中国・パキスタン経済回廊インフラ建設工事従事の中国人労働者保護のため防弾車採用決定【インド・パキスタンメディア】(2022/11/07)
パキスタン(1947年英国より独立)では、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)主導で始められた中国・パキスタン経済回廊インフラプロジェクト(CPEC、注後記)建設工事に従事する多くの中国人労働者が就業している。しかし、政情不安な同国においては、同プロジェクト等に反発している反政府勢力のテロが頻発しており、ついに中国側要請で同従業員らの移動に防弾車を使用することが決まった。
11月6日付インド
『ザ・タイムズ・オブ・インディア』紙(1838年創刊の英字紙)は、「パキスタン在のCPEC従事の全中国人労働者、テロ対策のため移動に防弾車使用」と題して、中国側要請により、CPECインフラプロジェクト建設工事に従事する全中国人労働者の移動に防弾車を使用することが決まったと報じている。
パキスタン及び中国はこの程、中国側が安全面での懸念を表明したことから、CPECインフラプロジェクト建設工事のためにパキスタンに滞在している中国人労働者の移動について、テロ対策の一環で防弾車を使用することで同意した。...
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11月6日付インド
『ザ・タイムズ・オブ・インディア』紙(1838年創刊の英字紙)は、「パキスタン在のCPEC従事の全中国人労働者、テロ対策のため移動に防弾車使用」と題して、中国側要請により、CPECインフラプロジェクト建設工事に従事する全中国人労働者の移動に防弾車を使用することが決まったと報じている。
パキスタン及び中国はこの程、中国側が安全面での懸念を表明したことから、CPECインフラプロジェクト建設工事のためにパキスタンに滞在している中国人労働者の移動について、テロ対策の一環で防弾車を使用することで同意した。
地元紙『ジ・エキスプレス・トリビューン』(2010年創刊の英字紙)が11月6日に報じたもので、CPECの第11回合同調整委員会(JCC)の議事録草案によると、“CPECに従事する全中国人労働者の安全確保のために、移動は全て防弾車を使用することが決定された”と記されている。
また、同時に、“両国は、テロ対策のために法執行官及び捜査官を増強することも合意した”という。
習近平国家主席は先週、訪中したシャバズ・シャリフ首相(71歳、2022年就任)と会談した際、CPECに従事する中国人労働者の安全に“深い懸念”があると伝えた上で、彼らのために“信頼かつ安全な環境整備”を求めると要求していた。
総額600億ドル(約8兆8,200億円)のCPECプロジェクトは、習国家主席が主導する「一帯一路経済圏構想(BRI)」の一部として推進されているものであるが、同プロジェクト下の様々な建設工事に携わる中国人従業員の保安が非常に問題視されてきていた。
そこで、今回のJCC会議において合意がなされた訳だが、中国側はその他、パキスタン側の法執行機関の能力増強のために保安関連装備品を提供することを約している。
また、中国人が犯罪に巻き込まれた際の捜査迅速化のために、中国側の支援を得て、パキスタン国家警察傘下の国家犯罪科学局(NFSA)の近代化も実施することが決まっている。
なお、CPECプロジェクト以外の事業に関わる中国人の安全も侵されていることから、両国は別途、合同技術専門家作業部会(JTEWG)を立ち上げて、これらの中国人従業員の安全確保のために起用すべき民間警備会社の評価を行わしめることも合意している。
同日付パキスタン『パキスタン・テレグラフ』紙は、「パキスタン在のCPEC従事の中国人労働者、今後防弾車で移動」と報じている。
CPECの第11回JCCで、パキスタン在の中国人従業員の安全確保のために、いくつかの事項について両国が合意した。
しかし、これまでの慣例と違って、未だ当該JCC議事録が双方の高官によって署名されていない。
アーサン・イクバル内務相(63歳、2021年就任)によると、JCC議事録は会議後に可及的速やかに双方によって署名されていたが、“今回、シャリフ首相が僅か24時間の訪中という忙しい行程であったことから、当該議事録の署名手続きが進められなかった”という。
同相によると、“JCC会議の他、17件の協調案件に関わる会合も持たれていることから、とても手が回らなかった”という。
なお、JCC会議の議事録署名はまだだが、合意事項については可及的速やかに取り進められるという。
(注)CPEC:2015年に立ち上げられた、新疆ウィグル自治区南西端のカシュガルから、中国・パキスタン国境を越えてパキスタン南西岸のグワダル港までを繋ぐ、約3千キロメートルの道路・鉄道を敷設するプロジェクト。BRIの一環で取り進められているもので、インドネシア・マラッカ海峡を経ずに中国輸出入貨物の中国~アラビア海間の往復運送を可能とするインフラ建設が目的。
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エールフランス航空;飛行中に喧嘩した機長・副操縦士の職務停止処分ニュースを契機に安全運航に疑問の声【米・英国メディア】(2022/08/30)
フランスのフラッグ・キャリアであるエールフランス航空(AF、1933年設立、2004年KLMオランダ航空と経営統合して民営化)が、目下スキャンダルに見舞われている。スイス・ジュネーブ空港離陸後のコックピット内で、あろうことか機長と副操縦士が掴み合いの喧嘩をしたことが判明した。当該飛行機は安全にパリ/シャルルドゴール空港に到着したものの、両パイロットとも職務停止処分を受けている。しかし、問題はこれに止まらず、過去にAFで安全基準を疎かにした事例が発生しており、フランス当局による調査が進められている。
8月28日付米
『AP通信』は、「AFの2人のパイロット、コックピット内での喧嘩が原因で職務停止処分」と題して、離陸後のコックピット内で掴み合いの喧嘩をした機長と副操縦士が職務停止処分にされたが、このニュースを契機にAFの安全軽視の事案について詳報している。
AFの2人のパイロットが、よりによって離陸後のコックピット内で殴り合いを始めてしまった。
AFが8月28日に発表したところによると、今年の6月、ジュネーブ発パリ行きの航空便の機長と副操縦士が離陸後のコックピット内で喧嘩を始めたことを咎めて、両パイロットを職務停止処分にしたとする。...
