ウクライナ攻撃のイラン製ドローンに米国製チップ使用
ウクライナへの攻撃に使われているドローンは、ロシア製かイラン製だが、そのドローンに使われている中心的な技術は欧州や米国製となっているという。
1月4日付米
『CBS』:「ロシアがウクライナを攻撃しているドローンに米国の技術を使用」:
ウクライナを攻撃しているロシアのドローンはロシア製かイラン製だが、その技術は欧州や米国製となっている。
キーウで撃墜されウクライナ軍が押収したドローン「オルラン10」はロシアの無人航空機(UAV)で、そのモジュール内のチップはスイスの「U-Blox」製だった。チップの役目は方向測定で、それがなければドローンは飛行方向を見失う。...
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1月4日付米
『CBS』:「ロシアがウクライナを攻撃しているドローンに米国の技術を使用」:
ウクライナを攻撃しているロシアのドローンはロシア製かイラン製だが、その技術は欧州や米国製となっている。
キーウで撃墜されウクライナ軍が押収したドローン「オルラン10」はロシアの無人航空機(UAV)で、そのモジュール内のチップはスイスの「U-Blox」製だった。チップの役目は方向測定で、それがなければドローンは飛行方向を見失う。
ウクライナ政府は、過去4ヶ月の間に、ロシア製やロシアが改造したイラン製ドローンの中には、米国のマキシム・インテグレーテッドやマイクロチップ・テクノロジー製のものがあるとしている。だがこれらは携帯電話など通常の製品にも使われている。
一方、ウクライナ国内でロシアは独自のGPSに当たる衛星測位システム「GLONASS」を利用している。1970年代にソ連軍により開発され、現在22基の衛星が運用されている。市民も利用できるが、現在はロシア軍にとって、最前線やウクライナの市街地での軍用機やドローン攻撃に欠かせないものとなっている。
ウクライナ当局は、少なくとも米6社が「GLONASS」に対応したチップを製造しているとしている。これらの企業が自社製品がロシアやイランに利用され、米国の制裁法に違反していることを知っているかは確認されていないが、マイクロチップやマキシムなど殆どの企業の社内規約では、軍事目的の技術使用は制限されている。
スイスの半導体製造業「U-Blox」は、侵攻開始以降ロシア企業との関係を絶っているとするが、部品は「禁輸対象ではない」という。民間での使用も含むため、流通状況のチェックは難しいという。入国管理資料によると、欧州や米国企業のマイクロチップ製品は、中国やマレーシアなどの第三国を通じ、ロシアへ流通しているとみられる。
問題となっている米国製チップは、GPSやガリレオなど、他の衛星ナビゲーション・システムにも対応している。専門家は、ドローン攻撃の正確性がロシア軍には魅力となっているため、GLONASSへの対応をやめ、ドローン攻撃の正確性を低下させることが人命を救うことにつながるとする。既に非対応のチップを製造している企業もある一方、「U-Blox」社は「理論上は可能だ」としながらも、社内での検討を要するとしている。
現在もロシアのドローン攻撃は継続している。昨年9月以降の攻撃は600基以上とみられる。今月2日ゼレンスキー大統領は、今週ウクライナ軍は2日間で80基以上を撃墜したと発表している。
同日付米『CNN』:「イラン製ドローンから米国の10数企業の部品が見つかる」:
ウクライナ諜報部の評価によると、10数社以上にわたる欧米企業製の部品が、ウクライナへの攻撃に使われたイラン製ドローンから見つかったという。
この評価は昨年米当局と共有されており、ドローン供与でイランを批判するバイデン政権がかかえる問題を示している。
ホワイトハウスは先月、イラン製ドローンに使用されている欧米技術由来の半導体やGPSモジュール等を調査する作業部会を設置。ウクライナで押収されたイラン製ドローン「シャヘド136」52基のうち、40基が米国の13企業で製造されたものだったことが判明した。残る12基は、カナダ、スイス、日本、台湾、中国製だったという。
米当局は、制裁の強化や、製造元にサプライチェーンのさらなる監視を求め、ドローンを購入し再販している第三の流通業者を特定する等の対策を検討している。
制裁を受けつつも、イランには技術を入手する豊富なルートがあるとされる。例えば、撃墜されたドローンの製造元であるイラン航空機製造工業株式会社(HESA)は、2008年から既に米国の制裁対象となっている。
ロシアやイランにとって、西欧の制裁をくぐり抜け製品を入手するには、ダミー会社設立が最も手軽な方法だ。マイクロエレクトロニクス業界は特定の困難な第三の流通業者や再販業者に依存している部分がある。米当局によると、ロシアはまた、イランの支援をうけた独自のドローン工場の建設を準備しているという。
