ニューヨークのタブロイド紙が編集者を半数に削減
過激な表紙で知られるニューヨーク市の日刊タブロイド紙の一つである「ニューヨーク・デイリー・ニューズ」が編集スタッフの半分を解雇すると発表している。親会社のTroncは、今後ニュース編集部は、“犯罪、民事司法、公的責任”を焦点に報道していくとしている。近年、地元紙の衰退は顕著で、ニューヨークの成功しているメディア機関でも、世界の読者や広告収入を引き出すため、主力を国内外ニュースに切り換えている。
7月23日付米国
『ワシントンポスト』は「眠らない街を報道する報道スタッフ削減へ」との見出しで以下のように報道している。
巨大文化圏を成すニューヨークは多くの報道機関がひしめき合うが、それでも市全体の十分な報道をするにはリポーターは足りていない。月曜、三大日刊紙の一つ、“ニューヨーク・デイリー・ニューズ”が報道スタッフ半分を解雇すると発表した。このような報道機関人員削減の動きはデジタル報道の拡大に伴い全米で起きており、ニュース業界は、石炭や重工業以上のスピードで縮小している。...
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7月23日付米国
『ワシントンポスト』は「眠らない街を報道する報道スタッフ削減へ」との見出しで以下のように報道している。
巨大文化圏を成すニューヨークは多くの報道機関がひしめき合うが、それでも市全体の十分な報道をするにはリポーターは足りていない。月曜、三大日刊紙の一つ、“ニューヨーク・デイリー・ニューズ”が報道スタッフ半分を解雇すると発表した。このような報道機関人員削減の動きはデジタル報道の拡大に伴い全米で起きており、ニュース業界は、石炭や重工業以上のスピードで縮小している。2000年以降NY市内の新聞社の雇用者だけでも半分に減少しているが、移民による様々な人種が住み非英語媒体の需要が高いため、地方よりはましな状態である。地方紙は、地域コミュニティの安全や保全に直にリンクし、NYの文化、経済、歴史的重要性を考えると、NYのローカル紙の衰退は打撃である。
カラフルな紙面でキャッチーな見出しや記事で人気のデイリーニューズは、1988年設立当初、400人のジャーナリストを抱え数か所に支所を持ち、最高で1日に300万部発行。
親会社でシカゴ拠点のTroncは、残る編集者は「犯罪、民事司法、公的責任に関するニュース報道に焦点をあてるとしている。4言語で発行された当紙は、11月にはウェブニュースを採算が合わないとして閉鎖。
地元紙の衰退は、最も時間とコストのかかる取材陣が減ることを意味し、公共機構[裁判所、学校、地方政府]の取材も同様。
バスフィードのスミス編集長(元デイリーニューズコラムニスト)は、「最も懸念されるのは、政治家は、誰も監視していないと分かっている点。経済開発から選挙制度に至るまで、制度的な腐敗が進行している。」とし今回の解雇を長期衰退の悲劇としている。
NYは大報道局の本拠地であることに変わりはない。しかしながら、バズフィード、ハフポスト、ビジネス・インサイダーなど成功している機関でも、世界の読者や広告収入を引き出すため、主力を国内外ニュースに切り換えている。
地元紙は財政モデルとして困難で、大手を解雇されたジャーナリスト立ち上げたりする機関が何年間か増えていたが、多くはギリギリの経営赤字。好調のテキサス・トリビューンでも、利益重視でなく、設立資金や読者献金を充てにした経営だ。月曜の発表後の編集後記には、ヘルスケアの危機同様、時代は我々に味方していない。地元紙の危機が綴られている。
同日付米国『ハフポスト』は「ニューヨーク・デイリーがニュース編集局スタッフ半分を解雇」との見出しで以下のように報道している。
過激な表紙で知られるタブロイド紙「ニューヨーク・デイリー・ニューズ」が編集スタッフ半分を解雇、Tronc社傘下のメディアとして最大の解雇となる。Troncからデイリー紙の社員に送られたメールには、「抜本的な改変を行う。本日付で編集チームの約50%の人員削減を行い、今後我々は、特に犯罪、民事司法、公的責任へ焦点をあてた最新報道を行っていく。」と書かれていたという。同社には、85人の報道スタッフがおり、解雇の噂は前週木曜に流れ、月曜9時には編集室にいるよう前日にはメール通達があった。
Troncは昨夏、経営不振のデイリー紙を買収。また同紙では、2月セクハラスキャンダルで編集トップ2名が解雇されている。
