インドネシアの刑法改正案、外国人や観光への影響も(2022/12/07)
インドネシアでは、婚前交渉を禁止し、懲役刑も科す刑法改正案が可決された。海外からの投資や渡航が減るとの懸念から、経済や観光の回復に水を差すものだと批判されている。
12月7日付
『ロイター通信』:「インドネシアで婚前交渉を禁止とする刑法改正」:
インドネシア議会は6日、婚前交渉を禁止し、違反すれば最大1年の禁固刑とする刑法改正案を可決した。法改正による観光客や投資への影響が懸念されている。
この刑法改正は、インドネシア国民と外国人にも適用され、婚姻前の同棲も禁止とする。また、大統領や国家機関への侮辱、反国家的イデオロギーの拡散、届け出のない抗議デモも禁止する。...
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12月7日付
『ロイター通信』:「インドネシアで婚前交渉を禁止とする刑法改正」:
インドネシア議会は6日、婚前交渉を禁止し、違反すれば最大1年の禁固刑とする刑法改正案を可決した。法改正による観光客や投資への影響が懸念されている。
この刑法改正は、インドネシア国民と外国人にも適用され、婚姻前の同棲も禁止とする。また、大統領や国家機関への侮辱、反国家的イデオロギーの拡散、届け出のない抗議デモも禁止する。全政党の支持を得て可決したが、新たな刑法は規則の制定を待つため3年間は施行されない。現行法では婚外交渉のみ禁止で婚前交渉は対象外。
インドネシア観光産業委員会は、「パンデミックから経済と観光が立ち直るタイミングに逆行した施策」だと批判している。観光協会の試算によると、バリを訪れる外国人観光客は2025年には600万人台に回復するとみられおり、政府もビザ要件を緩和し、観光地でテレワークできる「デジタルノマド」を推進している。
投資サミットの演説で、ソン・キム駐インドネシア米国大使は、海外からの投資や渡航が減るとの懸念を示し、「個々人の私的な意志決定を犯罪と見なすことが、企業がインドネシアへの投資を決定する際に大きな位置を占めるだろう」と述べた。
米国務省のプライス報道官は、法の内容を評価中で規則もまだ策定されていないが、「人権やインドネシアの基本的自由に与える影響、そして企業の投資環境や、同国での居住、訪問への影響について懸念している。同国は民主的なパートナー国であり、憎悪や偏見の改善に協力していく」としている。
インドンシアの司法省報道官は、違反を報告できるのは両親、配偶者、子などに限られ、法改正は「婚姻法やインドネシアの価値観を守る目的」だと強調。一方、インドネシアの地元メディアは、刑法改正は「権威主義的な意味合いを帯びており、非常に懸念される」と評価。国民の反応は未だ穏やかだが、首都ジャカルタで小規模なデモが行われている。
同日付『ヤフーニュース』(BBC):「インドネシアの法改正と観光への影響」:
パンデミックの影響から回復しつつあるインドネシアの観光業界だが、議会で可決した刑法改正案が、観光客を再び遠ざけることが懸念されている。
賛否のある刑法は、人権を損なうものとの批判もある。改正法では、婚外交渉以外にも、同棲や、政治宗教的自由も制限している。刑法は3年以内に施行される見込みで、インドネシア国民、同国に居住する外国人や観光客にも適用されるという。
この改正案は隣国オーストラリアでも大きく報じられている。インドネシアの経済は、パンデミック前まで観光収入源のトップだったオーストラリアからの観光客に支えられている。
バリの熱帯の島々へは、一ヶ月あたり数千人のオーストラリア人観光客が訪問する。バリ島の結婚式も人気で、学生は毎年数千人が卒業旅行に出かける。年に数回弾丸旅行に行く人もいる。しかし、噂に過ぎなかったが法改正が現実となり、現地では旅行への不安が広がっている。
現在600の項目がある刑法の改正では、婚前交渉は最大1年の禁固刑、また同棲が見つかった場合は、最大半年の禁固刑となる。インドネシア司法省の報道官は、警察への報告は殆どが自国民によるものと想定されるため、「オーストラリア人(観光客)は心配する必要はない」と述べ、観光客へのリスクは低いと強調している。観光客を呼び戻したいインドネシア政府は数週間前、最大10年滞在可能な新たなビザ新設を発表している。
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カナダ抗議デモ、トルドー首相が緊急事態法の発動を発表(2022/02/15)
カナダのトラック運転手が、先月末から新型コロナウイルスワクチンの義務化に抗議している。首都オタワの国会議事堂前で行われている抗議活動は、アルバータ州やオンタリオ州を含む複数の州に広がっているだけでなく、アメリカ、フランス、オーストラリアなど、他の国々にも広がっている。こうした中、トルドー首相が緊急事態法の発動を発表した。
米
『ビジネスインサイダー』は、トルドー首相は、3週間ほど前から続いているトラック運転手の抗議行動に対して国家非常事態を宣言し、政府が公民権を一時的に無効にすることを許可した、と伝えている。
トルドー首相は月曜日の記者会見で、「これらの措置の範囲は、時間的、地理的に限定され、対処しようとする脅威に対して合理的に見合ったものになる」と述べ、「全国のあらゆるレベルの法執行機関を強化・支援する」ために使用されると付け加えた。...
