一部の米メディア、ウクライナのブチャについて慎重な事実確認の必要性を訴える(2022/04/07)
4月3日、ウクライナのキーウ近郊ブチャで多数の民間人がロシア軍に殺害されたというニュースが報じられた。アメリカの多くのメディアはロシアによる虐殺を非難する一方で、ニューヨーク・タイムズをはじめとしたいくつかのアメリカのメディアとまずは慎重な事実確認が必要であると報じている。
『ロイター通信』は5日、アメリカの国防当局高官は、米軍は、ロシア軍によるブチャの町の民間人に対する残虐行為に関するウクライナの証言を独自に確認する立場にはないが、その証言に異議を唱える理由もないと述べたことを伝えている。
一方、アメリカの調査報道ニュースサイト『コンソーシアム・ニュース』は、民間人の虐殺について時系列に出来事を追った際、疑問点がいくつか湧いてくると伝えている。
ロシア国防省によると、ロシア軍は3月30日にブチャから撤退した。...
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『ロイター通信』は5日、アメリカの国防当局高官は、米軍は、ロシア軍によるブチャの町の民間人に対する残虐行為に関するウクライナの証言を独自に確認する立場にはないが、その証言に異議を唱える理由もないと述べたことを伝えている。
一方、アメリカの調査報道ニュースサイト『コンソーシアム・ニュース』は、民間人の虐殺について時系列に出来事を追った際、疑問点がいくつか湧いてくると伝えている。
ロシア国防省によると、ロシア軍は3月30日にブチャから撤退した。3月31日、ブチャ市議会の公式フェイスブックページで、笑顔のアナトリー・フェドルック市長が動画を投稿し、ブチャ市が解放された事を発表した。「3月31日、ブチャの解放の日。ブチャ市長のアナトリー・フェドルークが発表。この日は、ウクライナ軍によるロシア占領軍からの解放の日として、ブチャとブチャのコミュニティ全体の輝かしい歴史に刻まれるでしょう。」と投稿されている。
『コンソーシアム・ニュース』は、ロシア軍が撤退したこの時点で、大虐殺があったという話は出てきていないことを指摘し、もし周囲に何百人もの民間人の死体が散乱していたのであれば、市長はブチャの歴史の中で「輝かしい日」だとにこやかに話すことはできないのではないかと疑問を呈している。なお、ロシア国防省はテレグラムへの投稿で、「すべてのロシア軍は3月30日にブチャから完全に撤退し、ブチャがロシア軍の支配下にあった間、一人の地元住民も負傷していない」と報告していた。
4月1日、ニューヨーク・タイムズの記者がブチャにいたものの、タイムズ紙も大虐殺を報じていない。その代わりに、タイムズ紙は、ロシア軍の撤退が完了し、「目撃者、ウクライナ当局者、衛星画像、軍事アナリストによれば、死んだ兵士と燃えた車を残していった」と伝えていた。また6人の民間人の遺体を発見したことに言及し「彼らがどのような状況で死亡したかは不明だが、頭を撃たれた一人の男のそばには、ロシア軍の配給品の廃棄された包装が横たわっていた」と伝えた。
『コンソーシアム・ニュース』は、2日にはまだ虐殺の全容は明らかになっておらず、市長でさえ2日前には気づいていなかった可能性があると指摘する一方で、現在では多くの遺体が町の通りに野ざらしになっている写真が出てきており、こうした情景を見逃すことは困難だったのではないかと指摘している。
ニューヨーク・タイムズはその後、ウクライナ内務省管轄の国内軍組織アゾフ大隊が殺害に関与している可能性を示唆した。記者は、「4月2日、国内外のメディアに大虐殺が取り上げられる数時間前に、非常に興味深いことが起こった。」と書いており、米国とEUが資金を提供するゴルシェニン研究所のオンラインのウクライナ語サイト「レフトバンク」が次のように発表したと伝えた。「特殊部隊は、ウクライナ軍によって解放されたキエフ地方のブチャ市で掃討作戦を開始した。この街は、ロシア軍の破壊工作員や共犯者から解放されつつある。」タイムズ紙はさらに、前日の1日には、ブチャ市議会当局を代表するエカテリーナ・ウクレンチヴァが、ブチャ・ライブ・テレグラムページの動画に登場し、軍服を着てウクライナの旗の前に座り、「街の浄化」を宣言したと伝えている。ウクレンチヴァは、ロシア軍は撤退したものの、アゾフ大隊の到着は解放が完了したことを意味せず、「完全な掃討」を行わなければならないと住民に告げた。ブチャでの虐殺が世界に報道されたのは、ウクライナ治安維持局とウクライナメディアの代表が町に到着してから4日目のことである。
一方、米ニュースサイト『パリスベーコン』の番組に出演したジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは、現在の欧米のソーシャルネットワークは、ウクライナ戦争への他国の参加に反対する者を「ロシアの工作員」に変えてしまう傾向があると指摘した。また、過去20年は、「戦争のプロパガンダに疑問や異議を唱えることができない場合、とんでもない結果を招く」ことを世界に教えてきたと警告している。
他の紛争では、公式に確認された死者数でさえ、この種の反応を呼び起こさなかったことを想起し、アメリカの一部メディアにおける「第三次世界大戦への呼びかけ」も「冷静さを必要とする」とした。特に、米国のイラク侵攻後、最初の6から8週間で死亡した民間人の数は、公式には8千人を超えていたことを想起した。
「もし私に一つの政治的希望があるとすれば、それはすべての戦争、特に米国とそのパートナーが関与している戦争が、ウクライナと同じようにメディアの注目を集め、その犠牲者が同じように共感されることだ」と強調した。グリーンウォルド氏は、米『フォックスニュース』の番組に出演した際、「ウクライナ人を助けることができるのは、戦争を外交的に解決することだけだ。皮肉なことに、それを唱えると、ロシアの工作員と呼ばれることになる」と述べている。
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カナダ首相のEU演説、反ポピュリズムを訴える内容に欧州議員から賛否両論の声(2022/03/25)
カナダのジャスティン・トルドー首相は欧州連合(EU)の総会に出席し、ロシアのプーチン大統領に対抗するために「民主主義の強化」に取り組むよう欧州の指導者に呼びかけた。しかし、トルドー首相の呼びかけはやや裏目に出てしまった。欧州議会議員からは、ワクチン義務化に反対する自国民を弾圧することは偽善的だという非難の声が上がった。
米メディア
『エポックタイムズ』によると、カナダのトルドー首相は3月23日、欧州議会で演説し、「極端な政治的見解」を代表するポピュリスト運動の拡大が民主主義を脅かしていると警告した。トルドー首相は演説の中で、「5年前にこの議会で演説したとき、私は多国間主義を中産階級とそれに加わるために懸命に働いている人々のために有益になるようにと、経済的不満がポピュリズム、民族主義、保護主義、そしてより極端な政治観への分極化の肥沃な土壌とならないようにしようと話しました。...
