中国、他国の通信ハッキングのためにファーウェイにスパイを送り込んでいたことが判明
中国のスパイが10年前に中国IT大手のファーウェイにスパイを侵入させ、オーストラリアの通信システムにマルウェア感染させて情報収集していたことが、ブルームバーグ・ニュースの調査により明らかになった。
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『ブルームバーグ』は、米国政府は長年にわたり、世界最大の通信機器メーカーである中国のファーウェイの製品は、それを使用するすべての国にとって国家安全保障上のリスクをもたらすと警告してきたが、今回、同メディアの調査により、米国の主張を裏付ける重要な証拠が見つかったと伝えている。
2012年、オーストラリアの情報当局は、同国の通信システムに対する巧妙な侵入を検知したと米国側に報告した。この侵入の発端は、悪質なプログラムが仕込まれたファーウェイのソフトウェア・アップデートであったという。...
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『ブルームバーグ』は、米国政府は長年にわたり、世界最大の通信機器メーカーである中国のファーウェイの製品は、それを使用するすべての国にとって国家安全保障上のリスクをもたらすと警告してきたが、今回、同メディアの調査により、米国の主張を裏付ける重要な証拠が見つかったと伝えている。
2012年、オーストラリアの情報当局は、同国の通信システムに対する巧妙な侵入を検知したと米国側に報告した。この侵入の発端は、悪質なプログラムが仕込まれたファーウェイのソフトウェア・アップデートであったという。この事件については、2012年から2019年にかけて、豪州と米国の機関からこの件に関する説明を受けた20人近くの元国家安全保障当局者が認めている。またこの事件は、中国がファーウェイの機器をスパイのパイプ役として利用しているというオーストラリアと米国の疑念を立証するものであり、事件は一度も公にされていないにもかかわらず、米国やオーストラリア当局が中国企業に対する懸念を持ち始めたきっかけとなった出来事の一つであると、元政府関係者は述べている。
そして、この事件は、世界中の何十億もの人々に高速インターネット接続をもたらすと期待される5Gネットワークを誰が構築するかをめぐる争いの中で、これまで不透明だったセキュリティ上の懸念を明らかにしてくれた。深センに拠点を置くファーウェイは、900億ドルを超える世界の通信機器市場を支配しており、スウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアと競争している。 しかし、米国、オーストラリア、スウェーデン、英国はいずれも5Gネットワークからファーウェイを禁止しており、約60カ国が米国務省のプログラムに署名して、通信システムに中国製機器を使わないことを約束した。このような取り組みには、中国企業に対する米国の制裁も含まれており、ファーウェイの成長を鈍化させ、中国との緊張を高めている。
関係者によると、この事件の発端は、オーストラリアの大手通信会社のネットワークにインストールされたファーウェイのソフトウェア・アップデートにあるという。このアップデートには、デジタル盗聴器のような働きをする悪意のあるプログラムが含まれており、感染した機器をプログラムし直して、その機器を通過するすべての通信を記録し中国にデータを送信していた。また、このプログラムは、証拠隠滅となるように数日後には自動的に削除されるという、巧妙な自己破壊メカニズムも含まれていた。最終的に、オーストラリアの情報機関は、中国のスパイ組織がこの事件の背後におり、機器のメンテナンスを手伝ったファーウェイの技術者のチームに侵入して、豪通信事業者のシステムにアップデートを行ったと判断した。
同年、アメリカの情報機関も、アメリカにあるファーウェイの機器を使った中国からの同様の攻撃を確認したと、6人の元政府関係者が述べている。そして、元FBI捜査官で、現在はCNNの国家安全保障コメンテーターであるロジャーズ氏は、すべての諜報機関は「この一連の出来事で、同じ結論に達している。中国から出される管理用パッチは信用できない。」ということだとコメントしている。国家安全保障コンサルタントのミシェル・フロノイ氏は「オーストラリア人は当初から、情報機関だけでなく、より広範な政府ルートで、自分たちの持つ情報を、勇気を持って共有してきた。オーストラリアが経験したことは、オーストラリアの同盟国にとって警鐘となった。」と述べている。
一方、米『エポックタイムズ』によると、カナダのトルドー首相が、ファーウェイをカナダの5Gネットワークから排除するかどうか、「今後数週間のうちに」政府が決定を発表すると述べてから2カ月以上が経過しているものの、今なお結論を出さないままでいる。