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米
『ビジネスインサイダー』は、トルドー首相は、3週間ほど前から続いているトラック運転手の抗議行動に対して国家非常事態を宣言し、政府が公民権を一時的に無効にすることを許可した、と伝えている。
トルドー首相は月曜日の記者会見で、「これらの措置の範囲は、時間的、地理的に限定され、対処しようとする脅威に対して合理的に見合ったものになる」と述べ、「全国のあらゆるレベルの法執行機関を強化・支援する」ために使用されると付け加えた。広範囲に及ぶ緊急事態法は、カナダ政府に市民集会の禁止、旅行の制限、企業に補償付きで行動を強制する権限を与える。
この発表に対して、フリーダムコンボイの主催者は記者会見を開き、国会議事堂での抗議を継続すると宣言した。米『エポックタイムズ』によると、主催者たちは、「我々は平和的であり続けますが、義務化が取り下げられるまで国会議事堂前に居座ります。私たちは、民主的なプロセスを通して変化が起こるものだということを認識しています。我々はそのプロセスから一歩も出ていないし、出るつもりもありません。」と述べている。
主催者の一人であるタマラ・リッチ氏は、平和的なデモ参加者に対してこのような「極端な手段」が用いられていることにカナダ人は「驚くべきだ」と述べた。「参加者の中には、子供、高齢者、障害者など、真の自由民主主義が力によって応じることができない無数の弱者がいます。平和的な抗議の権利は、わが国にとって神聖なものです。その原則が放棄されれば、政府は真の専制政治であることを示し、その信用をすべて失うことになるでしょう」と語っている。
リッチ氏は、抗議行動に反対する人がいることは認識していると述べた上で、民主主義社会には「重要な意見の相違や正当な反体制者が常に存在するものです。」と指摘した。「私たちが義務化に反対する理由はたくさんあります。私たちの中には、政府から不当な扱いを受けてきた人もいますし、個人的に医療過誤を経験した先住民族のコミュニティも少なくありません。また、単に身体の自律性を求め、原則的な理由で義務化に反対している人もいます。私たちの理由や意見がどうであれ、政府が国民にどう対応するかが、国の運命を決めるのです。」と語っている。
フリーダムコンボイの報道官を務めるニューファンドランド州の元首相、ブライアン・ペックフォード氏は、これは「我々の歴史の中で非常に奇妙な瞬間」だと述べている。「緊急事態法は、政府の行き過ぎた行為です。カナダではこのようなことはしません。対話をします」と述べ、「私の理解では、トラック運転手が首都に到着して以降、連邦政府は我々との接触の試みを一度もしていません。対話を試みることすらもしないで、緊急事態法のような措置を、どうして正当化できるのでしょう。理解に苦しみます。」と述べている。
カナダの『ヤフーニュース』によると、カナダ野党保守党の暫定党首キャンディス・バーゲン氏は、同党は「デモの終結」を望んでいる一方で、トルドー首相の行動が、平和的に、「カナダ人が首相から話を聞き、耳を傾け、尊重されたと感じる」形で行われないことが懸念されていると非難した。「我々は、彼が提案していることとその根拠を見なければならず、保守党はそれを議論し、それを支持するかどうかという点で判断を下す」と述べた。一方で、彼女は、緊急事態法の発動に賛同しないことを示した州を取り上げ、トルドー首相が賛同できないカナダ人に絶えず「汚名を着せている」と指摘した。そして「首相には、自分と意見の一致しない人々と話し、耳を傾ける機会があったのに、それを拒否した。彼らの意見を受け入れられず、女性差別主義者や人種差別主義者だと罵倒することで、状況を改善することができなかった。彼は常に状況をエスカレートさせ、煽り続けた。この事態へ対応の仕方はひどいものだ。」と批判した。
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