中国;西側諸国からの新疆ウィグル自治区人権問題に関わる非難に対抗して、米国・カナダの高官らに制裁措置発動【米・フランスメディア】(2021/03/28)
既報どおり、西側諸国は、中国共産党政府による新疆ウィグル自治区、香港等での人権弾圧に対して非難の声を上げている。これに対して、中国側は内政干渉だと反発しているが、この程、制裁措置を発動した米国及びカナダに対抗して、米国・カナダの政治家・高官らに対して、報復的制裁措置を発動した。
3月27日付米
『フォーブス』誌:「中国、新疆ウィグル自治区問題の報復で米高官に制裁措置」
中国政府は3月27日、米国が今週(3月22日の週)、中国によるウィルグル族に対する人権弾圧に関わり中国高官に制裁を科したことに対抗して、米国の2人の高官を対象とした報復的な制裁措置を発動した。
中国外交部(省に相当)の発表によると、対象とされたのは、国際信教の自由委員会(USCIRF、1998年設立)のゲイル・マンチン議長及びトニー・パーキンス副議長で、中国への入国のみならず、中国資本との取引も禁止される。...
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3月27日付米
『フォーブス』誌:「中国、新疆ウィグル自治区問題の報復で米高官に制裁措置」
中国政府は3月27日、米国が今週(3月22日の週)、中国によるウィルグル族に対する人権弾圧に関わり中国高官に制裁を科したことに対抗して、米国の2人の高官を対象とした報復的な制裁措置を発動した。
中国外交部(省に相当)の発表によると、対象とされたのは、国際信教の自由委員会(USCIRF、1998年設立)のゲイル・マンチン議長及びトニー・パーキンス副議長で、中国への入国のみならず、中国資本との取引も禁止される。
中国政府は今週初め、同様の問題で対中国制裁を発動している英国及び欧州連合(EU)の政治家らを対象とした制裁措置を講じている。
更に、米国高官への制裁発動と同時に、カナダの政治家に対する制裁も発表している。
なお、今回、USCIRFの高官が制裁対象とされたのは、同委員会が、米国政府による新疆ウィグル自治区の2人の高官に対する制裁発動を称賛するコメントを発表したためとみられる。
一方、西側政府高官に対する制裁の他、中国政府の主導によるものか、数ヵ月前に新疆ウィグル自治区の強制労働環境を非難する声明を発表していたナイキ(1968年設立、本社はオレゴン州)やH&M(1947年設立、スウェーデン企業)に対して、不買運動が発生している。
同日付フランス『AFP通信』:「中国、新疆ウィグル自治区政策を非難する米国・カナダ国民に対して制裁措置発動」
中国政府は3月27日、米国及びカナダが今週、中国の新疆ウィグル自治区への政策を非難して制裁措置を発動したことに対抗して、USCIRFの2人の高官、カナダのマイケル・チョン下院議員、及びカナダ下院外務委員会の人権小委員会に対する報復的制裁を科すと発表した。
今回の制裁措置によって、中国本土、香港、及びマカオの入国が禁止される。
これに対してチョン議員は、“名誉のしるし”だとした上で、“香港の民主派取り締まりやウィグル族への人権蹂躙に対して、法に基づく民主主義の下で自由な行動を取れる我々が、怨嗟の声を上げられない人たちに代わって、(中国政府非難の)声を大にして叫ぶ必要がある”と強調した。
米国及びカナダの対中非難制裁措置発表の前に、既にEUや英国が、新疆ウィグル自治区の高官に対する制裁を発動している。
一方、中国外交部は、米国やカナダの制裁措置について、“噂や偽りに基づくもの”と反論している。
しかし、アントニー・ブリンケン国務長官は3月27日晩、中国の制裁発動こそ根拠のないもので、かつ、新疆ウィグル自治区における民族虐殺を益々疑わしくさせる行為だと非難した。
また、ジャスティン・トルードー首相も、“透明性を否定するばかりか、自由を求める発信に対する攻撃”だと糾弾している。
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バイデン新政権;ロシアに対しても睨みを効かせるべく大型爆撃機をノルウェーに派遣【米・ロシアメディア】(2021/02/23)
既報どおり、ジョー・バイデン大統領(78歳)は、アジア政策においてはもっぱら、中国の軍事力及び経済力の台頭を阻止することに注力すると明言している。一方、欧州においても、傍若無人のロシアに対しても睨みを効かせるべく、北大西洋条約機構(NATO、注1後記)加盟国のノルウェーに大型爆撃機を派遣して、軍事訓練の任に当たらせている。
2月22日付米
『Foxニュース』:「米空軍B-1爆撃機、ロシアに睨みを効かせるためノルウェーに派遣」
米空軍は2月22日、“長期訓練”を目的として派遣されたB-1爆撃機(注2後記)が同日にノルウェーに到着したと発表した。
在欧米空軍(1944年創設)司令官のジェフ・ハリジアン大将(58歳)は、“ノルウェーなどの同盟国と共同訓練を実施することで、抑止力や防衛力を強化し、かつ地域の安定を高めることが可能となる”との声明を発表した。...
