北朝鮮は、1月6日の4度目の核実験実施に続いて、2月7日には人工衛星打上げと称する長距離弾道ミサイルの発射実験を実行した。日米韓が中心になって、国連安全保障理事会による追加制裁決議が求められているものの、総論賛成・各論反対の中国が消極的なこともあって、未だに進展がない。そこで韓国は、中国側が厳しい経済制裁案に同調してくれるよう、北朝鮮内で操業してきた開城(ケソン)工業団地の操業全面停止という苦渋の選択をした。北朝鮮にとって、年5億ドル(約560億円)余りの安定収入をもたらす同工業団地の操業停止措置を腹立たしく思ったのか、翌日には同団地を閉鎖し、軍事統制区域とすると通告してきた。今度は、韓国がこの措置に対抗して、資産凍結・没収された同団地で勝手に操業されないよう、韓国側からの同団地向けの電力・水供給を遮断した。両国間の応酬が激しくなる一方、依然国連の動きは鈍いようである。
2月12日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『AFP通信』記事引用)の、「韓国、北朝鮮による工業団地資産凍結は違法と糾弾」と題した報道記事:
「・韓国の統一部(省に相当)の洪(ホン)部長は2月12日、北朝鮮が一方的に開城工業団地内の韓国企業関係者らを追放し、韓国資産を凍結したことは違法であると断固抗議。
・同部長はまた、同団地内で両国間を結ぶ通信が一方的に打ち切られたことも遺憾と表明。」
同日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用)の、「韓国、北朝鮮内の工業団地向けの電力・水供給を遮断」と題した報道記事:
「・韓国統一部は2月12日、開城工業団地向けの韓国側からの電力・水供給を遮断したと
発表。
・北朝鮮の祖国平和統一委員会は2月11日、韓国による同団地の操業中断決定は、米国に騙された朴(パク)大統領の売国気質、対決ヒステリーの産物だと非難。
・韓国統一部の洪部長は、同団地の操業には韓国企業124社が関わり、北朝鮮労働者を5万4千人雇い、靴下・腕時計・衣料品等を生産し、北朝鮮に6,160億ウォン(5億6千万ドル、約627億円)の現金収入をもたらしていたと発言。」
一方、同日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースの、「ロシア、国連安保理で
国連による制裁決議を誤用と批判」と題した報道記事:
「・ロシアの国連安保理のサフロンコフ常任副代表は2月11日、安保理の何ヵ国かは、国連制裁を誤用、すなわち、あたかも自分たちに被制裁国の統治をコントロールする権利があると錯覚して、当該制裁を利用しようとしており、これでは政治的解決など望めないと批判。
・ロシアは中国と同様、北朝鮮の福祉や経済を瓦解させるような行き過ぎた制裁決議に反対。」
なお、対北朝鮮輸出入貿易額(2014年)は、中国が最も多く64.6億ドル(全体の61%)
で、次いで韓国の23.4億ドル(同22%)である。以下、コンゴ共和国及びサウジアラビア
の各々2.2億ドル(同2%)、インドの1.8億ドル(同1.7%)と続く。日本は2010年以降取
引高ゼロ、また、米国も僅か2,600万ドル(同0.2%)である。
閉じる
2月4日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「米国と他11ヵ国がニュージーランドでTPPに署名」との見出しで、次のように報じた。
「・米国を含めた参加12ヵ国が2月4日、ニュージーランドでTPPに署名。
・参加国及びTPP支持者は、関税等の撤廃や軽減措置で、参加国全てに平等に大いなる経済活動の活性化をもたらすと主張。
・一方不支持者は、国家主権を危うくするだけでなく、米国企業に強い権限を与えすぎると非難。...
全部読む
2月4日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「米国と他11ヵ国がニュージーランドでTPPに署名」との見出しで、次のように報じた。
「・米国を含めた参加12ヵ国が2月4日、ニュージーランドでTPPに署名。
・参加国及びTPP支持者は、関税等の撤廃や軽減措置で、参加国全てに平等に大いなる経済活動の活性化をもたらすと主張。
・一方不支持者は、国家主権を危うくするだけでなく、米国企業に強い権限を与えすぎると非難。
・米国のフロマンTPP交渉代表は、野党・共和党が米議会を牛耳っていて、11月には大統領選挙を控える中、TPP批准手続きには自信ありとコメント。」
同日付米
『ロイター通信米国版』は、「TPP署名されるも、これからが正念場」との見出しで、以下のように伝えた。
「・ニュージーランドのジョン・キー首相はオークランドの署名式典で、これはまだ文書にしかすぎず、実際に発効させるための今後の手続きが重要と演説。
・TPP発効条件は、署名後2年以内にTPP域内のGDPの85%以上を占める6ヵ国以上の批准が必要としていて、日米2ヵ国の批准は必須(編注;TPP域内GDPは約28兆ドルで、米国は17.3兆ドル、日本は4.6兆ドル)。
・米国では野党・共和党が議会多数派を構成しており、一方日本では、TPP交渉に体を張った甘利経済再生担当相が突然辞任しており、いずれも批准手続きには困難が伴うと推測。
・また、ニュージーランド、豪州、カナダ等でも、反対の声があり、議会・国会対策が容易ではないとコメント。」
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AFP通信』記事引用)は、「反対派の抗議の中、TPP
署名」との見出しで、次のように報じた。
「・オークランドの署名式典会場近くでは、約2千人の反対派が抗議行動。
・反対派の代表は、例えば1,600余りの訴訟好きの米企業が、出先の国の法律等が自社の利益を阻害すると感じたら訴訟を提起できるようになり、米国以外の国々及び企業にとって不合理と批判。
・なお、米国のフロマン代表は、TPPによって毎年1,000億ドル(約12兆円)の経済成長が追加されると自賛。」
同日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースは、「オバマ大統領、TPPは貿易基
準を強化と称賛」との見出しで、以下のように伝えた。
「・オバマ大統領はホワイトハウスで、12ヵ国がTPPに署名したことについて、例えば中国のような国にリードされることなく、21世紀の経済ルールを形成していくものと自讃。
・反対派は、密室の中で協議されたTPPは、環境保護、安全・衛生、労働者の権利などの基準や規則をないがしろにすると批判。」
同日付豪州
『オーストラリアン・ヘラルド』紙は、「豪州、経済便益に疑問がある中TPP
に署名」との見出しで、次のように報じた。
「・豪州の反対派は、世界銀行の試算レポートを示し、TPPが豪州にもたらす便益は、2030年まででGDPの僅か0.7%と非難。」
一方、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報、人民日報英文版)』(
『新華社通信』
記事引用)は、「TPP参加国、中国と将来的に合体を模索」との見出しで、以下のように伝
えた。
「・豪州のアンドリュー・ロブ貿易・投資相は、TPP参加国としては将来的に、中国が主導している“東アジア地域包括的経済連携(RCEP)”や、東南アジア諸国連合経済共同体(AEC)との提携を視野に入れて、アジア太平洋地域の更なる経済規模の拡大に期待と発言。
・マレーシアやチリの代表も、中国との連携は今後も必要とコメント。」
*TPP署名12ヵ国:日本、米国、豪州、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、チリ、ペ
ルー、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、ベトナム
閉じる