ロシアはウクライナ全土を対象にドローン攻撃を継続しているため、イランのドローン製造を止めることが急務となる。専門家は、米政府の制裁強化のためには、現地でベンダーやレセラーを調査するより多くのリソースや人員が必要だという。ドローンに部品が使われていた米国企業は、許可外での使用を批判し、業界全体で取り組むべき問題だとしている。
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香港の研究グループ、サンゴ群集再生補助のため3Dプリンターによる特殊タイル開発【米メディア】
サンゴ礁は地球上の海底面積の僅か0.2%未満ながら、海洋生物全体の約25%の生存を支えていると言われる。しかし、地球温暖化による海水温上昇や水質汚染等人的被害を受けて、広い範囲で死の危機に曝されている。そこでこの程、香港の研究グループが、3Dプリンター利用による特殊タイルを開発し、サンゴ群集の再生に寄与しようとしていると報じられている。
1月2日付
『CBSニュース』(1927年開局)は、「香港の研究グループ、3Dプリンターで作った特殊タイルでサンゴ礁再生に寄与」と題して、香港の研究グループが開発した、サンゴ群集の再生に寄与するとされる特殊タイルについて報じている。
香港の研究グループが、人間活動によって死の危機に曝されているサンゴ礁を再生させるべく、3Dプリンターで作成できるテラコッタ粘土製の特殊タイルを開発した。
亜熱帯地域に属する香港近海には、カリブ海よりも多種多様なサンゴが群生しているが、それよりも南シナ海の浅瀬となっていることから最高の自然美と誇られていた。...
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1月2日付
『CBSニュース』(1927年開局)は、「香港の研究グループ、3Dプリンターで作った特殊タイルでサンゴ礁再生に寄与」と題して、香港の研究グループが開発した、サンゴ群集の再生に寄与するとされる特殊タイルについて報じている。
香港の研究グループが、人間活動によって死の危機に曝されているサンゴ礁を再生させるべく、3Dプリンターで作成できるテラコッタ粘土製の特殊タイルを開発した。
亜熱帯地域に属する香港近海には、カリブ海よりも多種多様なサンゴが群生しているが、それよりも南シナ海の浅瀬となっていることから最高の自然美と誇られていた。
しかし、香港大学(1911年設立の公立大)サンゴ生態学者のデビッド・ベーカー准教授は、“第二次大戦世代の人たちは異口同音に、香港近海は透明度も抜群で、サンゴ礁にとってもパラダイスであったと述べている”としながらも、“しかし、香港の産業化が進むにつれて、汚染物質が流失して近海に流れ込んでしまい、サンゴ礁のパラダイスが失われてしまった”と表明した。
そこで、同准教授が仲間とともに研究を重ね、サンゴ群集を再生させる手助けとなる特殊タイルを開発した。
この研究グループが世界で初めて開発したのは、テラコッタ粘土から作ったリーフタイル(サンゴが付着しやすい複雑な構造土台)で、3Dプリンターで同じものが多量に生産できる。
また、毒性はまったくなく、かつ生分解性(注後記)を有する。
同研究グループは約2年前、サンゴの生息が衰退した海底域に、生きたサンゴを付けた同リーフタイルを置いたところ、約95%でサンゴの再生が確認できたという。
同准教授は、リーフタイル作成に思い立った理由を訊かれ、“ある晩、台所や風呂場にあるタイルをサンゴ用に活用できないかと思い付いた”と述懐している。
当該リーフタイルはどこの海域でも有効に利用できるので、今後、世界のサンゴ礁再生のための大きな戦力となるとみられている。
サンゴ礁は、外海の激しい波浪を止める天然の防波堤となるため、その内側に生息する海洋生物や小動物のみならず人間の営み上も非常に有益である。
すなわち、漁業はもとより観光資源、更には薬品精製にも役立っている。
しかし、科学者の見立てによると、このまま海洋汚染等を放置しておくと、今後20年間で世界のサンゴ礁の70~90%が死滅の危機に曝されるという。
なお、同研究グループは、目下アブダビ(アラブ首長国連邦首都)に3Dプリンター施設を設置し、当該リーフタイルを大量に作成した上で、同じく海水温上昇によって死滅の危機に曝されているペルシャ湾のサンゴ礁再生に活用しようとしている。
また、気候変動に伴う海水面上昇で危機に瀕している島嶼国のサンゴ群集再生にも有効利用できるとしている。
(注)生分解性:バクテリア、菌類、その他の生物によって化合物が無機物まで分解されること。分解速度の速さが重要となる。
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