米富裕層の所得税情報(2021/06/09)
アメリカのバイデン政権は、個人富裕層への増税を財源に、教育、育児、家族休暇を支援する1兆8千億ドル経済政策構想を提案しているが、非営利報道機関「プロパブリカ」は、独自に入手したとする米富裕層の納税情報から、Amazonのベソス氏ら富裕層が所得税を殆ど払っていないと公表している。
6月8日付米国
『フォーブス』は「ベソス、マスク、バフェット等最富裕層は所得税を3.4%しか払っていない、爆弾報道より」との見出しで以下のように報道している。
超富裕層の富の不平等や税金逃れの問題に関し、15年以上にわたる個人の納税記録を入手したとする「プロパブリカ」(非営利米報道機関)が新たに公表した情報によると、米国富裕層は殆ど、或いは全く連邦所得税を払っていないことが分かったという。...
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6月8日付米国
『フォーブス』は「ベソス、マスク、バフェット等最富裕層は所得税を3.4%しか払っていない、爆弾報道より」との見出しで以下のように報道している。
超富裕層の富の不平等や税金逃れの問題に関し、15年以上にわたる個人の納税記録を入手したとする「プロパブリカ」(非営利米報道機関)が新たに公表した情報によると、米国富裕層は殆ど、或いは全く連邦所得税を払っていないことが分かったという。
米国の中間層が14%の所得税を払っている一方で、25人の最富裕層は2014年~2018年の期間、実質3.4%しか所得税を払っていなかったという。現行の税制では富の増加分が含まれず課税されないと主張する同紙の“正しい税率“は新たに議論を呼ぶだろう。
投資家ウォーレン・バフェットは2014年~2018年の間、富が240億ドル増加したが、申告した収入は僅か1.25億ドルであったため、真の税率は0.1%だという。同氏は収入の多くを慈善活動への寄付に充てている。またアマゾン創始者でCEOのジェフ・ベソス氏は同期間、富が990億ドルも増えたが申告額は僅か42.2億ドルで真の税率は0.98%だという。テスラのCEOイーロン・マスク氏は同期間、富が139億ドルも膨れ上がったのだが、申告額は15.2億ドルのため税率は3.27%。
ベソス氏に至っては2007年に38億ドルの富の増加があったにも関わらず、連邦所得税を納めていなかった。これは所得申告4600万ドルを投資損益や負債控除等の経費で相殺したためだという。翌年2018年も所得税を払っていなかった。
だが調査は彼ら億万長者たちが、法に触れるとは指摘していない。所得ではなく富ベースで本当の税率を割り出しているためだ。
バイデン大統領は、教育、育児、家族休暇を支援する1兆8千億ドル構想「米国家族のための計画」の予算確保のため、富裕層への増税策を提案し、歳入庁による富裕層諮問強化を図っている。この計画には、所得税の最高税率を37%から39.6%に引き上げることや、高所得者のキャピタルゲインや配当への課税も含まれている。
同日付米国『WSJ』は「内国歳入庁が富裕層の納税公開情報を調査」との見出しで以下のように報道している。
非営利ニュース機関「プロパブリカ」が、ジェフ・ベソスやウォーレン・バフェットなどの納税記録や収入の詳細情報を公表。チャールズ・レティグ内国歳入長官によると、連邦政府機関は公表された富裕層の納税情報を調査しているという。
納税者情報は機密情報で、内国歳入庁(IRS)の職員他がそのような情報を公開した場合、罪に問われる可能性がある。レティグ長官は、上院財政委員会の公聴会で情報漏洩への懸念を表明している。
プロパブリカの記事によると、入手した情報は数千人の15年超を網羅したIRSデータに関するものだという。個人の納税データが公開されるのは通常ないことだが、情報がIRSのものか、ハッキング等によるものかは分かっていない。同紙はベソス氏他が殆ど、或いは全く連邦所得税を払っていないと強調している。
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中国;西側諸国からの新疆ウィグル自治区人権問題に関わる非難に対抗して、米国・カナダの高官らに制裁措置発動【米・フランスメディア】(2021/03/28)
既報どおり、西側諸国は、中国共産党政府による新疆ウィグル自治区、香港等での人権弾圧に対して非難の声を上げている。これに対して、中国側は内政干渉だと反発しているが、この程、制裁措置を発動した米国及びカナダに対抗して、米国・カナダの政治家・高官らに対して、報復的制裁措置を発動した。
3月27日付米
『フォーブス』誌:「中国、新疆ウィグル自治区問題の報復で米高官に制裁措置」
中国政府は3月27日、米国が今週(3月22日の週)、中国によるウィルグル族に対する人権弾圧に関わり中国高官に制裁を科したことに対抗して、米国の2人の高官を対象とした報復的な制裁措置を発動した。
中国外交部(省に相当)の発表によると、対象とされたのは、国際信教の自由委員会(USCIRF、1998年設立)のゲイル・マンチン議長及びトニー・パーキンス副議長で、中国への入国のみならず、中国資本との取引も禁止される。...
