中国、高失業率を背景に若者の間で寺院参拝が人気(2023/06/23)
中国では景気が厳しい状況の中、求職活動中の若者の間で寺院参拝が増えているという。
6月23日付加
『CTV News』:「中国で寺院参拝増加:若者の求職者がスピリチュアルを求めて」:
中国では景気が厳しい状況の中、多くの若者が求職活動のさなかに宗教や精神修行を求めているという。
中国のオンライン旅行代理店「去哪儿旅行(Qunar)」の最新データによると、寺院への参拝者は、今年四半期は昨年同時期と比べ367%増加しているという。
昨年12月のゼロコロナ政策解除をきっかけに、観光や文化活動が再開した一方で、様々な宗教施設を訪問する人がコロナ以前よりも増加しているのは注目すべき点である。...
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6月23日付加
『CTV News』:「中国で寺院参拝増加:若者の求職者がスピリチュアルを求めて」:
中国では景気が厳しい状況の中、多くの若者が求職活動のさなかに宗教や精神修行を求めているという。
中国のオンライン旅行代理店「去哪儿旅行(Qunar)」の最新データによると、寺院への参拝者は、今年四半期は昨年同時期と比べ367%増加しているという。
昨年12月のゼロコロナ政策解除をきっかけに、観光や文化活動が再開した一方で、様々な宗教施設を訪問する人がコロナ以前よりも増加しているのは注目すべき点である。
例えば、中国仏教の四大山の一つ、四川省にある峨眉山(がびざん)では、1月から5月にかけ、約250万人が来訪。これは2019年同時期と比べ50%以上の増加である。1月、2月の訪問者の約半数は、1990年以降に生まれた「ミレニアム世代」や「Z世代」と呼ばれる人々だという。この世代の若者は記録的失業率に突き当たり苦境を強いられている。5月の16歳から24歳の失業率は20.8%にも達している。
ゼロコロナから中国経済が立ち上がろうとする中、教育環境、土地、技術セクターでの遅れや低迷によって新卒者の就職機会は限られ、多くの人は単位取得よりも宗教に重きを置いてしまっているのだ。ソーシャルメディア上では、将来のビジョンを求めスピリチュアルにハマる若者を指す「お香を焚く若者」という言葉が流行っている。
このような要望に応えようと、現在、多くの寺院では、瞑想コース、カフェの併設、心理カウンセリングセンターまで置くところもある。このような傾向により、コメンテーターの間では、「寺院経済」なる用語も生まれた。
加えて、仏教式の装身具も人気を集め、北京のラマ寺院では、1月、第三者がラマ寺院のブレスレットを販売するのを禁止すると発表し、オンライン業者からは不満の声が上がっているという。
中国共産党は無神論を提唱しつつも、古来の風習も残している。寺院観光の隆盛は、若者が失業のプレッシャーや限られた機会に苦しんでいる中国の社会現象を現しており、寺院は癒やしやインスピレーションの源となる救済の場となっている。
6月22日付英『Guardian』:「中国では精神的支援を求めて寺院を訪問する若者失業者が増加」
景気低迷の中、仕事を求める多くの若者が神仏にすがっているという。中国旅行会社が発表したデータによると、観光寺院への訪問者は今年、2022年同時期比で367%増加したという。
癒やしを求める若者は、競争社会を抜け出すことを選択し、自己改善を求めている。これは、競争社会で努力しすぎて燃え尽きた若者が感じる強いプレッシャーを意味する「内巻」という流行語にも関連している。
寺院側は、スピリチュアル鍛錬への需要から、瞑想コースや心理カウンセリング等を設け利益を得ているといい、「寺院経済」なる言葉も生み出された。
カリフォルニア大学近代中国史研究のバウム教授は、「中国では祖先を礼拝する長い歴史があるが、若者は将来良いことがあるようにとの願いを込め、亡き親族へのささげ物を供えるために寺院を訪れる」という。
中国江蘇省の崑山杜克大学で道教を研究するミラー教授は、「中国式の礼拝で、香を炊くのは、慣習であると同時に精神的な行為でもある。寺院詣では、宗教信仰的な側面だけではなく、誰もが頼れる問題解決の助けとなる実践的ステップであるとも考えられている」とする。
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ドイツ日刊紙、AI導入で編集者解雇へ(2023/06/21)
ヨーロッパで最も売れているドイツのタブロイド日刊新聞「ビルド」が、人工知能(AI)が生成する記事を導入することで、数百人単位の編集人員を削減するビジネスモデルを発表している。
6月20日付英
『Guardian』:「ドイツ、タブロイド紙が編集業務にAI導入へ」
ヨーロッパで最も売れているタブロイド紙「ビルド」は、一部編集作業をAIに置き換える方針。ヨーロッパ最大のメディア出版社「アクセル・スプリンガー」社によると、AI導入により、現在編集作業にあたっている人員数百人が解雇される見込みだという。
同社は1億ユーロ(150億超)のコスト削減計画の一貫となるこの計画を、スタッフにメールで周知。...
