トランプ政権のジェームズ・マティス新国防長官は、安倍晋三首相との会談において、中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名釣魚島)について、日本の領土であることを確認し、日米安保条約に基づいて防衛協力することを再確認する旨発言した。これに対してすぐさま中国政府は、釣魚島は古来、中国固有の領土であり、米国は歴史的事実に反するような発言は慎むべきだと猛反発している。
2月4日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「中国、マティス氏の東シナ海上の諸島に関わる発言を非難」
「●中国外交部の陸慷(リゥ・カン)報道官は2月4日、ドナルド・トランプ政権のジェームズ・マティス国防長官が、中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名釣魚島)について、日米安保条約に基づき米国が防衛協力するとの発言に対して、米国がまたしても東アジア地域の安定を危うくしようとしているとして強硬に非難。
●同報道官は、1960年締結の日米安保条約は、当時の冷戦に伴い制定されたもので、中国の領有権に何ら影響を及ぼすものでなく、従って、米国はこれ以上問題を複雑化するような行動を取るべきではないと強調。
●これに先立つ2月3日、同報道官は、同長官が訪韓時に、終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を予定どおり年内に配備するとする発言に対しても、朝鮮半島の緊張を悪戯に高めるものとして非難。
●なお、トランプ政権は、東シナ海のみならず、南シナ海においても、中国が一方的に領有権を主張しているとして、中国の行動に深刻な懸念を表明。」
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AFP通信』配信):「中国、マティス氏の尖閣諸島に日米安保条約が適用されるとの発言に反発」
「●マティス国防長官は2月4日、日韓訪問の最終日の記者会見で、尖閣諸島は日本の領土であり、日米安保条約第5条(米国が、日本及びその領有地への如何なる侵略に対しても防衛協力するとの約束)が適用されると発言。
●なお同長官は、訪問先の韓国でも、北朝鮮の如何なる挑発行動に対しても、同盟国として引き続き米国が防衛協力する旨発言。」
2月5日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「中国、米国が東シナ海を“不安定”にさせようとしていると非難」
「●中国政府は、釣魚島が14世紀から中国の領土であり、その後1895年に日本によって奪われたが、第二次大戦終了によってその領有権は放棄されたので、本来の中国領土に戻ったものであると主張。
●そして、米国は悪戯に東シナ海での緊張を高めるような発言・行動は厳に慎むべきであると強く非難。
●なお、トランプ大統領は、“一つの中国”原則から為替問題まで、あくまで中国と敵対しようとしているとも非難。」
2月4日付中国
『新華社通信』:「トランプ氏が日本の為替操作を非難したものの、米国防長官は日本との同盟強化を約束」
「●日本のいくつかのメディアは、当初トランプ大統領が発言していた、日本の為替操作問題と米軍駐留費用の負担増について、マティス長官の日米同盟強化の発言によって、これらの問題が軽減されると期待する旨報道。
●マティス長官の釣魚島に関わる発言について、中国外交部は2月4日、同島は古来、中国の領土であり、改竄の許されない歴史的事実であること、従って、米国は問題を複雑化するような無責任な発言・行動は厳に慎むべきだと強調。」
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