米・英・スペイン・中国メディア;南シナ海問題をめぐるトランプ政権に対する中国の苛立ち(2017/02/09)
2月6日付
Globali「米国防長官の尖閣諸島関係発言に中国が猛反発」の中で、“中国政府は、釣魚島(日本名尖閣諸島)は古来、中国固有の領土であり、米国は歴史的事実に反するような発言は慎むべきだと猛反発している”と報じた。そして、マティス国防長官に続いて、ティラーソン国務長官まで、南シナ海問題含めて、(対中国を想定して)日豪韓同盟国との連携強化を強調するに至り、中国側の不満が爆発寸前である。なお、トランプ大統領は就任以来、ロシア含めて十数ヵ国の首脳と電話会談含めて討議しているが、唯一中国首脳には電話も寄越さないとして、苛立ちは募るばかりとみられる。
2月7日付米
『ロイター通信米国版』:「ティラーソン氏、日豪韓同盟国との連携強調」
「●レックス・ティラーソン新国務長官は2月7日、長年の同盟国である日豪韓の高官とそれぞれ電話会議を行い、新政権としての連携強化政策について確認。
●国務省のマーク・トナー報道官は、同長官の電話会議を通じて、北朝鮮の核開発の脅威や、東・南シナ海における緊張の高まりに備え、米国とそれぞれ3ヵ国とが協同していくことにつき合意したと発表。...
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2月7日付米
『ロイター通信米国版』:「ティラーソン氏、日豪韓同盟国との連携強調」
「●レックス・ティラーソン新国務長官は2月7日、長年の同盟国である日豪韓の高官とそれぞれ電話会議を行い、新政権としての連携強化政策について確認。
●国務省のマーク・トナー報道官は、同長官の電話会議を通じて、北朝鮮の核開発の脅威や、東・南シナ海における緊張の高まりに備え、米国とそれぞれ3ヵ国とが協同していくことにつき合意したと発表。
●同長官はまた、可及的速やかに3ヵ国それぞれを訪問して、直接会談する意向を表明。
●なお、
『共同通信』によると、同長官が岸田文雄外相との電話会議において、ジム・マティス国防長官と同様、米国は尖閣諸島を日米安保条約に基づき共同防衛する旨確認したと報道。」
同日付スペイン
『エージェンシアEFE通信』:「ティラーソン氏、尖閣諸島防衛協力を日本に約す」
「●ティラーソン国務長官は、2月7日の岸田外相との電話会議の中で、尖閣諸島は日米安保条約適用下にあるとし、いかなる国からの一方的な行動に対しても断固反対し、防衛協力すると約束。」
2月8日付英
『ニューズウィーク欧州版』(
『ロイター通信』配信):「中国、米国に南シナ海問題の歴史を“勉強し直せ”と要求」
「●訪豪中の中国王毅(ワン・イー)外交部長(外相に相当)は2月7日晩、米国に対して、南シナ海問題の歴史を勉強し直すよう求めると発言。
●同部長は、1943年のカイロ宣言、また、1945年のポツダム宣言において、日本がかつて中国より奪取した、南沙(スプラトリー)諸島含めた領土を、中国に返還することが明記されているとコメント。
●ところが、それ以降いくつかの国が、南沙諸島を違法に占拠し始めたことが、そもそもの南シナ海問題の発端と追加。
●従って、域外国は、南シナ海問題を平和裏に解決しようとしている中国及び関係国の努力を支持こそすれ、引っ掻き回すようなことは厳に慎むべきだと強調。」
同日付中国
『新華社通信』:「中国外交部長、域外国は南シナ海問題を平和裏に解決しようとしている努力を支持すべきと発言」
「●訪豪中の王外交部長は、4回目の中豪外交・戦略会合に出席した後の記者会見で、南シナ海問題について対話を通じて解決しようとしている関係国の努力について、域外国はそれを支持すべきであると信じるとし、従って、マティス国防長官が、南シナ海問題を外交努力で解決することが重要だとした発言は、非常に強い意味を持つことになるとコメント。
●また、同部長は、第二次大戦後の1946年に、南沙諸島が中国に、公式に合法的に返還されたという歴史的事実について、米政府は再認識すべきとも付言。」
一方、2月7日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「中国、トランプ大統領の世界の首脳との会談終了待ち」
「●ドナルド・トランプ大統領は就任以来、ロシアを含め16ヵ国の首脳と電話、もしくは直接会談。
●しかし、唯一中国の習近平(シー・チンピン)主席とは電話会談すら未実施。
●中国専門家は、トランプ大統領は選挙戦中、また就任後も、米国第一主義を掲げて他国をざわつかせる発言、例えば南シナ海問題や“一つの中国”原則へのチャレンジを繰り返しているが、結局米国に雇用を取り戻すとの内政問題が最優先。
●従って、この辺りの方策をしっかり固めた後、習主席との会談に臨もうとしているとみると分析。
●何故なら、他国と違い中国については、経済から安全保障問題まで広範囲にわたるため、準備が必要だと推測。」
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米・英・ロシアメディア;トランプ新政権の重要閣僚が漸く就任?(2017/01/25)