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8月28日付米
『AP通信』は、「AFの2人のパイロット、コックピット内での喧嘩が原因で職務停止処分」と題して、離陸後のコックピット内で掴み合いの喧嘩をした機長と副操縦士が職務停止処分にされたが、このニュースを契機にAFの安全軽視の事案について詳報している。
AFの2人のパイロットが、よりによって離陸後のコックピット内で殴り合いを始めてしまった。
AFが8月28日に発表したところによると、今年の6月、ジュネーブ発パリ行きの航空便の機長と副操縦士が離陸後のコックピット内で喧嘩を始めたことを咎めて、両パイロットを職務停止処分にしたとする。
ただ、同機は安全に就航し、シャルルドゴール空港に無事到着したとし、AFが安全第一としていることを強調している。
ジュネーブの地元紙『ラ・トリビューン』(LT、1879年創刊のフランス語新聞)報道によると、喧嘩に気付いた搭乗クルーが割って入り、飛行中もコックピット内に留まって喧嘩を再開しないよう見張っていたという。
フランス航空事故調査局(BEA)が8月24日に、過去に発生した事案に絡み、AFの何人かのパイロットが安全に関わる事態が発生した場合に取るべき手順について、基準を厳格に守ることに欠落している、とする調査報告をリリースしたことから、本事案に関わるニュースが拡散している。
同調査報告によると、2020年12月、ブラザビル(コンゴ共和国首都)発パリ行きのAF飛行便に燃料漏れの事態が発生した際、搭乗パイロットらは、安全基準に基づいてエンジンを止めるか、可及的速やかに着陸しなければならないのに、経路変更をしただけに止めたとする。
同機は無事にチャド(コンゴ北方のアフリカ中央部)に緊急着陸したが、BEA報告によれば、エンジンから出火する恐れもあったと非難している。
更に、BEA報告によれば、2017~2022年間に似たような事案が3度発生しているが、いずれも搭乗パイロットが安全手順ではなく独自判断で行動していたという。
これに対してAFは、BEAの勧告に基づいて、安全基準徹底に努めるとし、パイロットの再訓練や安全手順に関わる厳しいマニュアル遵守等指導していくとする。
ただ、AFは、毎日数千便を運航している中にあって、BEAに指摘された安全に関わる事態は僅か4件に過ぎないとも言及している。
なお、BEAはまた、今年4月、ニューヨーク発パリ行きのAF航空便が、シャルルドゴール空港着陸時に技術的トラブルを起こしていた事態についても調査を行っている。
同日付英国『メール・オンライン』は、「ファイトorフライト? 運航中にコックピット内で喧嘩した2人のパイロットに停職処分」として、経緯を報じている。
スイス地元紙『LT』が、6月にジュネーブ発パリ行き国際便の2人のパイロットが、離陸後にコックピット内で喧嘩を始めたとし、後に2人とも停職処分とされたと報じた。
喧嘩に気が付いたクルーが止めに入ったことで、以降喧嘩が再発することはなく、1時間15分のフライトを無事に終えたという。
AF広報担当は『LT』のインタビューに答えて、“全く不適切な事態だ”とし、厳正な処分を科したとしている。
しかし、BEAがリリースした調査報告書によると、AFの約4千人のパイロットのうち何人かに、“安全手順を厳正に遵守するという点について軽視する傾向”が認められたとしていることから、本事案についても大きく取り上げられることになった。
なお、AFパイロット組合は、全てのパイロットにとって安全第一は最優先であるとした上で、(2020年12月発生の燃料漏れ事故等に関し)関係パイロットが取った緊急対応措置について擁護していくと主張している。
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