現在、カナダは、機密情報共有の枠組みであるファイブ・アイズの中で、ファーウェイと5Gに関して決定を下していない唯一の国となっている。他の4カ国(米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド)は、ファーウェイが中国政府と関係があることを理由に、自国の5Gネットワークからファーウェイを排除している、もしくはその措置を取り始めている。
12月10日に行われた招待者限定のビデオ会見で、中国の駐カナダ大使は、カナダ連邦政府がカナダの5Gネットワークからファーウェイの技術を禁止することを決定した場合、カナダは「代償を払う」ことになると警告した。デビッド・マロ―二―元駐中国カナダ大使は、中国大使の脅迫は中国政権には近づかないほうがよいという注意喚起であると反論している。
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北京オリンピック;岸田首相も他閣僚も開会式出席見合わせ【米・中国メディア】
12月13日付GLOBALi「北京オリンピック;バイデン政権の“外交ボイコット”の成果は如何に」で報じたとおり、米国に続いて英国・カナダ・豪州等が追随してきたが、日本含めてまだ主要国の中で大きなうねりになってはいない。そうした中、米同盟国として注目されていた日本が、首相も閣僚メンバーも同開会式には出席しない意向であると報じられた。これに対して、駐日中国大使が米国主導の政治的介入行動に追随すべきではないと諫める発言をしている。
12月16日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「日本の首相、北京オリンピック開会式出席見合わせの意向」
岸田文雄首相(64歳)は12月16日、自身は北京オリンピック開会式への出席を見合わせる意向である旨表明した。
同首相が、参院予算委員会における野党側議員の質問に答えたもので、他の閣僚の派遣についても慎重な姿勢をみせ、日本の国益等を総合的に判断して決める、と言及している。...
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12月16日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「日本の首相、北京オリンピック開会式出席見合わせの意向」
岸田文雄首相(64歳)は12月16日、自身は北京オリンピック開会式への出席を見合わせる意向である旨表明した。
同首相が、参院予算委員会における野党側議員の質問に答えたもので、他の閣僚の派遣についても慎重な姿勢をみせ、日本の国益等を総合的に判断して決める、と言及している。
先週初めの米国による外交ボイコット政策を受けて、英国・カナダ・豪州が、同様にウィグル族等への人権問題を理由として追随する旨発表している。
しかし、日本は、米同盟国であると同時に、中国が日本にとっての最大の貿易相手国でもあることから、米国に追随して公式な外交ボイコットには踏み切れないとみられている。
12月16日付『共同通信』報道によると、閣僚級ではなく、例えば橋本聖子参議院議員(57歳、東京大会組織委員会会長)を出席させる模様だという。
一方、フランスと韓国は、外交ボイコットは考えていないと表明している。
フランスは、2024年にパリ大会開催を控えていることもあるのか、エマニュエル・マクロン大統領(43歳)は先週、英国『BBC』のインタビューに答えて、外交ボイコットは象徴的な意味しかないとして消極的意向である旨コメントしている。
また、韓国にとって中国は最大の貿易相手のみならず、朝鮮半島非核化には中国の介在は必須であることから、文在寅大統領(ムン・ジェイン、67歳)は今週、外交ボイコットは一切考えていないと発言している。
これに対して中国側は、友好の証だとして歓迎している。
12月17日付中国『チャイナ・ナショナル・ニュース』:「中国大使、日本は米国に追随して外交ボイコットを行うべきではないと強調」
中国の孔鉉佑駐日大使(コン・シュエンヨウ、62歳、2019年着任)は12月16日、日本は米国に追随して北京オリンピックへの外交ボイコットを実行すべきではないと発言した。
同大使は、“日本の一部の人が、中国の新疆ウィグル自治区や香港で人権問題が発生しているとの根拠のない噂や偏った見方に基づき、外交ボイコットを呼びかけている”とした上で、“日中両国関係を棄損しかねない行動は慎むべきで、(かかる動きに対して)もっと毅然とした対応をみせる必要がある”と強調した。
日本は、中国との貿易に大きく依存しているにも拘らず、閣僚級を派遣しないことを検討している。
一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(69歳)は12月15日、北京オリンピックの開会式に喜んで出席すると正式に表明した。
また、フランスも先週、主要7ヵ国(G-7)と違って、外交ボイコットは行わない旨表明している。
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