米共和党員の富豪で起業家・投資家のピーター・ティール氏(55歳)はこれまで、ドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)含め共和党政治家に巨額献金をして来た。しかし、関係筋の情報によると、同氏は昨今の共和党の政策に全く同意できないため、2024年大統領選では、どの共和党候補者にも献金しないとの決断をしたという。
4月26日付
『ロイター通信』は、米共和党巨額献金者のひとりであるピーター・ティール氏が、現下の共和党の政策に全く納得がいかないとして、2024年大統領選キャンペーンでの共和党支援を一切行わないと決心している、との関係筋の情報を特報している。
IT業界の富豪で共和党への巨額献金者のピーター・ティール氏は、同氏に近い二人の関係者の証言によると、現下の共和党の政策が全く受け入れられないとして、2024年大統領選に挑むどの共和党候補者にも資金援助を行わないと決心したという。
同氏は、2016年大統領選でドナルド・トランプ前大統領の政策顧問を務めただけでなく、巨額の資金援助を行って大統領選勝利に貢献していた。
しかし、その後同前大統領とは絶縁状態になっている。
そしてこの程、『ロイター通信』が同氏の仕事仲間の事業家から聴取したところによると、同氏は、共和党が現在重点政策だとしている姿勢、一例を挙げると、妊娠中絶禁止・制限措措置やトランスジェンダー(性同一性障害)のトイレ使用の制限措置について、大きな不満を抱いているという。
すなわち、同氏としては、米国の文化・風習擁護も大切ながら、米国の将来を託すべきは、技術革新重点政策であって、中国に対抗していくための大胆な政策転換が必要だと考えているからだとする。
同氏は2016年の共和党全国大会において、“自身は、ゲイであること以上に、米国人であることを誇らしく思っている”とした上で、“重要なことは、風習や文化の違いを問題視するよりも、経済政策に重点を置くべきであり、その観点からドナルド・トランプを支持する”と発言していた。
しかし、同氏の別の知己によると、大統領就任後のトランプの政策のいくつかは支持していたが、トランプを取り巻く様々なスキャンダルに嫌気したことから、2020年大統領選では彼に献金することは止めたという。
超党派NPO団体オープンシークレット(1983年設立)によると、同氏は2022年の中間選挙の際、16人の連邦上下院議員選共和党候補者に対して、同党献金者の中で10位に当たる計3,500万ドル(約46億6千万円)余りを献金しており、そのうち12人が当選しているという。
同氏は、IT企業大手のペイパル(1998年創業の電子決済サービス企業)、フェイスブック(現メタ、2004年創業のSNS)等の共同創業者として42億ドル(約5,600億円)の富を築いており、2000年以降右派リバタリアン党、そして2016年以降共和党を支持していて合計5千万ドル(約67億円)の選挙献金を行ってきている。
なお、同氏は2017年、投資銀行家のマット・ダンツァイゼン氏と同性婚をし、2人の幼児を養子にして育てている。
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ロシアによるウクライナ軍事侵攻以降、西側陣営による対ロシア制裁のため、日米欧の有名ブランドが次々にロシアから撤収している。しかし、撤退した際に残された大量在庫はもとより、対ロ制裁に加わっていない友好国経由での供給等によって、商品自体は依然ロシア国内で多く取引されていることが判明している。
2月23日付
『ロイター通信』は、「世界トップ・ブランドがロシアから撤退するも、商品自体は依然ロシア国内で流通」と題して、世界トップ・ブランドの商品自体が制裁対象となっていないことから、並行輸入(注後記)や、対ロシア制裁に加わっていない友好国経由で当該有名ブランド商品が、依然と余り変わりなくロシア国内で流通していると報じている。
ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア制裁の煽りを受けて、欧州・北米・日本企業の世界トップ・ブランドの多くがロシアからの撤退を余儀なくされた。
しかし、それら有名ブランドの商品自体は、依然ロシア国内で流通している。
