中国人の海外旅行熱、航空業界アナリストは2024年でも回復は道半ばと分析【米メディア】(2023/12/30)
中国では、昨年12月初めに漸く「ゼロコロナ政策」を転換して以降、行動制限が緩和されたことに伴って多くの中国人が国内旅行に勤しんだ。しかし、1年経った現在でも、経済停滞・人民元安・航空運賃高騰等が足枷となっていることから、2024年での中国人の海外旅行熱回復は容易ではないと航空業界アナリストが分析している。
12月29日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、中国では国内旅行が活況を呈しているが、2024年でも海外旅行熱の回復は容易ではないと報じている。
中国では、「ゼロコロナ政策」転換後、移動制限が緩和されたことから、国内旅行がブームになっている。
しかし、依然国内景気が停滞している上に、折からの人民元安に見舞われていること、更には航空運賃高騰というトリプルパンチに遭っていることから、中国人による海外旅行は低調で、2024年を展望しても、コロナ禍前のような勢いで海外旅行に出かけることは然程期待できないと航空業界アナリストが分析している。...
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12月29日付
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、中国では国内旅行が活況を呈しているが、2024年でも海外旅行熱の回復は容易ではないと報じている。
中国では、「ゼロコロナ政策」転換後、移動制限が緩和されたことから、国内旅行がブームになっている。
しかし、依然国内景気が停滞している上に、折からの人民元安に見舞われていること、更には航空運賃高騰というトリプルパンチに遭っていることから、中国人による海外旅行は低調で、2024年を展望しても、コロナ禍前のような勢いで海外旅行に出かけることは然程期待できないと航空業界アナリストが分析している。
主なコメントは以下のとおりである。
●モルガン・スタンレー(MS、1924年設立の金融機関グループ)所属アナリストのファン・チャンリー(范倩蕾)、テニー・ソン、ジャスミン・チュウ(邱燕)各氏
・12月初めの予測では、中国人の海外旅行熱回復は不確実で、コロナ禍前の70~80%レベルで推移する現在地からの復活は予想以上に時間がかかるとする。
・12月26日現在、(クリスマスシーズンをはさむ)直近1週間においても低調のままで、例えば、かつて隆盛だった米・中国間の国際航空便搭乗率は2019年レベルの僅か22%でしかなかった。
・中国人の海外旅行が以前のレベルまで回復するのは、2025年になってからと予測する。
●ブルームバーグ・インテリジェンス(BI、ブルームバーグ傘下のデータ収集・分析部門)所属のティム・バッカス、エリック・チュー各氏
・MSアナリストの見立てに同意していて、中国人の海外旅行願望は、経済回復と訪中外国人向けビジネスの低迷によって見通しは暗い。
・具体的には、人件費、運賃高騰、為替レート下落、ビザ問題が海外旅行にも影響している。
・従って、中国人の海外旅行熱が高まるとしてもその程度は緩やかとみられ、国際便の搭乗率は中々上昇しまい。
●HSBCホールディングス(1865年前身設立の世界最大のメガバンク)所属のパラッシュ・ジェイン輸送調査担当部門長(アジア太平洋地域)
・コロナ禍後初の春節(2月10~15日)を迎える中国人にとって、行動制限緩和が後押しされ、海外旅行にも目を向ける可能性は高い。
・従って、航空業界の人たちにとって、中国人の海外旅行需要がいつ、どのくらいまでに回復するのかがもっぱらの関心事になっている。
なお、中国人の国内旅行熱は異常で、コロナ禍前よりも盛況となっていて、航空規制当局によると、第3四半期(7~9月期)における旅行者数は夏季休暇時期が入っていることもあって1億8千万人過去最高を記録したという。
また、中国当局は、訪中外国人及び海外旅行中国人数をそれぞれ増加させるべくビザ発給条件を緩和している。
更に、フランス・ドイツ等6ヵ国からの旅行者にはビザを免除することとしただけでなく、2024年まで渡航書類の申請費用を割り引くとしている。
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米ボーイング、4年振りに自社製旅客機を中国向けに納品【欧米メディア】(2023/12/23)
米ボーイング(1934年設立)は、第4世代の新鋭小型機737Max(ナローボディ、170~220席、2016年初飛行)の二度にわたる死亡墜落事故(注後記)を受けて、安全運航が証明されるまで中国含めて多くの国から同型機の納品を差し止められた。更に、米中関係緊張もあって、中国側からは同社の他旅客機の受け入れも拒否された。そうした中、中国当局が同社737Maxの安全基準をクリアしたことから、まず同社製中型機が4年振りに中国向けに納品された。
12月22日付
『ロイター通信』、
『ブルームバーグ』オンラインニュース等は、米ボーイングが中国当局の安全基準に関わるお墨付きを得て、4年振りに同社製旅客機を中国向けに納品したと報じている。
中国民用航空局(CAAC、1949年設立、民間航空行政を管轄)は2019年、米ボーイング製737Maxの二度にわたる死亡墜落事故を受けて、同旅客機の中国受け入れを差し止めた。
更に、折からの米中関係緊張もあって、同社製他機も同様の扱いを受け、中国向け納品が全て停止された。...
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12月22日付
『ロイター通信』、
『ブルームバーグ』オンラインニュース等は、米ボーイングが中国当局の安全基準に関わるお墨付きを得て、4年振りに同社製旅客機を中国向けに納品したと報じている。
中国民用航空局(CAAC、1949年設立、民間航空行政を管轄)は2019年、米ボーイング製737Maxの二度にわたる死亡墜落事故を受けて、同旅客機の中国受け入れを差し止めた。
更に、折からの米中関係緊張もあって、同社製他機も同様の扱いを受け、中国向け納品が全て停止された。
しかし、米業界紙『ジ・エア・カレント』の12月20日付報道によると、CAACが今月初め、737Maxの安全基準が達成されたことを確認し、同型機の納品を認可したという。
『ロイター通信』は12月8日、CAAC副局長が米ボーイング幹部に対して、中国航空業界向けの同社製旅客機の商談再開を歓迎すると伝えたと報じている。
この結果を受けて、米ボーイングは12月21日、手始めに中型機787Dreamliner(ワイドボディ、250~300席、2009年初飛行)1機を中国中堅民間航空会社の吉祥航空(ジーシャンハンコン、2005年設立、上海本拠)向けに納品した。
中国向けの4年振りの納品となる同機は、ワシントン州エベレットの同社工場から12月20日午前10時頃に離陸し、12月22日午後4時過ぎに上海空港に着陸した。
米金融機関ジェフリーズ(1962年設立)の航空業界アナリストによれば、同社は目下787Dreamliner 60機の在庫を抱えていて、そのうち12機が中国向けの契約だとする。
従って同社としては、787Dreamlinerに続いて737Maxの納品再開を大いに期待している。
何故なら、中国が2042年までの世界の旅客機需要の20%を占めるとされているからである。
なお、ジョー・バイデン大統領(81歳、2021年就任)は先月中旬、習近平国家主席(70歳、2012年就任)とほぼ1年振りに対面での会談を行い、両国間歩み寄りの気運を高めた。
これを契機に、米中両軍トップが12月21日、同じく1年振りに直接対話を実施している。
かかる背景もあって、米ボーイングとしては、中国向けビジネス展開に追い風となるものと期待している。
(注)737Maxの死亡墜落事故:2018年10月、インドネシアのライオンエア610便が離陸直後に墜落し、乗員乗客全189人が死亡。続いて2019年3月、エチオピア航空302便が同じく離陸後しばらくして墜落し、157人全員が死亡。
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