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3月27日付米
『フォーブス』誌:「中国、新疆ウィグル自治区問題の報復で米高官に制裁措置」
中国政府は3月27日、米国が今週(3月22日の週)、中国によるウィルグル族に対する人権弾圧に関わり中国高官に制裁を科したことに対抗して、米国の2人の高官を対象とした報復的な制裁措置を発動した。
中国外交部(省に相当)の発表によると、対象とされたのは、国際信教の自由委員会(USCIRF、1998年設立)のゲイル・マンチン議長及びトニー・パーキンス副議長で、中国への入国のみならず、中国資本との取引も禁止される。
中国政府は今週初め、同様の問題で対中国制裁を発動している英国及び欧州連合(EU)の政治家らを対象とした制裁措置を講じている。
更に、米国高官への制裁発動と同時に、カナダの政治家に対する制裁も発表している。
なお、今回、USCIRFの高官が制裁対象とされたのは、同委員会が、米国政府による新疆ウィグル自治区の2人の高官に対する制裁発動を称賛するコメントを発表したためとみられる。
一方、西側政府高官に対する制裁の他、中国政府の主導によるものか、数ヵ月前に新疆ウィグル自治区の強制労働環境を非難する声明を発表していたナイキ(1968年設立、本社はオレゴン州)やH&M(1947年設立、スウェーデン企業)に対して、不買運動が発生している。
同日付フランス『AFP通信』:「中国、新疆ウィグル自治区政策を非難する米国・カナダ国民に対して制裁措置発動」
中国政府は3月27日、米国及びカナダが今週、中国の新疆ウィグル自治区への政策を非難して制裁措置を発動したことに対抗して、USCIRFの2人の高官、カナダのマイケル・チョン下院議員、及びカナダ下院外務委員会の人権小委員会に対する報復的制裁を科すと発表した。
今回の制裁措置によって、中国本土、香港、及びマカオの入国が禁止される。
これに対してチョン議員は、“名誉のしるし”だとした上で、“香港の民主派取り締まりやウィグル族への人権蹂躙に対して、法に基づく民主主義の下で自由な行動を取れる我々が、怨嗟の声を上げられない人たちに代わって、(中国政府非難の)声を大にして叫ぶ必要がある”と強調した。
米国及びカナダの対中非難制裁措置発表の前に、既にEUや英国が、新疆ウィグル自治区の高官に対する制裁を発動している。
一方、中国外交部は、米国やカナダの制裁措置について、“噂や偽りに基づくもの”と反論している。
しかし、アントニー・ブリンケン国務長官は3月27日晩、中国の制裁発動こそ根拠のないもので、かつ、新疆ウィグル自治区における民族虐殺を益々疑わしくさせる行為だと非難した。
また、ジャスティン・トルードー首相も、“透明性を否定するばかりか、自由を求める発信に対する攻撃”だと糾弾している。
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