既報どおり、トランプ新大統領が指名した閣僚15名の内、ジェームズ・マティス国防長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官しか上院議会で承認(注後記)されておらず、2009年のオバマ大統領就任時には、国務長官、財務長官、国防長官等重要閣僚7名が承認されていたときとは大違いである。しかし、議会多数派の共和党も、新大統領就任後何日間も重要閣僚が決定されないことに危機感を抱いたのか、反トランプを表明する共和党議員はもとより、徹底抗戦する民主党議員にも数による攻勢をかけ、徐々にではあるが閣僚人事承認に動き出している
1月24日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「ニッキー・ヘイリー氏、容易に国連大使指名承認獲得」
「●上院本会議は1月24日、ドナルド・トランプ新大統領が指名していた国連大使候補のニッキー・ヘイリー氏(サウスカロライナ州知事)について、96対4の絶対多数で承認。
●これで漸く4人目の閣僚人事承認(編注;省長官は15名だが、国連大使は閣僚級人事)となったが、共和党側は、2009年のバラク・オバマ大統領就任時には7名の閣僚人事を承認して協力していたとして、今回の民主党側抵抗を非難。...
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1月24日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「ニッキー・ヘイリー氏、容易に国連大使指名承認獲得」
「●上院本会議は1月24日、ドナルド・トランプ新大統領が指名していた国連大使候補のニッキー・ヘイリー氏(サウスカロライナ州知事)について、96対4の絶対多数で承認。
●これで漸く4人目の閣僚人事承認(編注;省長官は15名だが、国連大使は閣僚級人事)となったが、共和党側は、2009年のバラク・オバマ大統領就任時には7名の閣僚人事を承認して協力していたとして、今回の民主党側抵抗を非難。
●これに対して民主党側は、トランプ大統領が指名した閣僚候補の中には、出身企業や業界との関係から、利益相反がないかどうか確認する必要があるため慎重にならざるを得ないと反論。
●1月24日の上院委員会の指名候補者公聴会では、トム・プライス下院議員(厚生省長官指名)、ミック・マルバニー下院議員(行政管理予算局長指名)の聴聞が大揉め。
●また、上院エネルギー委員会では、テキサス州リック・ペリー知事(エネルギー省長官指名)及びライアン・ジンキ下院議員(内務省長官指名)の承認についての票決を中止。
●一方、上院商務委員会は、投資家のウィルバー・ロス氏(商務省長官指名)及びベン・カーソン神経外科医(住宅都市開発省長官指名)を賛成多数で承認し、上院本会議の承認申請。」
同日付ロシア
『ロシア・インサイダー』オンラインニュース:「ティラーソン氏、新保守主義のルパート・ルビオ議員の翻意で第一関門突破」
「●上院外交委員会は1月23日、11対10票(賛成票は全共和党議員、反対票は全民主党議員)で漸くレックス・ティラーソン氏(エクソンモービル会長)の国務省長官指名を承認。
●上院は共和党が多数派であるので、本会議での承認取得が確実視。
●ルパート・ルビオ上院議員は、ティラーソン氏がロシア寄り過ぎると公聴会で疑問を呈して承認に抵抗していたが、共和党出身大統領の指名に最後まで抵抗するのは得策でないと判断。」
同日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「ティラーソン氏、米国務省で初の概況報告を受ける」
「●レックス・ティラーソン氏は1月24日、国務省を訪れて初めて概況報告を聴取。
●同氏は前日、上院外交委員会においてぎりぎりで承認取得。」
同日付英
『ニューズウィーク欧州』誌:「トランプ氏指名のロス氏とチャオ氏が承認獲得」
「●上院の商務・科学・運輸委員会は1月24日、トランプ新大統領が指名した投資家のウィルバー・ロス氏(商務省長官指名)及びエレーン・チャオ元労働長官(運輸省長官指名)を賛成多数で承認。
●両氏とも、共和党が多数派の上院本会議での承認取得が確実。
●ロス氏は、トランプ新大統領が推す北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉等に力を発揮すると期待され、また、チャオ氏の場合、トランプ政権が重要政策としたインフラ投資促進政策のうちの道路・橋の建設計画などにおいて、共和党のみならず民主党からも支援を獲得できると期待。」
(注)上院議会承認:大統領が指名した各省長官などの官吏を承認。他に条約の批准承認権も有り(3分の2以上の賛成)。なお、下院は予算案など歳入に関する法案を先に審議する権利を有す。
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