ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ共和党知事は18日、連邦政府による週300ドル(約3万3千円)の失業支援金を近く廃止すると発表した。この決定は、ニューハンプシャー州の企業団体などが、バイデン政権による高額な支援金が人々の就職意欲をそぎ、雇用を妨げる原因になっていると非難していることを受けたものである。
米イリノイ紙
『トリビューン・パブリシング』によると、スヌヌ氏は記者会見で、6月19日をもってニューハンプシャー州民への失業者支援金を終了させることを発表した。ニューハンプシャー州の雇用者は、連邦政府の失業者支援金が高すぎるために労働者を見つけられないとして不満の声を上げていた。
また、知事は雇用を促進するために、今後数ヶ月の間に仕事に復帰した住民に最大1,000ドル(約11万円)の再就職手当を提供することを発表した。
『AP通信』によると、知事は、現在約35,000人が失業手当を受給しており、その全員が週300ドルの補助金を受け取っていると述べ。しかし、失業率の低下と豊富な求人数を背景に、補助金は6月19日で終了することを明らかにした。同州では、パンデミック発生時にいち早く失業手当の受給資格を拡大した。2020年3月から4月にかけて、同州の失業率は2.7%から16%以上に上昇したが、今月時点では2.8%に戻っている。
スヌヌ知事は、雇用状況の改善について「とても誇りに思っている。私たちは非常に堅調な経済と豊富な雇用機会を提供している、賃金もこれまでに見たことのないほど高い水準にある。何万もの高収入の仕事が、今すぐにでも手に入る」と述べた。
18日からは、フルタイムの仕事に就いた失業者には8週間就業した時点で1,000ドルの再就職手当が支給され、パートタイムの労働者には1,000万ドル(約11億円)の基金がなくなるまで500ドル(約5万5千円)が支給される。ただしこの手当は、時給25ドル(約2700円)以下の人が対象となる。なお、失業者支援金が来月に終了しても、失業者は引き続き州からの失業手当を受け取ることができる。
米『エポックタイムズ』によると、ニューハンプシャー州以外にも、アラバマ州、アラスカ州、アリゾナ州、アーカンソー州、ジョージア州、アイダホ州、アイオワ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、モンタナ州、ノースダコタ州、オハイオ州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テネシー州、ユタ州、ウェストバージニア州、ワイオミング州など、少なくとも18の共和党主導の州が、今夏までに連邦政府による失業者支援金を終了する決定を下している。
米国最大の中小企業ロビー団体である全米独立企業連盟(NFIB)が発表した最新レポートによると、米国経済における3月の求人数が810万人に急増し、労働省が統計を発表して以来最高の数字を記録したにもかかわらず、雇用する労働者を見つけられなかった中小企業の数は4月には過去最多となった。
米国商工会議所も、3月の求人数が過去最高を記録したにもかかわらず、数週間前に発表された雇用統計では雇用が急激に減少していることを受け、連邦政府による失業者支援金の早期終了を求める声明を発表している。
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フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(76歳)は、2016年に就任以来、長い間築き上げられた米比同盟関係を差し置いて、中国・ロシアとの関係強化政策をとってきた。同大統領としては、力で全く敵わない中国等と敵対するのではなく、むしろ経済支援をうまく引き出して自国の繁栄に繋げようと腐心してきている。それは南シナ海における中国の一方的海洋進出活動に対しても同様で、中国大漁船団がフィリピンの排他的経済水域(EEZ)に長期に留まっているにも拘らず、この程、中国批判を繰り返す閣僚らに対して、これ以上の批判的言動を禁止する措置を講じるとの命令を出した。
5月19日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース(2001年設立):「フィリピン大統領、閣僚に対して南シナ海問題での発言禁止措置」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月17日、閣僚に対して南シナ海問題での発言を禁止する措置を講じた。
これは、中国の数百隻の大漁船団が、フィリピンのスプラトリー諸島(南沙諸島)のEEZ内にあるホイットサン礁に3月から長期間留まっていることに業を煮やした複数の閣僚が、中国批判を公に表明する事態が繰り返され、反って中国を刺激する結果になっていることを同大統領が考慮したためとみられる。...
