11月中旬から客足が遠のいたのは、イスラエル・ハマス戦争に関する「誤解」にあるなどとしている。
不買騒動はカフェ数百社からなる労働組合ワーカーズ・ユナイテッドが、パレスチナを支持する投稿をしたことが発端となり、保守派層からの批判に繋がった。この投稿から同社は距離を置こうと商標侵害で提訴した。
ナラシムハンCEOは12月、従業員への書簡で、誤情報を批判した。スターバックス社は顧客も取り戻すべく、サービスやバレンタインの新メニュードリンクに力を入れているという。国外売上は13.2%予測を下回り7%増。中東では戦争が原因で下回ったとする。
第二位の市場となる中国では、既存店売上が10%増も平均では9%減となった。中国の経済回復が遅れている中、好調なラッキンコーヒーなどの低価格店との競争が激化している。
1月31日付『Yahooファイナンス』:「スターバックス、四半期予測を下回り、売上見通し下方修正」:
大手コーヒーチェーンのスターバックスは、年間の売上高見通しを下方修正。第1四半期の売上は10.2%の予測に届かず8%となった。
2025年までに、巨大市場、中国国内の店舗9千店増を目標としていたが遠く及ばすとなった。既存店の売上は今期、中国で10%増加。客の出足はコロナ禍と比べ21%増と好調だが、売上自体は9%ダウン。中国では顧客が支出に敏感で、高価格商品の売上は鈍化しているという。ラッキンコーヒーや、コッティコーヒーなど中国国内店が価格戦略をうちだし競争が激化している。
スターバックス社は、メニューの開発、技術面への投資増、新規市場での店舗増加を計画している。海外では2030年までに現在3.8万超ある店舗を5.5万店舗に拡大させる計画。第一四半期には549店舗を新規オープンさせている。
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中国が、一帯一路経済圏構想(BRI)の下でインフラ建設等にかかる巨大融資を実行することで被仕向け国を“債務の罠” (注後記)に嵌めているという批判が絶えない。そしてこの程、ラオスがスリランカ・ザンビアに続いて債務の罠に嵌ってしまう恐れがあると経済専門家が警告している。
11月8日付
『CNBCニュース』は、ラオスが中国からの巨大債務に押されて債務超過に陥る恐れがあると報じている。
ラオスはこれまで、中国のBRI構想の下、中国から数十億ドル(数千億円)の融資を受けて鉄道・高速道路・水力発電所等のインフラ建設プロジェクトを進めてきたことから、国際通貨基金(IMF、1945年設立)の推定では、中国に対する債務総額が同国の今年の国内総生産(GDP)の122%にも達してしまっているという。
中国は、ラオスにとって2013年以来最大の債権国となっているが、それが更に膨大になっていることを表している。
ラオスは、世界的な食品・燃料価格暴騰に加えて、同国通貨キップの対米ドル最安値更新に遭っており、このままでは債務不履行に陥る可能性がある。
これに対して中国は、2020~2022年に掛けて債務返済繰り延べに応じているが、世界銀行(1946年設立)は“一時的救済”であって、同国の2022年GDPの僅か8%程度にしか及ばないとコメントしている。
更に、全対外債務の37%を負っているラオス国営電力(EDL、2010年設立)が2021年、中国南方電網(CSPG、2002年設立の送電会社)と25ヵ年利権協定を締結し、CSPGにEDL発電の電力の海外輸出権を与えてしまっている。
かかる背景より、多くの経済専門家が、今度はラオスが債務の罠に嵌ってしまう恐れがあると警告している。
● 東京大学公共政策大学院の西澤利郎教授(64歳、2013年就任)
・ラオスは、債務不履行に陥らないためには、債務弁済繰り延べ・金利率削減等、中国と根本的な債務返済交渉が必須。
・例えば、中国の気候変動対策に関わる債務スワップ(発生温室効果ガス等の環境対策上の権利譲渡)等も検討対象。
・中国としても、ラオスが債務不履行状態に陥ることを望んでいないと推測。
● ローウィー研究所(2003年設立の豪州シンクタンク)インド太平洋開発センターのマリーザ・クーレイ上級エコノミスト
・中国がこれまで対ラオスで取ってきた一時的救済策を考えると、今後も余り期待できない。
・スリランカやザンビアに対する中国の債務再編成交渉を見る限り、ラオスに対しても消極的と見ざるを得ない。
・米国がインド太平洋地域での関与度が高まる中、これに対抗する中国にとって、東南アジアにおける中国の立ち位置を好転させるためにラオスとの関係強化は願ってもないことから、ラオスの債務減額等で救いの手を差し伸べることは中国にとっても最善策のはず。
● 世界銀行ラオス事務所のペドロ・マーティンズ上級エコノミスト
・中国のみならず、他の債権国・銀行団等も債務再編交渉をうまくまとめることが肝要。
・支出効率の改善、金融セクターの強化、輸出を促進しながらビジネス環境を活性化することも解決策。
● S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス(財務データ分析等を行う米金融サービス)の田口晴美首席エコノミスト
・ラオスとしては、過度な免税措置の縮小・徴税システムの改善等税制改革に取り組んで歳入改善の必要がある。
・歳出面では、多額の債務を負っている中国国営企業に対する返済・保証条件等の厳格管理も必要。
(注)債務の罠:借金漬け外交とも呼ばれる、国際援助などの債務により債務国、国際機関の政策や外交等が債権国側から有形無形の拘束を受ける状態のこと。友好国間で見られ、債務の代償として合法的に重要な権利を取得する。インドの地政学者ブラーマ・チェラニーによって、中国のBRI構想と関連づけて用いられたのが最初。債務国側では放漫な財政運営や政策投資などのモラル・ハザードが、債権国側では過剰な債務を通じて債務国を実質的な支配下に置くといった問題が惹起されうる。
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