アイルランド: 多国籍企業からの税金が国家財政を黒字に導く(2022/08/19)
フランス
『ルモンド紙』によると、過去1年間でアイルランドは、企業からの税金収入により34億ユーロ(=約4590億円)の財政黒字を達成した。アイルランドは、経済停滞なしでコロナ19感染流行期間を乗り越えた唯一の国となった。
アイルランドの経済状態は数年間で驚異的な成長を示した。2021年にはコロナ19感染流行後のリバウンドで13.4%の経済成長率を示し、本年2022年には7%の経済成長率が予測されている。 これは、税金収入の増大によるものと見られ、アイルランドは本年度も黒字財政を享受できるものと見られる。
最近12カ月間(2021年8月~2022年7月)での財政黒字が34億ユーロ(=約4590億円)に到達した。...
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アイルランドの経済状態は数年間で驚異的な成長を示した。2021年にはコロナ19感染流行後のリバウンドで13.4%の経済成長率を示し、本年2022年には7%の経済成長率が予測されている。 これは、税金収入の増大によるものと見られ、アイルランドは本年度も黒字財政を享受できるものと見られる。
最近12カ月間(2021年8月~2022年7月)での財政黒字が34億ユーロ(=約4590億円)に到達した。この原因は取りも直さずアイルランドでの投資を増加させている外国企業に依るものである。 外国企業としては、フェイスブックの親会社のメタ・プラットフォーム社、ビジネス特化型SNSのリンクドイン社やネット販売大手のアマゾンなどの米国IT企業が挙げられる。
外国企業からの税金収入は本年7か月間で51%の増加を示し、90億ユーロ(=約1.22兆円)となった。アイルランド経営者協会(IBEC)は、2022年末までの税金収入が200億ユーロ(約2.7兆円)近くに達するものと予想している。
ところで、アイルランドは1980年代から外国企業の投資を呼び込むため、税金優遇措置を設け、税金に関して天国とのイメージを外国企業に植え付けていた。すなわち、外国企業に対する税金12.5%を提示しているが、一方では、税金が免除される多くの抜け道が用意されていた。 アイルランドの外国企業に対する税金に関する寛容さの例として、例えばアップル社は2014年時点で0.005%の課税しか行っていなかった。
しかし、アイルランドに対する国際的な圧力により、アイルランドは大々的な税制改革を行い、2021年には外国企業に対し15%税率に増加することを決定した。 その結果アイルランドでの多国籍企業からの税収入が飛躍的に増加した。
アイルランド政府は税収入による黒字分を一般家庭への生活補助金として活用したいと考えている。 財政難に苦しむ日本にとっては羨ましい限りである。
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ロシア、制裁回避のための代替アプリストアをリリース(2022/05/27)
ロシアのウクライナへの侵攻は、エネルギーや食糧だけでなく、テクノロジー業界にも影響を及ぼしている。ロシア最大のSNS企業「VK」が25日、西側の制裁によりロシアではほとんど機能していないGoogleのモバイルアプリストア「Play Store」に代わる自作のアプリストア「RuStore」を立ち上げた。
『ロイター通信』は、ロシア国内での新しいアプリストアの立ち上げは、ロシア政府が欧米のライバル企業に代わる国内デジタルサービスを数多く創出しようという目的のための最新の動きだと伝えている。
VKはしばしば「ロシアのフェイスブック」と呼ばれ、RuStoreと名付けられたこのストアのベータ版がAndroidユーザー向けに提供される。世界2大アプリストアのAppleとGoogleは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアのユーザーへのアクセスを制限している。...
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『ロイター通信』は、ロシア国内での新しいアプリストアの立ち上げは、ロシア政府が欧米のライバル企業に代わる国内デジタルサービスを数多く創出しようという目的のための最新の動きだと伝えている。
VKはしばしば「ロシアのフェイスブック」と呼ばれ、RuStoreと名付けられたこのストアのベータ版がAndroidユーザー向けに提供される。世界2大アプリストアのAppleとGoogleは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアのユーザーへのアクセスを制限している。一方ロシア当局は、国内のデジタル代替手段の迅速な開発を推進し、メタのInstagramやFacebook、あるいはTwitterやGoogleのニュースプラットフォームへのアクセスを制限するなど、オンライン空間に対する支配力を強めている。
RuStoreは、ロシア情報技術・通信省のほか、ロシアのテクノロジー企業Yandex、同国最大の金融機関Sberbank、サイバーセキュリティ企業Kaspersky Labの支援を受けて開発されたという。VKは、政府のサービス業務の一部を含む100以上のアプリケーションがストアで利用可能であり、さらに毎日追加されていると発表した。VKのウラジミール・キリエンコCEOは、「RuStoreは、ユーザーとソフトウエア開発者の双方から需要があると確信している。ロシア最大のアプリストアになるために必要なものがすべて揃っている」と述べている。
しかし、ロシアは、ウクライナ侵攻直後、数週間の間に数多くのIT専門家の国外移住に直面し、現在政府はハイテク企業の所得税減税と優遇融資、従業員の徴兵猶予を約束し、彼らをロシアに引き留めようとしているという。
アンドロイド版ソフトウエア開発者のためのフランス語ニュースサイト『Android.Developpez』によると、RuStoreからダウンロードされるアプリは、Kaspersky Labのセキュリティソフトを用いて、悪意のあるコードが含まれていないことを確認できるようになっているという。RuStoreは今後数週間から数ヶ月のうちに、即時通知プラットフォーム、決済システム、アプリケーションレビューも含める予定だという。そして年内には、マーケティングツールや分析ツールも提供することを目標にしている。ロシアのメディアによると、すでに一部の開発者が個人アカウントを開設しており、RuStoreに自分のアプリをアップロードすることができるようになっているという。
なお、ロシア当局は、ロシアで販売されるすべてのスマートフォンにRuStoreをプリインストールすることを要求したと伝えられている。
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