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5月19日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース(2001年設立):「フィリピン大統領、閣僚に対して南シナ海問題での発言禁止措置」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月17日、閣僚に対して南シナ海問題での発言を禁止する措置を講じた。
これは、中国の数百隻の大漁船団が、フィリピンのスプラトリー諸島(南沙諸島)のEEZ内にあるホイットサン礁に3月から長期間留まっていることに業を煮やした複数の閣僚が、中国批判を公に表明する事態が繰り返され、反って中国を刺激する結果になっていることを同大統領が考慮したためとみられる。
同大統領はテレビ会議を通じて、“今後、全ての閣僚に対して、フィリピン西方で起こっている問題に関して、如何なる相手にも媒体にも発言することを禁ずる”とした上で、“本件討議する必要がある場合は、まず政権内で話すことを求める”と釘を刺した。
3月の第1週に、フィリピンの哨戒機が同礁近海に係留されている中国大漁船団を発見して以来、多くの政治家らから、同大統領の対中融和政策に反して、中国側を非難する声が次々に上がった。
3月22日には、デルフィン・ロレンザーナ国防相(72歳)が中国に宛てた文書の中で、“フィリピン主権を脅かす行動は即刻止めて、大漁船団を可及的速やかに退去させるよう求める”と申し入れた。
更に5月3日には、言いたいことをツイッターですぐつぶやいてしまうことで知られるテオドロ・ロクシン外相(72歳)が、何と“早く出て失せろ”と極端な言い回しで中国を非難した。
これには早速中国外交部(省に相当)から、二国間外交上問題だと非難されるに至り、同相は陳謝に追い込まれている。
同大統領は、2016年に就任以来、親中政策を標榜し、同年に常設仲裁裁判所(PCA、1899年オランダ・ハーグに設立)が下した、中国側に南シナ海における主権を認めないとの裁定についても、中国側にその履行を求めない対応をしてきた。
同大統領としては、富も力も壮大な中国からの支援を得ることで、インフラ整備含めてフィリピン経済の発展に繋げたいと欲したものと考えられる。
ただ、これまでのパターンでは、数々の中国側の傍若無人な行動に対して、閣僚らに強硬意見を述べさせた後、同大統領が対中懐柔に乗り出すということが繰り返されてきている。
しかし、今回発令した中国批判封じ込め措置に関しては、同大統領としても、中国側の傍若無人さに思うところがあってか、翌日の5月18日には、当該発言禁止措置が弱腰とみられないよう、“主権擁護のため、EEZ内の監視活動は今後も継続する”とし、“自国の立場や権利を放棄するつもりはない”との声明を発表している。
同日付フィリピン『ザ・デイリィ・トリビューン』紙(2000年刊行):「ドゥテルテ大統領、フィリピンの海洋主権を再度強調」
ドゥテルテ大統領は5月18日、南シナ海の領有権問題に関わる批判を無視しようとしていると前日に表明したことに関して、誤解して取られないようにするためか、フィリピン西沖のスプラトリー諸島内の領有権について擁護する立場に何ら変わりない、とする声明を発表した。
ハリー・ローク大統領報道官(54歳)が読み上げたもので、同大統領は、“フィリピン西海域において保有する領有権は全く変更なく、今後もその主権を擁護していくために、行政機関による監視活動を継続していく”と表明している。
更に同大統領は、2016年にPCAにおいて勝ち取ったフィリピンの権利は、如何なる国によっても侵されることはないと強調した。
同大統領は以前、PCA裁定など“ただの紙切れ”と呼んで、それを活用しようとしなかったが、今回は改めて、“その権利を放棄する意向はない”とし、“フィリピンはその原則に従って強靭な対応をしていく”と言及している。
一方、ローク報道官は、同大統領が前日に全閣僚に対して、フィリピン西沖の領有権問題に関わる公の場での発言を禁止するとした措置に関して、自身はもとより、ロクシン外相もその立場上、発言することを抑制されてはいない旨付言した。
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