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2月22日付米
『Foxニュース』:「米空軍B-1爆撃機、ロシアに睨みを効かせるためノルウェーに派遣」
米空軍は2月22日、“長期訓練”を目的として派遣されたB-1爆撃機(注2後記)が同日にノルウェーに到着したと発表した。
在欧米空軍(1944年創設)司令官のジェフ・ハリジアン大将(58歳)は、“ノルウェーなどの同盟国と共同訓練を実施することで、抑止力や防衛力を強化し、かつ地域の安定を高めることが可能となる”との声明を発表した。
同機は所属するダイエス空軍基地(テキサス州)を飛び立ち、ノルウェー中部のオーランド空軍基地に到着した。
軍事専門家のジェリー・ヘンドリックス氏(54歳、元海軍大佐)によれば、同爆撃機の派遣はロシアに対する明確なメッセージとなるとする。
同氏は『フォーブス』誌(1917年創刊)のインタビューに答えて、“今回のミッションによって、同盟関係が強化されるだけでなく、ロシア側も明確に理解できる圧力となろう”と言及した。
また、同誌の航空宇宙・国防関係レポーターのデビッド・アックス氏は、“爆撃機は単に爆弾を落とすだけでなく、配備されただけで明確なメッセージとなる”と語っている。
ジョー・バイデン大統領は先月、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)と初めて電話会談した際、米ロ核軍縮条約、アフガニスタン駐留米兵に対する報奨金問題、2020年大統領選に関わるロシア介入疑惑等、幅広い分野について協議した。
ホワイトハウスは、“ロシアが米国及びその同盟国に損害を与えるような場合、米国は米国及び同盟国の安全保障のため、毅然たる対応をすることをはっきりさせた”との声明を発表している。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米空軍爆撃機、ノルウェーに初めて派遣」
今回ノルウェーに派遣されたのは、ダイエス空軍基地第7爆撃航空団所属のB-1B戦略爆撃機である。
米空軍がリリースした声明では、同機はノルウェーのオーランド空軍基地に派遣され、同地において、テレビ映像を使っての模擬訓練から、欧州上空を実飛行しての操縦訓練まで利用されるという。
同機のノルウェー派遣は初めての試みである。
なお、ロシア外務省のマリア・ザハロア報道官(45歳)は今月初め、ノルウェーが米空軍爆撃機を受け入れるならば、ロシアは、同国が欧州における軍事的活動を強化する目的と捉えると警告を発している。
(注1)NATO:北大西洋同盟とも呼ばれ、欧州と北米の30カ国による政府間軍事同盟で、1949年4月に調印された北大西洋条約の執行機関。NATOは、独立した加盟国が外部からの攻撃に対応して相互防衛に合意することで、集団防衛のシステムを構成している。加盟国は、域内いずれかの国が攻撃された場合、集団的自衛権を行使し共同で対処することができる。本部はブリュッセル(ベルギー)。
(注2)B-1爆撃機:ロックウェル社(現ボーイング社)が開発した、超音速戦略爆撃機。1986年運用開始で、米空軍は現在66機を保有し、2036年まで運用予定。1機当り約2億8千万ドル(約294億円)。
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