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6月20日付英
『Guardian』:「ドイツ、タブロイド紙が編集業務にAI導入へ」
ヨーロッパで最も売れているタブロイド紙「ビルド」は、一部編集作業をAIに置き換える方針。ヨーロッパ最大のメディア出版社「アクセル・スプリンガー」社によると、AI導入により、現在編集作業にあたっている人員数百人が解雇される見込みだという。
同社は1億ユーロ(150億超)のコスト削減計画の一貫となるこの計画を、スタッフにメールで周知。地方紙においても、大幅な人員削減に繋がる再編を計画しているという。
アクセル・スプリンガーは、「残念ながら、デジタル化時代においてAIや自動プロセスが担うタスクを行っている人員は削減せざるを得ない。エディター、版下制作者、編集補佐、校正者、写真編集者の役割は、今後存在しなくなるだろう」としている。
同社は今年2月、「デジタルメディア企業」に向けて動き出すと発表。チャットGPTのようなAIツールは、「独立系ジャーナリズムを生まれ変わらせる可能性がある。情報の収集においてはAIはジャーナリストを上回る。調査報道やオリジナリティのある解説等の最高の独自コンテンツを作り出した出版社のみが生き残るだろう」としていた。
他にも今年、米「バズフィード」社が、コンテンツやオンラインクイズを充実させるためAIを活用すると発表。英国の「デイリー・ミラー」紙や「デイリー・エクスプレス」紙もAIの導入を検討中である。
チャットGPTのようなAIツールは、単純な入力により、非常に手の込んだテキストを生成できる。エッセイや求職申請、ポエム、フィクション等作り出せるが、一方で不正確性や虚構も散見される。
今年4月、ドイツのタブロイド紙「Die Aktuell」は、スキー事故で脳損傷を患い、2013年12月から公けに姿を現していないにも関わらず、AIが捏造したF1レジェンドレーサー、ミハエル・シューマッハのインタビューを掲載し、家族に謝罪。家族は出版社を相手取り法的措置に出ている。
ドイツジャーナリスト協会は、スプリンガー社の計画を批判し、人員削減は「非社会的であり非効率的」で不当だとしている。
同日付豪『シドニー・モーニング・ヘラルド』:「ドイツで最も売れている新聞”ビルド”がAI導入で人員解雇へ」:
ドイツで最も売れているビルド紙が、数百人の人員を削減。編集者に代わりAIを導入することで、購読者数増加や評判回復に向け大胆なビジネスモデルに踏み切ると発表している。
人員削減の規模は発表されていないが、数百人程度とみられる。その仕事の多くはAIが代行することになるという。
ビルド紙は、政治的でセンセーショナルな報道で知られるが、今も法廷闘争が続く社員の性的暴行事件や、4月にはマティアス・デプフナーCEOが前回のドイツ総選挙結果に影響を与えようとテキストメッセージを流出させ批判されたこと等で問題を抱えている。
購読数は、2000年前後のピーク時の450万部から、昨年末には100万部超にまで落ち込み、今後3年の売上アップとコスト削減施策を行っている。そこで、数年後は「デジタルのみ」のタブロイド紙を掲げ、、2026年までにオンラインで一日あたり2000万人ビューを目標としている。「ポリティコ」や「インサイダー」を傘下とするKKRが最大株主の同社グループは、米国への展開も視野に入れている。
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