フィリピンの田舎町の現役市長に対して中国のスパイ容疑で逮捕状【英国・フィリピンメディア】(2024/07/16)
既報どおり、豪州当局がロシア系豪州人夫婦をスパイ容疑で逮捕した。そして今度は、フィリピンの田舎町の現役市長が中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されている。
7月15日付
『BBCニュース』、フィリピン
『ジ・インクワイアラー』紙は、フィリピンの現役市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されたと報じている。
フィリピンは、フェルディナンド・マルコスJr.大統領(66歳、2022年就任)が前政権の親中政策を翻して以来、中国との間で南シナ海領有権争いのある諸島でしばしば小競り合いを起こしている。
そのフィリピンでこの程、ルソン島中部タルラック州南端の田舎町であるバンバン市(人口7万8千人)の市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されている。...
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7月15日付
『BBCニュース』、フィリピン
『ジ・インクワイアラー』紙は、フィリピンの現役市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されたと報じている。
フィリピンは、フェルディナンド・マルコスJr.大統領(66歳、2022年就任)が前政権の親中政策を翻して以来、中国との間で南シナ海領有権争いのある諸島でしばしば小競り合いを起こしている。
そのフィリピンでこの程、ルソン島中部タルラック州南端の田舎町であるバンバン市(人口7万8千人)の市長に対して、中国のスパイ容疑で逮捕状が発行されている。
容疑者は、2022年の市長選に無所属で出馬して初当選したアリス・グオ(33歳)で、オンラインカジノ会社「フィリピン・オフショア・ゲイミング・オペレイターズ(POGOs、中国資本)」の違法行為にも関与しているとの疑いもある。
POGOsは、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(当時71歳)が2016年に就任して親中政策を取っていた間、業容を大規模に拡大していて中国とも密接な関係をいた会社だが、これまで度々オンライン詐欺、人身売買、その他違法行為の嫌疑が取り沙汰されてきていた。
しかし、マルコスJr.大統領政権下の現在は、特に厳しく監視されている。
グオ容疑者を告発しているシャーウィン・ガチャリアン上院議員(50歳、2016年初当選)は、“彼女の本名は郭華平(グオ・ホアピン)で、中国国籍を有しており、(フィリピン法では)市長等の役職に就けない”と糾弾している。
同議員が中心となって、グオ容疑者のスパイ嫌疑やPOGOsの違法行為関与の疑いを調査すべく、同容疑者を6月25日及び7月10日の上院公聴会に召還したが、いずれも欠席したことから、上院名で同容疑者及び家族を議会侮辱罪で告発し、7月12日に逮捕状が発行された。
これに先立つ7月11日、マネーロンダリング防止協議会(AMLC、2001年設立)が同容疑者をPOGOsの仮装通貨投資詐欺容疑に関与した嫌疑で告発し、同容疑者の資産凍結命令が裁判所から発行されている。
しかし、7月12日の逮捕状を持って警察がグオ容疑者確保に向かったが、住居や事務所等にはおらず、行方をくらましている。
同容疑者は当日、“(支持者の方々に)暫く会えない”とした上で、“自分は不法行為に関与していないし、また、中国のスパイでもないし、更にフィリピン人であるからフィリピンを、そしてバンバン市を愛している”と『フェイスブック』に投稿していた。
なお、同容疑者は上記とは別の汚職容疑で、今年6月初めに市長職の停止処分を受けている。
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生成AIを使用したプロパガンダ拡散(2024/05/31)
チャットGPTを開発した米「オープンAI」社は、同社の生成AIを使い、中国、イラン、ロシア、イスラエルの集団が誤情報を拡散していたとしている。米大統領選が近づく中、AI技術の濫用への懸念が高まっている。
5月30日付米
『ワシントン・ポスト』:「ロシアと中国の集団がAI技術を悪用しプロパガンダ拡散」:
チャットGPTを開発したオープンAI社は30日、同社の生成AIを使って世界的に政治世論工作を図っていたロシア、中国、イラン、イスラエルの集団を確認したことを公表した。
今年の米大統領選が近づく中、闇のプロパガンダ活動が生成AIを用いて容易に行われるのではないかとの懸念が高まっている。...
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5月30日付米
『ワシントン・ポスト』:「ロシアと中国の集団がAI技術を悪用しプロパガンダ拡散」:
チャットGPTを開発したオープンAI社は30日、同社の生成AIを使って世界的に政治世論工作を図っていたロシア、中国、イラン、イスラエルの集団を確認したことを公表した。
今年の米大統領選が近づく中、闇のプロパガンダ活動が生成AIを用いて容易に行われるのではないかとの懸念が高まっている。
同社は、ロシア、中国、イランの有名プロパガンダに関連したアカウントを削除。これらの集団は同社のAI技術を使って、投稿をしたり、別の言語に翻訳したり、ソーシャルメディアへの自動投稿を可能にするソフトウェアを構築していたという。
だがいずれもそれほどの注目はなく、関連アカウントへのアクセスも殆ど無く、僅かなフォロワーがいるのみだった。だが、同社のレポートによると、生成AIを使用した集団は、大量のテキストを、以前と比べ、殆どミスなく生成していることが確認されたという。そのため、「他の集団も行う可能性もあり、看過する時ではない。歴史をみると、世論工作は何年も失敗を積み重ねるが、見過ごすとある時突然ブレークスルーを遂げる」と懸念を示している。
中国の「スパムフラージュ」と呼ばれる集団はソーシャルワーク上のリサーチ活動でAIを使用し、中国語、韓国語、日本語、英語での投稿を行っていたという。イランの「国際バーチャルメディア連合」という集団は、自身の記事作成に同社のAIを使っていた。
ロシアの「バッドグラマー」という初登場の集団は、テレグラムアプリに自動的に投稿を行うプログラムで、ロシア語や英語で「米国はウクライナを支援すべきではない」と主張する内容のコメントを投稿させていたという。また、イスラエルの「STOIC」という政治的活動企業は、カナダ、米国、イスラエル向けに、ガザ戦争に関してイスラエル寄りの投稿させていたという。
フェースブックを運営するメタ社も29日、「STOIC」の活動を公表、同集団によるフェースブックの510個、インスタグラムの32個のアカウントを削除したとしており、中にはハッキングされたアカウントもみられたという。
5月31日付米『ロイター通信』:「オープンAIがAIを不正操作した工作活動を摘発」:
オープンAIのサム・アルトマン氏は30日、インターネット上で同社のAIを使い「工作活動」を図っていた5つの活動を阻止したと発表。
工作活動は過去三ヶ月にわたり、偽名やプログラムで様々な言語を使い、短文コメントや長文記事を生成していたという。これらはロシア、中国、イラン、イスラエルによるもので、ロシアのウクライナ侵攻、ガザ紛争、インド総選挙や欧米の政治等の問題を話題にしたものだったという。
オープンAI社は28日、幹部による安全とセキュリティ委員会を設置。これらの工作活動では、AI生成物だけでなく、手動で書かれたテキストやネット上からコピーしたとみられる情報や画像も含まれていたという。
メタ社は、29日の四半期セキュリティレポートで、「AI生成のような」内容の投稿がフェイスブックやインスタグラムで確認されたとしている。例としては、各国ニュース機関や米議員の投稿の下に、イスラエルのガザ戦争での対応を賞賛するコメントがみられたという。
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