顔認証技術をめぐるフェイスブックへの集団訴訟、米連邦控訴裁が同社の棄却請求認めず(2019/08/09)
米連邦控訴裁判所は8日、フェイスブック(FB)が顔認証をめぐる集団訴訟の棄却を求めていた裁判で、同社の訴えを退ける判断を下した。集団訴訟の存続が認められたことにより同社は、原告のイリノイ州ユーザーに対する巨額の賠償金を科される可能性がある。
『ロイター通信』や
『ハフポスト』などが速報した。本訴訟の原告らは2015年、FBが顔認証技術を用いて、多数のユーザーの生態認証データを本人の同意なしに収集・保管し、イリノイ州の生体認証情報プライバシー法(BIPA)に違反したとして提訴していた。
集団訴訟の原告側弁護士ショーン・ウィリアムズ氏は、「この生態認証データは非常に機微な情報であり、もし漏えいすれば単純に取り戻せるものではない。...
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『ハフポスト』などが速報した。本訴訟の原告らは2015年、FBが顔認証技術を用いて、多数のユーザーの生態認証データを本人の同意なしに収集・保管し、イリノイ州の生体認証情報プライバシー法(BIPA)に違反したとして提訴していた。
集団訴訟の原告側弁護士ショーン・ウィリアムズ氏は、「この生態認証データは非常に機微な情報であり、もし漏えいすれば単純に取り戻せるものではない。社会保障カードやクレジットカードの番号と違い変更もできない。顔は変えられない。」と主張した。
サンフランシスコの第9巡回区連邦控訴裁判所は8日、3人の裁判官が全員一致で、FBの顔認証技術は、訴訟を提起したイリノイ州のユーザーらに、数十億ドルの潜在的な損害をもたらしているとして、同社の棄却請求を認めない判断を下した。
連邦控訴裁は、「原告らの集団訴訟の提起は可能」として、FB側の「ユーザーの訴えは個別に異なり、訴訟も個別に提起が必要」との主張を退けた。また、同社がユーザーの同意なく情報を使用したことは、個人のプライバシーや具体的利益を侵害していると判断し、集団訴訟を認定した一審に本訴訟を差し戻した。
イリノイ州の生態認証プライバシー法は、各々の違反に対し1,000ドル(約10万6,000円)、故意や重過失の違反には5,000ドル(約53万円)の賠償金を認めている。ウィリアムズ弁護士は、集団訴訟の原告となり得るユーザー数は、最大700万人であると述べており、もしFBが敗訴すれば、巨額の賠償金を科される可能性がある。
FBは今回の連邦控訴裁の判断を精査するとしているが、さらに上訴する意向を示した。広報担当者は「当社は常に顔認証技術の使用について明らかにしており、ユーザーはいつでも機能の有効・無効化が可能である。」とメールで表明している。
SNS運営会社は、個人情報管理をめぐり、議会や規制当局から厳しい批判を受けている。先月、FBはプライバシー侵害に関する当局の調査に対し、史上最高額の50億ドル(約5300億円)の制裁金を支払うことで、米連邦取引委員会(FTC)と和解した。
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英政府、合意なきEU離脱に備え21億ポンドを追加で確保(2019/08/02)
英国は、欧州連合(EU)からの離脱期限である10月31日に、EUと合意がないまま離脱することに対する備えを強化するため、21億ポンド(約2780億円)を追加で確保して今年度の関連予算を倍増させ、対応に充てることを発表した。
『ロイター通信』や
『ハフポスト』『ブルームバーグ』などが報じた。先週就任したボリス・ジョンソン首相率いる英新政権は、メイ前首相が合意した離脱案の再交渉にEUが応じず、合意が成立しなくても、10月末でEUから離脱すると表明している。
同政権の閣僚らは、もし合意を成立させるのであれば、離脱合意案で最も問題となっている点の1つである、英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランド間の国境について厳格な管理を回避する「バックストップ(安全策)」条項の撤回を求めている。...
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『ハフポスト』『ブルームバーグ』などが報じた。先週就任したボリス・ジョンソン首相率いる英新政権は、メイ前首相が合意した離脱案の再交渉にEUが応じず、合意が成立しなくても、10月末でEUから離脱すると表明している。
同政権の閣僚らは、もし合意を成立させるのであれば、離脱合意案で最も問題となっている点の1つである、英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランド間の国境について厳格な管理を回避する「バックストップ(安全策)」条項の撤回を求めている。しかし、EU側は繰り返し応じられないと拒否しており、「合意なき離脱」の可能性は高まっている。
サジド・ジャビド財務相は、就任後初の主要政策として、今年度の合意なき離脱への備えのための予算を倍増することを発表した。追加の資金は、医薬品の供給確保、港湾周辺のインフラ改善、国境での税関職員の増員、海外在住の英国人への支援、全国的な広告活動の展開など、様々な措置のために用いられる。
財務省によれば、重要な措置への資金として11億ポンド(約1460億円)が用意される。その内の4億3400万ポンドは、医薬品の供給を確実にするためであり、追加の貨物運送能力や、倉庫保管量、備蓄量などの確保を含む。また、3億4400万ポンドが新たな国境・税関インフラの整備に、1億3800万ポンドが個人や企業に合意なき離脱に備えてもらうための広告キャンペーンに、1億800万ポンドが企業への支援に充てられる。
財務省はこれに加えて、さらに10億ポンド(約1320億円)を、政府の各部局や、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの自治政府の備えを強化するために用意していると説明した。今年度に利用可能な予算は42億ポンドに倍増し、総額63億ポンド(約8340億円)が合意なき離脱の備えとして割り当てられたことになる。
ジャビド財務相は、「英国がEUから離脱するまで92日となったが、わが国が備えを確実にするために、計画を強化することが極めて重要である。」と指摘し、「我々は反民主主義的なバックストップを撤廃した良い合意を求めているが、それが得られなければ、合意なしに離脱しなければならないだろう。」と述べた。
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