Troncは、業界を取り巻く厳しさと、メディア環境へ適応が求められているとしているが、ニューヨーク州のクオモ知事は声明文で、「州でも同様に重要な機関の閉鎖、解雇、家族への影響を鑑み再考しているところだ。Troncに同様の措置を願う。」と、この解雇を考え直すよう要求している。
4月、 TroncはLAタイムズの編集長や編集者数十名を解雇、また同紙をカリフォルニアの小規模新聞社数社と共にバイオテク億万長者パトリック・スーン - シオン氏に売却している。
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WHOでの米政府による母乳推奨決議否定で波紋
米メディアによると、5月の世界保健総会で米トランプ政権は、科学的に実証されているはずの母乳推奨決議案提出でエクアドルを脅し、ロシアが賛成すると反対姿勢を撤回。乳児用調整粉末(粉ミルク)メーカーの利益を優先するような立場を示していたとの波紋が広がっている。
7月8日付米国
『ハフポスト』は「トランプ政権が母乳推奨決議に反対し企業戦略を優先との報道」との見出しで以下のように報道している。
日曜のニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、今年前半、米政府が乳児の栄養対策より企業利益を優先する方針を示していたと報道。5月に開かれた世界保健機構会議で、母乳は乳児の健康に最も最適だとの科学的根拠があるので誤解を招くようなマーケティングや喧伝を防止すべきだとする決議が採択されたのだが、米国高官は、この決議から「各国政府には母乳推奨支援を順守し、これを推進するよう要求する」との文言を削除しようとしたのだという。...
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7月8日付米国
『ハフポスト』は「トランプ政権が母乳推奨決議に反対し企業戦略を優先との報道」との見出しで以下のように報道している。
日曜のニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、今年前半、米政府が乳児の栄養対策より企業利益を優先する方針を示していたと報道。5月に開かれた世界保健機構会議で、母乳は乳児の健康に最も最適だとの科学的根拠があるので誤解を招くようなマーケティングや喧伝を防止すべきだとする決議が採択されたのだが、米国高官は、この決議から「各国政府には母乳推奨支援を順守し、これを推進するよう要求する」との文言を削除しようとしたのだという。
米国はエクアドルに世界保健機構決議案を提出すれば、軍事支援から撤退や貿易上の不利益を与える等とも脅していたともいう。だが、米国はロシアが決議を支持してからは反対姿勢を取りやめ、決議は採択された。だが、米国は上記の文言の削除には成功していたという。
最貧国の母親を標的とし、母乳よりも粉ミルクを使うようにと、積極的に水面下でかつ違法な方法で宣伝が行われている。フィリピンでは、ネスレ等の粉ミルクメーカーは、医師、看護師、 助産師、初めて母親になる人たちに配られる“育児”パンフレットやSNS等を活用し顧客を取り込もうとしている。このような、誤解を招くようなマーケティング戦略の制限は、世界の最貧国にとり最も必要とされる。
7月9日付ロシア『スプートニク』は「米が乳児の健康決議取り下げでWHOに圧力をかけた後、ロシアが決議を支援」との見出しで以下のように報道している。
世界保健総会(WHA)で、米国は環境や公衆衛生より企業利益を優先した。
5月ジュネーブで開かれた総会で、米国政府の高官はエクアドルに対し、非常に栄養的に優れると認められている母乳を推奨する決議案提出をしないよう圧力をかけていたのである。
多くの人の証言では、このトランプ政権による理解不能な要求は、乳児用粉ミルクメーカーであるスイスのネスレや米国のアボット・ラボラトリーズなどの戦略政策を反映するものだと見られている。
エクアドルは、米国のトッド・チャップマン大使から、コロンビア国境に配備している米軍を撤退させると脅迫を受けた。この時、ロシアはこれを採択することとしたのである。
このロシアの決断は“過ちを正すもの”だとニューヨークタイムズは報じており、ロシアのWHA代表は“我々はヒーローになりたいのではない”と回答。
この乳児の健康イニシアチブへの米政権の対応は世界の保健機関を震撼させた。米政府が、エボラ熱、糖尿病、心臓病など途上国で増加しつつある疫病に関連する国際的な保健機構にダメージを与えるのではないかと危惧されている。
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