中国、スリランカやパキスタンへ海外基地拡大の可能性(2023/07/28)
中国が、輸送ルート確保と米国及び同盟国への対抗措置として、海外の基地建設を計画している可能性があるという。
7月27日付英
『Guardian』:「中国がアジアとアフリカへ新基地拡大計画か」:
中国が、輸送ルート確保と米国及び同盟国への対抗措置として、海外の基地建設を計画している可能性があるという。
米国のリサーチ会社「AidData」が26日発表した報告書によると、中国が今後2~5年間で海軍基地を建設する可能性が高いのは、スリランカのハンバントタ港、赤道ギニアのバータ、パキスタンのグワダルの3か所だという。...
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7月27日付英
『Guardian』:「中国がアジアとアフリカへ新基地拡大計画か」:
中国が、輸送ルート確保と米国及び同盟国への対抗措置として、海外の基地建設を計画している可能性があるという。
米国のリサーチ会社「AidData」が26日発表した報告書によると、中国が今後2~5年間で海軍基地を建設する可能性が高いのは、スリランカのハンバントタ港、赤道ギニアのバータ、パキスタンのグワダルの3か所だという。
中国国営銀行による開発融資額、現在のインフラの戦略的価値、受け入れ国政府との蜜月関係等の要素を考慮し分析されている。
中国人民解放軍海軍(PLAN)は現在、アフリカの東部ジプチにのみ海外基地を所有している。しかし、米中の対立関係が高まる中、中国は米国の海軍力に追いつこうと画策している。米国と違い、中国は他国との防衛同盟関係を結んでおらず、北朝鮮との相互防衛条約があるのみとなっている。それ故、中国の発展のため海外の基地の開発が優先事項となっているのだという。
PLANの今後の目標は、中国が「一帯一路」構想で優位に立つことと重なっている。候補とされる8つの基地のうち4箇所は、アフリカに位置している。中国が最も必要とする地域は、南シナ海と台湾海峡であることに変わりはないが、基地の海外展開は中国の輸送ルート確保に役立つとみられる。
「AidData」によると、スリランカのハンバントタ港は、今後基地が置かれる可能性の最も高い場所だという
2010年開港、国営開発銀行である中国輸出入銀行が3千万ドルを融資、中国が「施設を直接管理」しているとする。
25日、米国ではカンボジアのリアム海軍基地の衛星画像が公表された。米政府はリアムに中国が海軍進出を企み施設を建設しているとみている。この基地は中国の支援で建設されているが、中国もカンボジア政府も中国人民解放軍海軍の基地利用を否定している。
専門家の分析では、リアムに基地があれば、タイ湾へのアクセス等で、中国にとっては戦略的利益が絶大だとされる。画像では、基地の埠頭がほぼ完成されており、中国のジブチ基地に非常に似ているという。埠頭は、空母や戦艦も停泊できるほどに長いという。
同日付米『The China Project』:「中国の次の海外基地はスリランカの港か」
中国人民解放軍海軍の初の海外基地は、中国と利害関係を結ぶアフリカ東部のジブチだった。そして最新の報告書によると、同じようなシナリオが展開されつつあるという。
商品の輸出や石油、穀物、レアアースの輸入保護を目的とする中国企業による港湾建設への投資動向を調査した最新報告書によると、中国軍は、第二の海外基地をスリランカに作る可能性が高いという。
スリランカのハンバントタ港への投資額は約22億ドルで他の港よりも多額となっている。スリランカ政府は2017年に中国との99年契約に合意、2018年にはスリランカ海軍へフリゲート艦が贈呈されており、国民の間では、中国や中国人への親近感も高いという。
他には、カンボジアのリアム、 パキスタンのグワダル、赤道ギニアのバータ、カメルーンのクリビも中国基地となる可能性のある場所としてあげられている。また、バヌアツ、アフリカ東部のモザンビークのナカラ港、アフリカ西部モーリタニアのヌアクショットも名前が挙げられている。
米国の政治家はこの情報をみて脅威を感じるかもしれないが、騒ぎ立てず静観するべきだと報告書の著者は指摘している。世界最大の貿易国の中国が海外港湾建設を求めるのは理にかなっており、中国は2019年に食物や石油の67.3%を輸入に頼っており、今後増加するものとみられている。
2022年のシンクタンク「ランド研究所」による報告書では、スリランカのハンバントータやオマーン湾のグワダルが海外基地候補として挙げられていたのだが、中国による港湾投資が少ない、バングラデシュやミャンマーも有力とされていた。
一方、2000年~2023年の中国国営300社以上による2万件以上のプロジェクトを調査した「AidData」の分析では、投資規模以上に政治戦略的な要素に重要性が置かれており、総合的視点から中国が投資する港湾が浮上した。
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中国、高失業率を背景に若者の間で寺院参拝が人気(2023/06/23)
中国では景気が厳しい状況の中、求職活動中の若者の間で寺院参拝が増えているという。
6月23日付加
『CTV News』:「中国で寺院参拝増加:若者の求職者がスピリチュアルを求めて」:
中国では景気が厳しい状況の中、多くの若者が求職活動のさなかに宗教や精神修行を求めているという。
中国のオンライン旅行代理店「去哪儿旅行(Qunar)」の最新データによると、寺院への参拝者は、今年四半期は昨年同時期と比べ367%増加しているという。
昨年12月のゼロコロナ政策解除をきっかけに、観光や文化活動が再開した一方で、様々な宗教施設を訪問する人がコロナ以前よりも増加しているのは注目すべき点である。...
