大気汚染により体外受精成功率が40%減少(2024/07/08)
最新研究によると、大気状態の良好な地域においても、大気汚染の原因微粒子により、不妊治療の早い段階で影響があることが分かったという。
7月7日付英
『Global NEWS』:「大気汚染で体外授精成功率が約40%減少との研究」:
最新研究によると、大気状態の良好な地域においても、大気汚染の原因微粒子が、不妊治療に影響を及ぼすことが分かった。
「欧州ヒト生殖医学会」が7日に発表したオーストラリアの研究によると、体外受精前の採卵に至る段階での汚染状況により、出生成功確率は40%ほど下がるのだという。
研究の筆頭著者であるセバスチャン・レザーシック博士は、「気候変動と汚染は、人類の健康にとって最大の脅威であり、人のリプロダクションはこれに影響を受けないとはいえない。...
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7月7日付英
『Global NEWS』:「大気汚染で体外授精成功率が約40%減少との研究」:
最新研究によると、大気状態の良好な地域においても、大気汚染の原因微粒子が、不妊治療に影響を及ぼすことが分かった。
「欧州ヒト生殖医学会」が7日に発表したオーストラリアの研究によると、体外受精前の採卵に至る段階での汚染状況により、出生成功確率は40%ほど下がるのだという。
研究の筆頭著者であるセバスチャン・レザーシック博士は、「気候変動と汚染は、人類の健康にとって最大の脅威であり、人のリプロダクションはこれに影響を受けないとはいえない。卵子移植の時期の汚染レベルに関係なく、採卵前の数週間や数ヶ月での汚染粒子(PM2.5やPM10)への暴露が、出生率低下に関連があることが確認された」としている。
2022年のWHO報告書によると、健康に対する大きな環境リスクの一つである室外の大気汚染で、世界で年間400万人が死亡していると推計されている。また、カナダ保健省の調べでは、カナダ国内で年に15万3千人が大気汚染が原因で死亡、更に多くが喘息や急性呼吸器症候群に苦しんでいるという。
大気汚染と不妊治療についての研究はこれまで殆ど行われてこなかった。今回の研究が初の研究となった。レザーシック博士は、「不妊治療でより多くの女性が凍結卵子移植を行っていることから、採卵後の数ヶ月から数年経た卵子が使用される現状をふまえ、採卵時期の汚染レベルと移植時の汚染レベルに注目した」とする。
また、「(汚染を)完全に避けることが不可能なら、不妊治療中の人は、汚染レベルが高い日には室内に滞在したり空気清浄機を使用する、或いは渋滞時に車の窓を閉める」よう勧めるが、「根本的には政府や産業レベルでの早急な対策が必要」だと指摘している。
同日付英『Guardian』:「大気汚染により体外受精後の出生成功確率が38%減少」:
大気汚染が健康に及ぼす影響が深刻であることを示す研究によると、大気汚染は不妊治療後の出生のチャンスを減らすという。
汚染物質にさらされ、微粒子が血管を通って卵巣や胎盤に運ばれることで、流産や早産の確率が高まる可能性については知られていたが、今回の研究では、汚染の影響は採卵の段階から起きる点が指摘されている。
大気汚染は人間の健康への主な脅威の一つ。WHOによると、2019年670万人が死亡している。微小な粒子が、肺から血管に入り、各臓器に送られることが分かっており、心臓病、胃がん、認知症などを引き起こす。大気汚染は知性の低下にも関係があるとされている。
研究では、8年にわたり、オーストラリアのパースで不妊治療を分析。3600個超の冷凍卵子が1800人超の患者から採取され、PM10と呼ばれる微粒子レベルとの関係結果を追跡。
全体では、1移植あたり28%が出生に成功。しかし、成功率は採卵までの2週間の汚染レベルに影響をうけていたことがわかった。4つのレベル区分のうち最低区分と比べ、最高区分では、出生率は38%減少していた。
オーストラリアは2023年のWHOの大気質ガイドラインを満たしている7カ国のひとつ。この研究は、比較的低い汚染レベルであっても害を及ぼすという証拠を示す最新の研究となっている。
体外受精の専門家ギータ・ナルグンド教授は、「世界的な少子化危機に直面している今、大気などの環境ファクターと不妊治療結果の関係性は重要な意味を持ってくるだろう」と述べている。
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中国IT、日本人襲撃でヘイトスピーチ取り締まり(2024/07/02)
先週、中国江蘇省蘇州市のバス停で日本人母子が襲撃され、これを中国人女性が阻止した事件を受け、中国のネット企業は、オンライン上にみられる反日感情のような過激なナショナリズムを取り締まると発表している。
7月1日付
『ロイター通信』:「日本人襲撃事件を受け、中国ソーシャルメディア企業がヘイトスピーチ批判」:
先週1人が死亡し日本人母子が負傷した襲撃事件を受けて、中国のソーシャルメディア大手企業が日本人を標的としたネット上のヘイトスピーチを批判し、強気の対応を発表している。
このような感情や国家主義思想が問題となるのは珍しいことではないが、「ウィーチャット」や「テンセント
」、「ティックトック」を運営するバイトダンス社の姉妹サイト「ドウイン」、投稿サイト「ウェイボ」、ゲーム大手「ネットイース」が先週のヘイト投稿を批判している。...