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米メディア
『エポックタイムズ』によると、カナダのトルドー首相は3月23日、欧州議会で演説し、「極端な政治的見解」を代表するポピュリスト運動の拡大が民主主義を脅かしていると警告した。トルドー首相は演説の中で、「5年前にこの議会で演説したとき、私は多国間主義を中産階級とそれに加わるために懸命に働いている人々のために有益になるようにと、経済的不満がポピュリズム、民族主義、保護主義、そしてより極端な政治観への分極化の肥沃な土壌とならないようにしようと話しました。今日、私たちはこれらの勢力が世界の平和、正義、真実、民主主義、安定を脅かしていることに直面しています。」と語り、緊急事態法を発動して制圧したフリーダムコンボイ運動を非難した。
この演説に対して、カナダ紙『トロント・サン』は、トルドー首相は、欧州議会の一部の議員から歓迎されていないようである、と報じている。トルドー首相の演説を受けて、数人の欧州議会議員が先月オタワで行われたフリーダムコンボイの抗議行動への対応の仕方は人権侵害だと非難した。
中でも、クロアチアのMislav Kolakusic議員の演説がネット上で話題を集めている。同議員は、「私たちの多くは、欧州や世界の何百万人もの市民が命を捧げた基本的人権を持っている。私たちの中には、この基本的人権を踏みにじる者がいる」と述べ、「何世紀にもわたって獲得してきた我々の権利と我々の子供たちの権利を守るために、私を含む我々の多くは、自由と自らの命を危険にさらすことをいとわない。」と語った。そして、カナダはかつて近代世界の象徴だったが、ここ数ヶ月、トルドー首相の「リベラル(進歩派)」の名の下で、「市民権侵害の象徴」になってしまったと述べた。
「私たちは、あなたが女性を馬で踏みつけにし、母子家庭の銀行口座を凍結して、彼らが子供の教育費や医療費も払えず、光熱費や家のローンを払えないようにしているのを見ました。あなたにとっては、これらは進歩派的な方法かもしれないですが、世界の多くの市民にとっては、これは最悪の種類の独裁です。」と語った。そして、世界中の市民が団結すれば、「爆弾あるいは医薬品で、市民の自由を破壊しようとする政権を阻止することができます。」と述べた。
他の欧州議会議員からも同じような非難の演説が続いた。ドイツのクリスティン・アンダーソン議員は、「中国の独裁政治を公然と賞賛し、自国民が自身の倒錯した民主主義の概念に立ち向かう勇気があるというだけで、テロリストとして迫害し犯罪者にすることで基本的権利を踏みにじる首相は、この議会で話すことを全く許されるべきではない」と強く非難した。
こうした両者の演説の動画は、ツイッターでそれぞれ100万回以上再生されている。
もう一人の欧州議会議員、ルーマニアのCristian Terhes議員は、トルドー首相が演説することを理由に会議への出席を拒否した。Terhes議員はフェイスブックの投稿で、トルドー氏は「基本的権利の尊重を求める自国民を馬の蹄で踏みつけながら、欧州議会の場でプーチンに対して民主主義について教える」ことはできない、と述べた。「民主主義と専制政治の違いは、政治指導者の地理的な位置によって決まるのではなく、彼らが推進する価値観によって決まる」と指摘した。「プーチンが推進するロシア帝国主義の専制政治か、トルドーのような偽善的指導者が推進するネオ・マルクス主義の専制政治か、人々はどちらかの選択を迫られている。私たちはそのような専制的な選択肢の両方を拒否し、ヨーロッパに平和と繁栄をもたらした保守的な価値観、すなわち国家主権、個人の自由、人権の尊重のために戦わなければならない」と述べている。
ドイツの欧州議会議員Bernhard Zimniokも、トルドーを歓迎することは「民主的権利を踏みにじってきた人物への招待状」であると述べた。
一方で、ルーマニアの欧州議会議員ジークフリード・ムレサン氏は、世界大戦時のカナダの貢献に感謝した。「そして今日、あなたは欧州の国を守るために再び欧州に来られました。そしてこのことに対して、私たち欧州の、そして自由世界のすべての者が、ありがとうと言います。」と述べた。
欧州議会左派グループのデンマーク議員Nikolaj Villumsen氏も、「あなたが正しく言ったように暗い時代だ」と述べ、「カナダが難民を無制限に受け入れると聞いて嬉しく思っています」と述べた。
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