専門家ら、AIによる人類絶滅リスク提言
多数の専門家らが結集し、人工知能(AI)がもたらす脅威への早期対策は、パンデミックや核戦争と並ぶ世界的な優先課題だと指摘する声明を発表している。
5月30日付米
『CNN』:「AI業界や研究者による”絶滅”リスクを警告する声明」:
AI業界リーダーや研究者、更に有名人も加わった数十名が30日、人工知能(AI)は世界が消滅するリスクとなるとし、リスク軽減を求める声明を発表した。
AI安全センター(CAIS)により発表されたこの短い声明では、AIの脅威は、「パンデミックや核戦争などの他の社会的規模のリスクと並び世界の優先事項」だとしている。...
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5月30日付米
『CNN』:「AI業界や研究者による”絶滅”リスクを警告する声明」:
AI業界リーダーや研究者、更に有名人も加わった数十名が30日、人工知能(AI)は世界が消滅するリスクとなるとし、リスク軽減を求める声明を発表した。
AI安全センター(CAIS)により発表されたこの短い声明では、AIの脅威は、「パンデミックや核戦争などの他の社会的規模のリスクと並び世界の優先事項」だとしている。
署名したのは、OpenAIのサム・アルトマンCEO、AIのゴッドファーザーことジェフリー・ヒントン(Google DeepMindとAnthropicの幹部で研究者)、ケビン・スコット(Microsoftの最高技術責任者)、ブルース・シュナイアー(暗号技術セキュリティの第一人者)、ビル・マッキベン(環境保護論者)、グライムス(ミュージシャン)他。
声明では、チェック機能の働かないAIの広範囲に及ぶ危険性を指摘。これまで専門家は、SFの世界である人工生成知能の開発はまだ遠い先だとしていた。一方、誇大広告が溢れ、AI産業への投資も高まる中、重大なミスが起きる前に、初期段階での規制を求めるに至ったと主張している。
この声明の背景には、AI技術の競争を加速させているOpenAIが開発したChatGPTがある。これに対し、多くの政治家、提唱団体、技術者等が、誤情報拡散や配置転換に繋がるAIの影響に警鐘を鳴らしている。
今日のAIシステム繁栄の一翼を担ったヒントン氏は、以前のインタビューで、「AIが我々より賢くなっていることが分かったので、警告するために研究を離れた」との趣旨を述べていた。
同日付英『BBC』:「AIが絶滅につながると専門家が警告」
「AIによる絶滅の危機を防ぐのが、他の社会規模のリスク同様に世界の最優先事項だ」との声明が発表された。一方で、この不安は大げさだとの意見もある。
この声明をウェブ上で発表したAI安全センターは、様々な壊滅的シナリオを発表している。例えば、ドラッグ発見ツールが化学兵器製造に使われる等、AIが武器となるリスク。AI生成の誤情報が、社会を不安定にし、建設的な意志決定を阻害するリスク。AIの権力が僅かな人々の手中に渡り、専制体制が監視や検閲により狭い価値観を強制するリスク。以前AIのリスクに警告を出したジェフリー・ヒルトン氏も、このセンターの警告を支持している。
存在上の脅威の可能性についてのメディア報道は2023年3月から急増した。テスラのイーロン・マスク氏を含む専門家が、「次世代AI技術の開発の一時停止を求める公開書簡」を出したためだ。書簡では、人工の知能を開発すると、「我々の数を超え、出し抜き、時代遅れにして、取って代わる」可能性が指摘されていた。
一方で、今回の場合は、非常に端的な声明であり、リスクを核戦争に例え、「議論をはじめる」ために出された書簡となっている。
AIリスクについては、英国のスナク首相は、経済と社会への利点を強調している。先週には、AI企業のCEOらとセキュリティ対策に関し会合をおこなっており、G7サミットでもAI作業部会で議論が交わされた。
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中国、スパイ容疑で日本人拘束に続いて今度は米国籍保有の中国人に終身刑判決【米・英国メディア】
中国は、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)主導の下、反政府の動き等を徹底的に取り締まるべく、2014年に反スパイ法を制定した。同法は外国人にも適用され、台湾問題や東・南シナ海領有権問題で対峙する日本政府を牽制するためか、爾来、累計16人が同法違反容疑で逮捕され、今年3月にも新たに1人が拘束されている。中国政府としては、最も敵対する米国政府に対しても強硬姿勢を示していて、この程、米国籍を有する香港出身中国人に対して同法違反容疑で終身刑の判決を下した。
5月16日付米
『AP通信』、英国
『BBCニュース』は、中国の裁判所がこの程、反スパイ法違反容疑で拘束していた中国系米国人に対して終身刑の判決を下したと報じている。
中国南東部、江蘇省(チャンスー)・蘇州(スーチョウ)の中級人民法院(地裁に相当)は5月15日、中国系米国人の梁成運氏(リャン・シンワン、78歳)に対して、反スパイ法違反容疑で終身刑を言い渡した。
同氏は、香港の永住権を有する米国人で、長年にわたり米中間の友好関係や文化交流促進に尽くしていたが、2021年4月に蘇州滞在時、中国防諜機関の地方支局によって拘束されていた。...
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5月16日付米
『AP通信』、英国
『BBCニュース』は、中国の裁判所がこの程、反スパイ法違反容疑で拘束していた中国系米国人に対して終身刑の判決を下したと報じている。
中国南東部、江蘇省(チャンスー)・蘇州(スーチョウ)の中級人民法院(地裁に相当)は5月15日、中国系米国人の梁成運氏(リャン・シンワン、78歳)に対して、反スパイ法違反容疑で終身刑を言い渡した。
同氏は、香港の永住権を有する米国人で、長年にわたり米中間の友好関係や文化交流促進に尽くしていたが、2021年4月に蘇州滞在時、中国防諜機関の地方支局によって拘束されていた。
従来、中国の裁判は非公開で行われていて、罪状等詳細は明らかにされておらず、同氏の場合も、同法院がSNS上で、“スパイ罪で有罪となり、終身刑が宣告され、かつ、政治的な権利が生涯剥奪された”と掲載されているのみである。
直近十年の米中関係は過去最悪となっており、貿易紛争に始まって、最先端技術漏洩疑惑、人権問題、台湾武力制圧懸念、更には南シナ海における一方的な海洋進出事態でことごとく対立している。
また、ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)が今週広島で開催される主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)に出席した上で、対中批判の先陣を切るとみられるだけでなく、引き続いて南太平洋に回って、中国の影響力拡大を阻止すべく、太平洋諸国フォーラム(PIF、注後記)加盟国首脳らとの国際会議を主催することとなっている。
かかる背景もあって、中国政府が米国政府牽制のために、梁氏のような文化人をも厳罰に処したことは十分想像できる。
なお、中国政府は4月下旬、7月1日施行前提で反スパイ法を改定しており、それによると、スパイ容疑適用範囲が更に拡大され、国家の安全と利益に関わる情報流出に関与する行為も新たに適用されることになる。
(注)PIF:米・英国・フランス等の旧宗主国主導の南太平洋委員会(1947年設立の地域協力機構)に対抗して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年設立。加盟国は、パプアニューギニア・フィジー・ソロモン諸島・ツバル・サモア等16ヵ国に援助供与国の豪州・NZを加えた18ヵ国。今年の議長国はクック諸島で、G-7サミットに招待されている。
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