新型コロナウイルスワクチンの世界的な不足を背景に、キューバやアラブ首長国連邦のドバイのような、観光産業を基盤としている国々が、観光業を復活させる機会として「ワクチン観光」に期待を寄せている。新型コロナウイルスワクチンを接種するために遠出を躊躇しない観光客向けに魅力的なパッケージを提案し、需要を掘り起こそうとしている。
仏放送局
『フランスアンフォ』によると、アラブ首長国連邦のドバイは、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策にいち早く取り組んだ国だという。最初の感染者が確認されるやいなや大々的なPCR検査を実施し、現在はワクチン接種キャンペーンを積極的に繰り広げている。年内には国民の7割が摂取できることを目標としている。ドバイは世界の大手メーカーと契約を結び、国内居住者であれば駐在員を含め、無料でワクチンを選択して接種できる。既に300万人が接種しているが、テレワークで働ける外国人向けに数ヵ月の短期ビザも発行するようになり、接種対象を広げようとしている。
仏ニュースメディア『マリアンヌ』や米『フォーブス』によると、イギリスの高級会員制旅行会社「ナイツブリッジ・サークル」は65歳以上の会員向けに、ドバイの太陽を満喫しながら2回分の予防接種を受けられるツアーを提供しているという。ツアーパッケージには、ファーストクラス航空券またはプライベートジェット機の利用、接種証明書、そして最大1ヵ月間の宿泊費が含まれる。摂取したいワクチンも米ファイザー製か中国シノファーム製のワクチンのうちどちらかを選択できる。この5万5千ドル(約580万円)のツアープランが宣伝されるようになってから既に2000人が会員申し込みの申請を行ったという。
また、『フランスアンフォ』によると、キューバでは今のところ、4つのワクチンすべてがまだ試験段階にあるものの、開発が最も進んでいるソベラナ2は4月までに市場に出回る可能性があり、地元当局は夏までに全人口に注射し、その後、観光客にも対象を広げることを期待している。1100万人の人口に対し、1億回分のワクチンを生産する計画を立てている。キューバは、経済の大事な柱となっている観光産業の復興のために、夏休みを兼ねた海を満喫できるワクチンツアーの提供を考え始めている。
『フォーブス』によると、外国に行って治療を受けるという医療観光そのものはワクチン観光以前から、人気が高いものだったと報じている。世界における医療観光のガイド本「Patients Beyond Borders」は、メキシコとコスタリカは歯科治療、美容整形外科、処方箋薬で最も人気のある旅行先であり、タイ、インド、韓国は整形外科、心臓血管、癌、不妊治療などのより複雑な処置で最も人気があると紹介している。
今後は、コロナワクチン接種のための旅行も、人気の医療観光に含まれる可能性が考えられる。
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ドナルド・トランプ大統領(74歳)は、数年前にニューヨークのトランプタワーからフロリダ州の自己所有のリゾート、マー・ア・ラゴクラブに住所地を変更し、共和党予備選でも大統領選でも同地で投票した。ただ、同クラブについては、同大統領が実業家時代に買収した際、所在地のパームビーチ市から、トランプ氏含めて同クラブメンバーの長期滞在(連続7日、一年通算21日以上)を認めないとする条件が付けられた。しかし、大統領時代に、安倍晋三首相(66歳)等の外国要人の歓待初め、自身の休暇での滞在と、頻繁に同クラブを訪れて長期滞在していたが、同市としては特例として認めていた。従って、大統領職を去る以上、元の条例に基づき、トランプ氏ファミリーの長期滞在は認めない可能性が高い。果たして、トランプ氏は、来年1月の大統領職失職以降、住所地をどこに置くのであろうか。
12月3日付
『ヤフー・ニュース』:「トランプ大統領、失職後の住所地は?」
来年1月20日、ジョー・バイデン氏(78歳)が大統領に就任することが濃厚で、ドナルド・トランプ氏はホワイトハウスを去らなければならない。
トランプ氏は数年前に、ニューヨークのトランプタワーからパームビーチ(フロリダ州)の別荘マー・ア・ラゴクラブに住所地を変更していることから、そこに居を構えるのではないかと言われている。...
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12月3日付
『ヤフー・ニュース』:「トランプ大統領、失職後の住所地は?」
来年1月20日、ジョー・バイデン氏(78歳)が大統領に就任することが濃厚で、ドナルド・トランプ氏はホワイトハウスを去らなければならない。
トランプ氏は数年前に、ニューヨークのトランプタワーからパームビーチ(フロリダ州)の別荘マー・ア・ラゴクラブに住所地を変更していることから、そこに居を構えるのではないかと言われている。
地元紙によると、同クラブのリノベーション工事が行われ、居住エリアが拡張されることになるという。
『ABCニュース』も先週、同大統領担当のシークレットサービスも同地への転居につき打診されていると報じている。
ただ、ひとつ問題となるのは、同大統領がパームビーチ市と交わした契約の中に、トランプ氏を含めて約500名の同クラブメンバーの同クラブの滞在については、連続7日以内、また、通年でも計21泊以内としか認められないという条項が含まれていることである。
トランプ氏が1985年にマー・ア・ラゴ(5,800平方メートルの邸宅及び7万1千平方メートルの土地)を1,000万ドル(約10億5千万円)で買収したが、その後しばらくして、1990年代には同氏の事業が大幅赤字転落することとなった。
そこで、同リゾート内の不動産の切り売りを考えたものの、同市からこの案を拒否され、代わってプライベートクラブとして高額フィーでメンバーを募ることで認可を得ようとしたが、その際に同市から上記のような条件が付けられたものである。
トランプ氏にとって、実業家時代の2017年以前はニューヨークに居を構えており、マー・ア・ラゴには休暇やゴルフのために訪れたが、短期滞在だったために何の問題もなかった。
しかし、同氏が大統領に就任して以来、しばしば同地を訪れ、データとして判明している限り、2019年10月現在で既に通算133日間も滞在し、“冬季のホワイトハウス”として利用しており、完全に同市との契約条件を逸脱してしまっている。
更に、同市の条例で、マー・ア・ラゴ周辺の騒音、交通規制及び河岸利用の制限があるがこれも免除され、また、同大統領訪問のための一時的なヘリポート設置や、シークレットサービスが使用する数隻のボートの係留等についても特別許可を受けていた。
従って、大統領失職後は、かかる例外措置が認められるとは考え難い。
現地紙『パームビーチ・デイリィニュース』報道によれば、周辺の住民からは、トランプ大統領が同地に入る度ごとに使用するマリーンワン(大統領専用ヘリコプター)が引き起こす“騒音及び下降気流”によって、同リゾート地区の景観が大いに破壊されてしまっているとの苦情が出ているという。
また、パームビーチ市議会は既に、大統領退任後速やかに、一時的に設置されたヘリポートを撤去するよう命令を出しているという。
なお、仮にトランプ氏がマー・ア・ラゴで暮らすと言い出しても、同市は立退き命令を出すことはないとみられるが、当然のことながら、メンバーシップ・クラブの認可は取り消すことが十分考えられる。
そうなると、トランプ氏は同リゾートから一切収入が得られないことになる(『フォーブス』誌によれば、同リゾートの資産価値は1億6千万ドル(約168億円)と評価)。
トランプ氏は、果たしてどう対応するのであろうか。
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