すなわち、清涼飲料大手のコカ・コーラ(1889年設立、本社米ジョージア州)の商品を積載したトラックがロシア国境で列を作り、世界最大の家具量販のIKEA(1943年設立、本社スウェーデン)の家具はロシアのオンラインショップで容易に手に入っているからである。
何故なら、トップ・ブランドが撤収しても、これらの商品自体は対ロシア制裁の対象となっていないため、並行輸入や、対ロシア制裁に加わっていない“友好国”経由での供給等によって、少々コストが割高となっていても依然ロシア国内で商取引が可能となっているからである。
あるロシア人女性(32歳)は『ロイター通信』のインタビューに答えて、昨夏に空のスーツケースを携行してミンスク(ベラルーシ首都)を訪れ、アパレル世界最大手のインディテックス(1985年設立、本社スペイン)が手掛けるザラ、ベルシュカ、マッシモ・ドゥッティ商品3万3千ルーブル(442ドル、約6万円)分を、自身及び友人用に大量に買い付けて即日帰国したという。
西側諸国の対ロシア制裁を契機に、多くのトップ・ブランドがロシア及びベラルーシから撤退したが、インディテックスはベラルーシから引き上げなかったからである。
彼女によると、パリやドバイ(アラブ首長国連邦首都)でも同様に衣料品を買い付けているだけでなく、オンラインショップも利用しているという。
更に、“複数の女性が、欧州、イスタンブール(トルコ)やドバイに移住して、様々な商品を買い付けて、インスタグラム(米SNS、旧フェイスブック傘下、2010年開始)やテレグラム(ロシア版SNS、2013年開始)上で商取引を行っている”とし、“彼女らは15~30%のコミッションを享受している”とする。
国際宅配業者CDEK(2000年設立、ロシア本拠、200ヵ国以上展開)のダイナラ・イスマイロワ市場担当取締役は『ロイター通信』のインタビューに答えて、電子商取引で発注された商品をトルコからロシアに配送する業務が7倍増となっている、と語った。
同取締役は、“トップ・ブランドがロシア撤退を発表するや否や、当該商品の発注が急増した”と付言した。
同社によると、小口で個人ベースの取引が多くを占めるが、昨年の売り上げが2倍となっていて、そのうち衣料品取り扱いが80%を占めるという。
ロシアでは、供給網が崩壊したことから、トップ・ブランドの正規代理店を経ない並行輸入が合法化されて、多くの小売業者がオンライン取引で受注し、当該ブランド品を様々な手段で輸入するようになっている。
ロシア最大のオンライン取引所のワイルドベリー(2004年設立)では、ザラ・ブランドの商品約1万7千点が取引されているが、インディテックス関係者によると、同社がロシア撤退するときに在庫整理された商品が主であるという。
西側のトップ・ブランドで世界中至る所にある商品のひとつであるコカ・コーラは、ワイルドベリーもその同業者であるオゾン(1998年設立)及びヤンデックス・マーケット(2000年設立)も多く取り扱っている。
コカ・コーラ自体は昨年ロシアでの生産を中止しているが、欧州やカザフスタン、ウズベキスタン、更には中国のラベルが付けられたコカ・コーラが売られている。
同じくオンライン取引所を運営しているパブリカンのラム・ベン・チォン最高経営責任者(CEO)は、“並行輸入が確立され、様々なルートでトップ・ブランド取引が発展し、今後更に全ての商品が取り扱われることになる”としながらも、多くの搬送トラックが国境で数珠繋ぎとなったり、新規事業者がどんどん入っていることが懸念される、とコメントしている。
なお、対ロシア制裁に加わっていない“友好国”で並行輸入等でロシア向け取引を大きく伸ばしているのは、中国、トルコ、カザフスタン等である。
中国は昨年、ロシア向け取引高が12兆8千億人民元(1,860億ドル、約25兆1,100億円)と史上最高となり、トルコは輸出高が93億4千億ドル(約1兆2,610億円)と前年比+61.8%も急増し、また、カザフスタンも87億8千億ドル(約1兆1,850億円)と+25.1%も伸ばしている。
(注)並行輸入:総代理店が独占的に輸入している外国商品を、別の輸入業者や個人が第三国の総代理店から輸入するなどの方法により行う輸入。高い価格の商品を安く輸入するために行われることが多い。
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