スリランカの経済危機と医療崩壊
中国などに対する債務累積問題や、ロシア軍のウクライナ侵攻による通貨下落により1948年の独立以来最悪の経済危機にあるスリランカでは、数週間にわたり停電、食料品や医療品不足が続いており、コロナ禍以上の医療崩壊が懸念されている。
4月11日付英国
『Guardian』:「医薬品不足が深刻なスリランカ、コロナによる死者を上回るとの指摘も」:
スリランカの医師は、生命維持に繋がる医薬品がほぼ底をついていており、経済危機がもたらす脅威がコロナによる死を上回ると指摘している。
スリランカは、数週間にわたり停電、食料品、燃料、医療品などの不足が続いており、1948年の独立以来最悪の経済危機に陥っている。
スリランカ医師会は、国内全ての医療機関で、輸入機器や医薬品へのアクセスが不可能となっており、先月には麻酔不足から通常手術を停止した施設も既にあり、さらに緊急手術もできなくなるのは時間の問題だとしている。...
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4月11日付英国
『Guardian』:「医薬品不足が深刻なスリランカ、コロナによる死者を上回るとの指摘も」:
スリランカの医師は、生命維持に繋がる医薬品がほぼ底をついていており、経済危機がもたらす脅威がコロナによる死を上回ると指摘している。
スリランカは、数週間にわたり停電、食料品、燃料、医療品などの不足が続いており、1948年の独立以来最悪の経済危機に陥っている。
スリランカ医師会は、国内全ての医療機関で、輸入機器や医薬品へのアクセスが不可能となっており、先月には麻酔不足から通常手術を停止した施設も既にあり、さらに緊急手術もできなくなるのは時間の問題だとしている。
医師会がゴタバヤ・ラジャパクサ大統領へあてた書簡では、「非常に難しい選択を迫られている。数日以内に物資が供給されなければ、死者数はコロナによる死者をはるかに上回るだろう」と述べていた。
危機への不満から大統領辞任を求める大規模なデモが行われ、首都コロンボの官邸前では、激しい雨の中数千人の市民がデモを続ける光景がみられた。経済界からも辞任を求める声が上がっているという。
国際通貨基金(IMF)からの救済による危機脱却を模索している。同国では食品価格が急騰し、先月通貨価値は3分の1になった。財務当局は、国債などの債権者は資産の目減りが避けられないとしている。コロナ禍により、観光業や送金からの重要な収入源がたたれた上に、外貨不足により深刻な状況を招いた。エコノミストは、スリランカの危機の原因は、政府経営の失敗、長期間の累積負債、誤った減税策によるものだとしている。
4月10日付インド『Hindustan Times』:「スリランカの経済危機でコロナより多くの死者が出る恐れ」:
今月10日、スリランカ医師会は、経済危機による死者がコロナの死者を上回ると警告。スリランカでは停電や食料、燃料、医薬品不足問題が深刻となっている。
国民の不満は高まっており、ラジャパクサ大統領辞任を求めるデモが勢いを増している。先週には、首相以外の内閣議員が総辞職した。地元メディアによると、ラジャパクサ氏は、無党派42議員からなる11の党連合を協議に招いたとされる。10日夕方に予定されている協議で議員らは、大統領の兄で首相のマヒンダ・ラージャパクサ氏の辞任と新閣僚指名を要求し、経済政治危機脱却のための提案書を提出するとみられている。
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ツイッター社、ロシア検閲回避サイト開設
ロシア国内では、ウクライナ侵攻の現状を伝える報道や当局批判が厳しく取り締まられ、Facebookやツイッター、各国メディアへのアクセスが制限されている。そこで、ロシア国民へのアクセス向上のため、ツイッターは、インターネット上の匿名化ネットワークを経由してアクセスできるWebサイトを開設した。
3月10日付英
『Guardian』:「ツイッター、ロシア検閲を回避しプライバシーを保護するダークウェブサイト開設」:
ロシア国内でアクセス制限されているツイッターは、検閲を回避できるプライバシー保護版のサイトを開設した。
これはOnionサービスと呼ばれ、ユーザーはTor(The Onion Router)ブラウザをダウンロードすることで、ツイッターにアクセスし、ダークウェブ(闇サイトに利用される)とよばれる当サイトにアクセスできる。...
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3月10日付英
『Guardian』:「ツイッター、ロシア検閲を回避しプライバシーを保護するダークウェブサイト開設」:
ロシア国内でアクセス制限されているツイッターは、検閲を回避できるプライバシー保護版のサイトを開設した。
これはOnionサービスと呼ばれ、ユーザーはTor(The Onion Router)ブラウザをダウンロードすることで、ツイッターにアクセスし、ダークウェブ(闇サイトに利用される)とよばれる当サイトにアクセスできる。ドットコムのドメイン末尾( .com)サイトと違い、オニオンサイトの末尾は(.onion)となっている。
ダークウェブには、違法サイトという意味合いがあるが、安全性への配慮や、圧政下で検閲されたサイトへのアクセス目的で、匿名性を保つためにしばしば使われることもある。FacebookやBBCも、Torでアクセス可能なバージョンを持っている。この新サービスについては8日、ソフト開発やセキュリティ担当者で、他社でOnionサイトを開発したことのあるAlec Muffett氏が自身のTwitterで明かしている。
ロシアは、ウクライナ侵攻の情報の拡散を恐れ、独立系ニュースサイトやソーシャルメディアへの弾圧や検閲を強化。先週、ロシア当局は国営メディア制限への報復として、Facebookへのアクセスを禁止し、ツイッターやBBC、米政府系ラジオ局(VOA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ(短波国際放送 )、 ドイツのDeutsche Welle放送、ラトビアのウェブサイト(Meduza)へのアクセスも禁止している。
3月9日付米『フォーブス』:「ツイッターがTorブラウザ開設、ロシア国民のアクセス改善へ」:
ロシア国内でツイッター社はアクセス制限を回避するため、Tor サービスを開始した。無料のTorブラウザをダウンロードすることでユーザーはツイッターを利用できる。既に利用可能だが、この新サービスは、プライバシー保護を強化し、ツイッター独自に開設されているという。
Enterprise Onion Toolkit(EOTK)のカスタマイズ版で、2014年にFacebookのオニオンサービス開設チームを主導したサイバーセキュリティ担当者が発表。ツイッター社としても、公式サポートブラウザーリストにTorを加えているのだが、正式な公表はしていない。過去のFacebookやBBCのサイト開設での教訓から、大々的な宣伝はアクセス集中に繋がるため、世界的危機の時代には賢明ではないと判断されたのだろう。
Torオニオンルーターが、インターネットトラフィックを追跡し、世界中の数千サーバーへ繋ぎ、殆どが無償。匿名性に加え、高度のプライバシーや検閲からの保護が期待できる。悪意を持った人々も存在するが、無防備にウェブを使用するよりは、セキュリティ上のリスクから保護できる点で、特定のオニオンサイト開設は利点がある。ロシア以外でも利用可能で、ツイッターをグロックしている中国やイラン、北朝鮮でもアクセス可能となっている。
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