ロドリゴ・ドゥテルテ比大統領にとって、麻薬犯罪撲滅政策と同じくらい、ミンダナオ島などで続いてきた反政府組織との紛争解決が重要事項である。そして同大統領はこの程、2014年調印のミンダナオ包括和平協定に基づいて、武装解除して政府側と協調して自治に当ることを実践してきた元反政府組織、「モロ・イスラム解放戦線(MILF、注1後記)」の幹部らを、地元暫定自治政府の首長及び役人に登用した。
2月23日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「フィリピン和平協定の下、元ゲリラ部隊幹部らを役人に登用」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2月22日、2014年調印のミンダナオ包括和平協定に基づいて、武装解除の上でフィリピン政府側と協調してきた元反政府組織MILFの幹部らを、地元5州を束ねるバンサモロ暫定自治政府の役人に任命した。
任命式で同大統領は、これを以てゲリラとの戦いは遂に終焉を迎えた、と語った。...
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2月23日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「フィリピン和平協定の下、元ゲリラ部隊幹部らを役人に登用」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2月22日、2014年調印のミンダナオ包括和平協定に基づいて、武装解除の上でフィリピン政府側と協調してきた元反政府組織MILFの幹部らを、地元5州を束ねるバンサモロ暫定自治政府の役人に任命した。
任命式で同大統領は、これを以てゲリラとの戦いは遂に終焉を迎えた、と語った。
同包括和平協定に基づき、今年中にMILF傘下の約1万2千人のゲリラ兵士が武装解除に応じることになるが、今後も段階を踏んで、最終的に4万人のゲリラ兵士が武装解除することになる。
イスラム国家樹立を求める、反政府組織「モロ民族解放戦線(MNLF、注2後記)」等と始まった内戦は半世紀近くに及び、約15万人が犠牲になっている。
MILF広報担当のボン・アル=ハック氏は『AP通信』のインタビューに答えて、本組織が闘争目的とした夢が実現した以上、これからは武器は無用で戦闘を続ける理由もなくなったと述べた。
同大統領は、MILF指導者のムラード・イブラヒム氏をバンサモロ暫定自治政府の首長に据え、また、2022年の選挙で議員が選出されるまでの間、フィリピン政府役人を何人か同自治政府のために働くよう派遣するとした。
更に同大統領は、同地域には天然資源が豊富ではあるものの、国内で最も貧困地域であることから、新たな産業を起こす等支援していくとも語った。
目下、年間助成金として10億ドル(約1,100億円)余りが予算化されている。
なお、MNLFのメンバーにも同自治政府内の議席が与えられる。
しかし、MNLFの中で過激派思想を捨てられないメンバーは、イスラム過激派組織アブ・サヤフ等を立ち上げて、闘争を続けるという。
アブ・サヤフは、フィリピン政府及び米政府からテロ組織と指定されている。
同日付フィリピン『ザ・デイリィ・トリビューン』紙:「反政府組織指導者が首長に」
ドゥテルテ大統領は、MILF指導者のイブラヒム氏をバンサモロ暫定自治政府の首長に任命した。
同氏は、2022年に行われる議会選挙までの間、今回同時に任命された80人の暫定議員を率いて同暫定自治政府を運営していく。
ただ、同大統領は、2022年に正式な自治政府が形成された後も、イブラヒム氏には自治政府内の重要なポジションに留まってもらう意向だとも語った。
なお、任命式を終えて後、イブラヒム新首長は、これまで長い間、イスラム教徒の信仰や統治を求めて戦い、また犠牲も払ってきたが、それらが十分活かされるような自治政府運営をしていくと宣言した。
(注1)MILF:1977年にMNLFから分派・独立した反政府組織。2012年にフィリピン政府との間でミンダナオ和平に関する枠組み協定(バンサモロ自治政府の創設案含む)に合意し、2014年にミンダナオ包括和平協定に調印。
(注2)MNLF:1970年代に結成されたイスラム教徒の政治組織。最盛期には3万人のゲリラ兵士を抱えていた。その後、MILF他に分かれて弱体化。あくまでイスラム国家樹立を目指す過激派一派は、1991年にアブ・サヤフを設立し、現在に至る。
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近年米国では、人口のクリスマスツリーが普及し今も市場が拡大、一方、本物のツリーを求める家庭が少なくなったと懸念する業者が、今年はソーシャルメディアの動画で広告を出すなど、若い世代に本物の良さを知って貰うためキャンペーンを行っているという。
12月11日付米国
『シカゴ・トリビューン』(AP通信引用)は「クリスマスツリー業者がソーシャルメディアを使って売り上げアップを狙う」との見出しで以下のように報道している。
今年はSNS上で、家族でツリーに飾り付けをしている動画を見て、長く思い出に残るようにと、子どもに本物の木をプレゼントする人もいるという。近年全米各地のクリスマスツリー業者は、本物を手にする家庭が減っている事を懸念。かつては偽物との扱いだった人口のクリスマスツリーは今や本物そっくりで、ライトも備え付けで大変便利である。ツリーを所有する米国人の75~80%は、人口のツリーを持っており、毎年使い回す事が出来るにもかかわらず、ツリー市場は年4%成長の10億ドル規模。
そこで、この傾向を変えたいと、業者は、「クリスマスツリー促進委員会」部会に参加、今年のホリデーシーズンには、ソーシャルメディア広告を使って本物の常緑樹の良さを伝えている。「クリスマスには、本物を!」と呼ばれるこのキャンペーンに農家は1本出荷あたり14セント出資する。
インスタグラムやフェースブック上の動画では、実際の家族が立派な木を探し回って伐採し飾り付けるまでの様子が写されている。広告のターゲット層はミレニアム世代の母親たち。若い世代は人口のツリーに慣れ親しんでおり、新しい家庭を持っても当然のように人口のツリーを手にする。農家は若い世代は本物に触れた経験がないので、この時期にこのような楽しみ方がある事を発見してほしい、という。統計機関などがないため本物のツリーの年間出荷量は定かではないが、国立クリスマスツリー協会によると、年2500万本が販売目的で伐採されているという。クリスマスツリー販売大手「バルサムヒル」のCEOによると、米国人は、年あたり1000万本の人口ツリーを購入しているという。購入者は便利で、アレルギーや火事の心配もないことが利点と捉えている。サンクスギビングの週末から飾りはじめ、新年まで置いておくため、人口ツリーの方がずっと安全なのだという。
中規模農家にとっては、大規模農家と契約している「Home Depot」等の存在も懸念材料。オレゴンはツリーの生産No.1だが、ここ十数年で、農家の半数が廃業したという。ある農家は今年の出荷が10年前の半数程となった。苗が成長するのには8~10年を要するため、先の需要を予測するのは難しい。今年植えた苗は、2028年の需要を待つこととなる。
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