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7月1日付
『ロイター通信』:「日本人襲撃事件を受け、中国ソーシャルメディア企業がヘイトスピーチ批判」:
先週1人が死亡し日本人母子が負傷した襲撃事件を受けて、中国のソーシャルメディア大手企業が日本人を標的としたネット上のヘイトスピーチを批判し、強気の対応を発表している。
このような感情や国家主義思想が問題となるのは珍しいことではないが、「ウィーチャット」や「テンセント
」、「ティックトック」を運営するバイトダンス社の姉妹サイト「ドウイン」、投稿サイト「ウェイボ」、ゲーム大手「ネットイース」が先週のヘイト投稿を批判している。
ドウインは30日の投稿で、「過激で間違えた発言は外国人嫌悪を助長し、プラットフォームの平和で前向きな雰囲気を阻害し、違法行為をあおり立てるもの」だと述べている。
中国における反日感情は、第二次大戦下の中国侵攻の苦い記憶を発端としており、襲撃で日本人を標的としたことを称賛するような声も一部みられる。「ドウイン」では、55歳のバス乗務員を称え追悼するコメントが多数みられ一方、過激な発言が目立ったという。
中国国営メディアもネット上のヘイトスピーチを批判している。先月28日の人民日報の社説では、「我々は個人が外国人嫌悪やヘイトスピーチをあおることも容認しない。これは主流の中国社会や中国人には受け入れられない」としている。
同日付英『Guardian』:「ナイフ襲撃事件を受け、中国IT企業がネット上のヘイトスピーチ対策」:
先週末、中国のネット二大企業「テンセント」と「ネットイース」はオンライン上の行き過ぎたナショナリズムを取り締まるべく調査を行い、ヘイトを助長するユーザーのアカウント停止するとしている。
先週、東部蘇州で周という名の無職の男が日本人学校の母子をバス停で刃物で刺し負傷させ、仲裁に入った中国人胡有平さんが死亡した。胡さんはネット上で勇敢なヒーローだと称賛され、中国日本国大使館では反旗が掲げられのだが、その一方で、過激な国家主義的反応がみられている。
対話アプリ「ウィーチャット」を運営するテンセントは、「事件が公衆の関心を集めている。ネティズンの中には日中の対立を煽ろうとする人もいる」と発表。
一月に5億8800万人のユーザーが利用している投稿サイト「ウェイボー」は事件後、「国家主義感情を刺激するような過激な発言や、集団憎悪を助長させ、中には愛国主義の名目のもとに犯罪を称賛する」ようなユーザーもいるとしている。
ショート動画アプリ「ドウイン」は、中国の日本人学校関連を含むアカウント上の過激な外国人嫌悪(ゼノフォビア)を調査するとしている。
日本への憎悪を示す「反日感情」が近年中国のネット上でみられるが、政府批判への検閲への対応には迅速な中国当局やネット企業は殆ど介入していない。差別的な日本人教員に反抗する中国人児童の動画など「日本人学校を叩く動画」が特に人気があるという。
対策として、「ウェイボー」は違法なコンテンツ759個を削除、テンセントは違反のあった836投稿に対応し、両社は幾つかのアカウントを停止したという。こうした企業側の反日コンテンツ取り締まりに不満をもつ人々もいる。
中国当局は、北西部吉林省で米国人教員らが公園で刃物で襲撃された事件の2週間後に起きた今回の襲撃事件だけを特例としたものではないとしている。
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