欧州連合(EU、1958年前身設立)及び英国は、2022年2月のウクライナ軍事侵攻以降、更に対ロシア制裁を強化している。特に、苦渋の選択であったが、それまで主要エネルギー源としていたロシア産天然ガスの輸入を削減し、中東産液化天然ガス等の受け入れ設備を建造してエネルギー転換を図ってきた。かかる厳しい対策が奏功したのか、ロシア国営ガス会社が22年振りに赤字に転落している。
5月2日付
『ロイター通信』は、欧州による対ロシア制裁が奏功してか、ロシア国営ガス会社が22年振りに赤字に転落したと報じている。
天然ガスの生産・供給の世界最大企業であるガスプロム(1989年設立、ロシア政府が50.23%株式保有)はこの程、2001年以来の純損失を2023年に計上したことが判明した。
同社の主要産品は欧州向け天然ガスであるが、EU及び英国が2022年2月以降、ウクライナ軍事侵攻を理由として対ロシア制裁を強化してきていることから、2023年の供給量は前年比半分以上減少している。...
全部読む
5月2日付
『ロイター通信』は、欧州による対ロシア制裁が奏功してか、ロシア国営ガス会社が22年振りに赤字に転落したと報じている。
天然ガスの生産・供給の世界最大企業であるガスプロム(1989年設立、ロシア政府が50.23%株式保有)はこの程、2001年以来の純損失を2023年に計上したことが判明した。
同社の主要産品は欧州向け天然ガスであるが、EU及び英国が2022年2月以降、ウクライナ軍事侵攻を理由として対ロシア制裁を強化してきていることから、2023年の供給量は前年比半分以上減少している。
その結果、同年の同社の純損失は6,290億ルーブル(55億ポンド、約1兆560億円)に上った。
同社は、1991年のソ連崩壊以降、エネルギー資源開発・生産が思うように進まず、1998年の金融危機もあって大きな損失を計上していた。
しかし、2001年にウラジーミル・プーチン大統領(71歳、2000年就任)の盟友であるアレクセイ・ミレル(62歳、現同社CEO)が同社経営を引き継いで以降、黒字に転じていて、2022年にはウクライナ戦争勃発に伴うエネルギー価格暴騰もあって、1兆2千億ルーブル(約2兆円)の純益を計上していた。
なお、『ロイター通信』集計データによると、2023年の同社の欧州向け天然ガス供給量は283億立方メートルと、前年比▼55.6%も大幅減少している。
(参考)欧州主要国のロシア産原油・天然ガス依存度(2020年):ドイツ各々37%・46%、イタリア同19%・41%、フランス同17%・20%、英国同17%・3%
閉じる