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6月23日付加
『CTV News』:「中国で寺院参拝増加:若者の求職者がスピリチュアルを求めて」:
中国では景気が厳しい状況の中、多くの若者が求職活動のさなかに宗教や精神修行を求めているという。
中国のオンライン旅行代理店「去哪儿旅行(Qunar)」の最新データによると、寺院への参拝者は、今年四半期は昨年同時期と比べ367%増加しているという。
昨年12月のゼロコロナ政策解除をきっかけに、観光や文化活動が再開した一方で、様々な宗教施設を訪問する人がコロナ以前よりも増加しているのは注目すべき点である。
例えば、中国仏教の四大山の一つ、四川省にある峨眉山(がびざん)では、1月から5月にかけ、約250万人が来訪。これは2019年同時期と比べ50%以上の増加である。1月、2月の訪問者の約半数は、1990年以降に生まれた「ミレニアム世代」や「Z世代」と呼ばれる人々だという。この世代の若者は記録的失業率に突き当たり苦境を強いられている。5月の16歳から24歳の失業率は20.8%にも達している。
ゼロコロナから中国経済が立ち上がろうとする中、教育環境、土地、技術セクターでの遅れや低迷によって新卒者の就職機会は限られ、多くの人は単位取得よりも宗教に重きを置いてしまっているのだ。ソーシャルメディア上では、将来のビジョンを求めスピリチュアルにハマる若者を指す「お香を焚く若者」という言葉が流行っている。
このような要望に応えようと、現在、多くの寺院では、瞑想コース、カフェの併設、心理カウンセリングセンターまで置くところもある。このような傾向により、コメンテーターの間では、「寺院経済」なる用語も生まれた。
加えて、仏教式の装身具も人気を集め、北京のラマ寺院では、1月、第三者がラマ寺院のブレスレットを販売するのを禁止すると発表し、オンライン業者からは不満の声が上がっているという。
中国共産党は無神論を提唱しつつも、古来の風習も残している。寺院観光の隆盛は、若者が失業のプレッシャーや限られた機会に苦しんでいる中国の社会現象を現しており、寺院は癒やしやインスピレーションの源となる救済の場となっている。
6月22日付英『Guardian』:「中国では精神的支援を求めて寺院を訪問する若者失業者が増加」
景気低迷の中、仕事を求める多くの若者が神仏にすがっているという。中国旅行会社が発表したデータによると、観光寺院への訪問者は今年、2022年同時期比で367%増加したという。
癒やしを求める若者は、競争社会を抜け出すことを選択し、自己改善を求めている。これは、競争社会で努力しすぎて燃え尽きた若者が感じる強いプレッシャーを意味する「内巻」という流行語にも関連している。
寺院側は、スピリチュアル鍛錬への需要から、瞑想コースや心理カウンセリング等を設け利益を得ているといい、「寺院経済」なる言葉も生み出された。
カリフォルニア大学近代中国史研究のバウム教授は、「中国では祖先を礼拝する長い歴史があるが、若者は将来良いことがあるようにとの願いを込め、亡き親族へのささげ物を供えるために寺院を訪れる」という。
中国江蘇省の崑山杜克大学で道教を研究するミラー教授は、「中国式の礼拝で、香を炊くのは、慣習であると同時に精神的な行為でもある。寺院詣では、宗教信仰的な側面だけではなく、誰もが頼れる問題解決の助けとなる実践的ステップであるとも考えられている」とする。
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