海洋プラごみ国際条約制定へ(2022/03/03)
国連環境計画(UNEP)は、海洋プラスチックごみ汚染の解決に向けた国際条約制定への議論を進めることで一致した。日本政府もプラごみ削減量など世界共通目標の設定も提案していたが、今回の原案は具体案までには至らず、2024年までにプラ製品の設計から廃棄までの全過程を対象に最終案をまとめる方針だという。
3月2日付
『ロイター通信』 :「国連で"パリ協定以来最大の"プラスチック条約制定合意」:
今月2日、国連は初めて世界的なプラスチック汚染に関する条約を制定する決議案を採択した。2015年のパリ気候変動協定以来最も重要な環境協定となる。
参加国はケニア・ナイロビで一週間以上に渡り、海洋から山地に至る環境危機となっているプラ汚染対策の概要について議論を重ねてきた。...
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3月2日付
『ロイター通信』 :「国連で"パリ協定以来最大の"プラスチック条約制定合意」:
今月2日、国連は初めて世界的なプラスチック汚染に関する条約を制定する決議案を採択した。2015年のパリ気候変動協定以来最も重要な環境協定となる。
参加国はケニア・ナイロビで一週間以上に渡り、海洋から山地に至る環境危機となっているプラ汚染対策の概要について議論を重ねてきた。大枠の合意には至ったが、今後各国は2024年までに最終案をまとめる。国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長は「歴史的瞬間だ。協定の成功は今後の交渉による最終案次第だ」としている。
この条約は、再利用不可能なパッケージ型の製品だけでなく、プラスチックの製造、使用、設計への制限をも規定するもので、石油や化学企業にも影響が及ぶ。先月末には条約は、製造やパッケージ設計や法的拘束力を盛り込み、プラの全過程に対応するものだと報じられていたのだが、今回の原案は具体案までは踏み込まれていない。そのため国連政府間交渉委員会は、各国政府や企業利益に見合うよう、条約案をまとめる方針だとする。
スイスのペレス環境大使は、議論では、意欲的に解決を望む国と、いかなる理由でも解決を望まない国との隔たりがあると明かし、「意欲的な段階にない人々の懸念にも寄り添い、共に乗り越えていかねばならない」としている。
同日付米『フォーブス』 :「プラスチック汚染協定は"地球の勝利"」:
170カ国以上が歴史的な国連決議を支持。プラ汚染を無くす国際間合意が2024年までに実現する見通しとなった。
国連環境計画(UNEP)のアンダーセン事務局長は、合意は、「使い捨てプラスチック問題に関する地球の勝利。パリ協定以来、最も重要な環境国際間協定であり、プラスチックと共存するための次世代への保障政策だ」としている。
対策原案が最終案に貢献した山口環境大臣は、「合意は必ず海洋環境を含む未来のプラ汚染撲滅に繋がるだろう。プラ汚染ゼロの未来を目指し、我々は交渉を進めていく」としている。
OECDの昨月の発表では、プラごみのリサイクル率はわずか9%とされ、報告書「グローバル・プラスチック・アウトルック」によると、米国では一人当たりのプラごみ量は平均221キロで、欧州の平均114キロを上回る。また、プラスチック汚染の殆どは、不適切な収集や、マイクロプラスチックである大量のプラ破片が原因だという。
コロナ危機については、経済活動の制限により2020年は2.2%のプラ使用減となった一方で、ポイ捨てやテイクアウトの容器、マスク等プラ製医療器具の利用増でゴミの量は増加した。更に2021年は経済活動が再開したことで、プラ消費がリバウンドに転じた。
世界野生生物基金(WWF)の先月の発表では、人体への影響があるとし、化学的なプラスチックリサイクル方法の問題点を強調していた。WWFのセクラン最高保全責任者は、UNEPの条約は、「人と地球の健康的な未来に向けたプラ問題解決と有効な循環型経済を目指す対策」と歓迎している。
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コロナ禍オンライン上のヘイトスピーチ増加(2021/11/16)
憎悪犯罪やヘイトスピーチに関する最新の調査によると、イギリスとアメリカではネット上のヘイトスピーチがコロナ禍で2割増加し、昨年はアジア人へのヘイトスピーチがピークとなっていたという。ロックダウンで多くの時間を持て余し、生活をコントロールできなくなることも要因とされる。パンデミックとの関係性についての客観的データは不足しているものの、ネット上の中傷は常態化し、コロナ禍を過ぎてもそれほど変化しないとみられている。
11月15日付英国
『BBC』 は「コロナ禍で常態化、オンライン上のヘイトスピーチ20%増」との見出しで以下のように報道している。
いじめ対策の慈善団体「Ditch the Label」が2019年~2021年半ばまでの米国と英国内2億人超のネット上の書き込みを調査したところ、5000万件の人種差別やヘイトスピーチを含む投稿が見られたという。
このような投稿は大きなニュース項目に対して最も多く見られ、昨年3月のWHOによるコビット19蔓延宣言、昨年6月のブラック・ライブズ・マター運動、今年3月帰宅中の女性が警官に殺害された事件等についての投稿が多かった。...
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11月15日付英国
『BBC』 は「コロナ禍で常態化、オンライン上のヘイトスピーチ20%増」との見出しで以下のように報道している。
いじめ対策の慈善団体「Ditch the Label」が2019年~2021年半ばまでの米国と英国内2億人超のネット上の書き込みを調査したところ、5000万件の人種差別やヘイトスピーチを含む投稿が見られたという。
このような投稿は大きなニュース項目に対して最も多く見られ、昨年3月のWHOによるコビット19蔓延宣言、昨年6月のブラック・ライブズ・マター運動、今年3月帰宅中の女性が警官に殺害された事件等についての投稿が多かった。
同団体のリアム・ハケットCEOは、「ロックダウン中に多くの時間を家の中で過ごしていたことが明らかにいじめ増加の原因だという。いじめや荒らしをする人々はメンタルヘルスの問題やトラウマを抱え、家庭内で虐待を受け自分自身もいじめの対象にされている場合もある」とする。
以前にもコロナ禍でオンラインいじめが受けたという報告は既にあったが、これが「常態化」していることが今問題なのである。そこで政府による対策と同時に、子どもたちへの早期教育も必要とされるだろう。小さいころから、ネット上でいじめが過激化することを理解させる教育の役割は大きい。
同日付米国『フォーブス』 は「昨年アジア人に対するヘイトスピーチが1662%急増」との見出しで以下のように報道している。
新たな調査によると、オンライン上でのブログやフォーラムでのヘイトスピーチが急増しているという。いじめ対策慈善団体「Ditch the Label」が「Brandwatch」と共同で行った調査によると、パンデミックの前はネット上のヘイトスピーチと実際のヘイトクライムの報告数に相関関係が見られていたが、パンデミック後には、オンライン上のヘイトスピーチが38%も増加したという。
英国と米国では、人種や宗教的なヘイトが28%増加し、暴力的な脅迫件数も22%増加。平均1.7秒ごとに人種や宗教的なヘイトスピーチが投稿されている計算となった。更に最も注目すべきは、昨年アジア人へのヘイトスピーチが前年比で1662%増加していたことである。これは「中国ウイルス」と呼ばれたコビット19の蔓延宣言が出された昨年3月に最高となっている。しかし、今年3月アトランタで起きた女性を含むアジア人殺害事件を受け、セレブの間でアジア人コミュニティへの暴力行為に抵抗しようという動きが出始めヘイトスピーチの減少に繋がった。
ネット上で最も多いのは、人種や性差別、同性愛嫌悪的な非難中傷や比喩的表現で、次に多いのが脅迫で、フォーラムで最も多くみられるという。またネット上のトラブルが現実に反映される場合もある。米国ではヘイトクライムがスピーチよりも先に増加したが、英国では、ヘイトスピーチが先に増加し、後でヘイトクライムの順となった。
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