英中関係;5年前の蜜月時代に比べて今や最悪【米・英国メディア】
英中関係は、ほんの5年前は“黄金期”に入ったと両国首脳がパブで祝杯を挙げる程蜜月だった。しかし、英国では当時の保守党政権と同じであるが、今や英中関係は最悪に陥っている。それは、ボリス・ジョンソン現首相(56歳、第77代)が、中国と何かと対峙しているドナルド・トランプ大統領(74歳、第45代)を信奉していることから、米国に追随するかのように香港治安問題や第5世代移動通信システム(5G)政策で中国との対立を先鋭化しているからである。
7月12日付米
『AP通信』:「英中関係がファーウェイ、香港問題で凍結状態」
僅か5年前、当時のデビッド・キャメロン首相(現53歳、第75代)は、英中関係は“黄金期”を迎えているとして、両国間の数十億ドル(数千億円)規模の通商協定締結を祝って、当時訪英中の習近平(シー・チンピン)国家主席とパブで祝杯を挙げる程であった。
しかし、それは今や遥か昔の光景となっている。
何故なら、同じ保守党政権でありながら、現在のボリス・ジョンソン首相は、中国が香港国家安全維持法を制定して、かつての宗主国の英国と交わした自由・民主主義を支持するとの約束を反故にしたことに反発して、香港から避難してくる数百万人に英国ビザを与えると発表したからである。...
全部読む
7月12日付米
『AP通信』:「英中関係がファーウェイ、香港問題で凍結状態」
僅か5年前、当時のデビッド・キャメロン首相(現53歳、第75代)は、英中関係は“黄金期”を迎えているとして、両国間の数十億ドル(数千億円)規模の通商協定締結を祝って、当時訪英中の習近平(シー・チンピン)国家主席とパブで祝杯を挙げる程であった。
しかし、それは今や遥か昔の光景となっている。
何故なら、同じ保守党政権でありながら、現在のボリス・ジョンソン首相は、中国が香港国家安全維持法を制定して、かつての宗主国の英国と交わした自由・民主主義を支持するとの約束を反故にしたことに反発して、香港から避難してくる数百万人に英国ビザを与えると発表したからである。
更に同首相は、同盟国の米国から提案された、安全保障を脅かす中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、1987年設立)の5Gシステム導入を取り止めようとしている。
かかる動きに対して、中国高官からは、もし英国が中国を“敵国”扱いし、また、ファーウェイ製品の締め出しを決定するならば、中国はそれ相応の“対応”をすることになると脅す発言が出されている。
これに対して、元保守党々首のイアン・ダンカン・スミス下院議員(66歳)は、“中国こそが、香港返還に当たって両国で交わした「英中間覚書」を破って、香港の自治を蔑ろにしようとしている”とした上で、南シナ海における国際法を無視した一方的な海洋進出も看過できないと非難している。
同議員は更に、英国の安全保障を守るため、可及的速やかにファーウェイ製品を英国テレコミュニケーション・ネットワークから排除すべきだとも主張している。
一方、英国秘密情報部(MI6、1909年設立)の諜報・情報収集活動責任者だったナイジェル・インクスター氏(64歳、現在は国際戦略研究所上級顧問)は、ファーウェイ製品そのものが危険というより、これを利用して中国が5G先端技術で世界を席巻することになることを懸念しての対応が必要となっていると分析している。
また、オックスフォード大(1096年設立、英語圏最古の大学)の中国史専門のラナ・ミッター教授(51歳)は、新型コロナウィルス感染問題における中国当局の情報提供等への不満が積もり積もったことも、今回の安全保障問題を深刻に捉える気運となっているとみられるとする。
更に同教授は、これまで英国が“中国の全てを無批判に受け入れてきた”態度を改めて、中国が何をしようとしているのか必要に応じて対立することも辞さないで対応していく、という方針転換がなされたとも分析している。
一方、7月13日付英国『ザ・タイムズ』紙:「トランプ大統領補佐官、ファーウェイに関わる安全保障協議のため欧州訪問」
ロバート・オブライエン米大統領補佐官(54歳、米国家安全保障問題担当、ジョン・ボルトン氏後任)が7月13日、中国関係協議のためにパリを訪問する。
フランス政府とは、主として中国のファーウェイに関わる安全保障問題について討議する予定であるが、同地に3日間滞在中、英国の安全保障問題担当トップのマーク・セドウィック官房長官(55歳)も来訪して協議に参加する。
英国では7月14日、ジョンソン首相を議長とする国家安全保障会議(NSC)が開かれ、ファーウェイ製品の取り扱いについて討議されることになっている。
そこで、同大統領補佐官から同官房長官に対して、トランプ政権としての対中国、対ファーウェイ戦略について圧力がかけられるものとみられる。
ジョンソン首相は、米政権のみならず保守党議員らからも、ファーウェイ製品を通じて中国は英国のスパイ活動や妨害工作を仕掛けようとしていると脅されていて、明日のNSCにおいてファーウェイ製品締め出しの最終決定を行うよう迫られている。
閉じる
環境汚染問題二題(地球温暖化、海洋汚染)【米・英国メディア】
既報どおり、国連総会の一般討論で初めて演説するトランプ大統領が、パリ協定(気候変動対策協定)離脱をあくまで貫き通すのか、世界が注目している。そこで、パリ協定の根拠となった地球温暖化の進捗状況であるが、この程専門家が2000年以降のデータを再評価したところ、地球に壊滅的打撃を与える恐れとなる時期が20年程伸びる見通しとなったという。一方、環境活動家グループによる調査結果によると、プラスチックゴミ等による海洋汚染が増々深刻となっており、北太平洋上に浮遊するゴミの山は、今やフランスの面積に匹敵する程膨れ上がっているという。
9月19日付英
『ジ・インディペンデント』紙:「直近の再評価で、地球温暖化のスピードが以前の想定よりゆっくり進むとの見通し」
今週発行された科学雑誌
『ネイチャー・ジオサイエンス(注後記)』掲載のレポートによると、2015年時に評価したときより、地球に壊滅的打撃を与える恐れのある、産業革命前と比較して1.5℃以上となる地球温暖化が進むスピードは、20年程遅くなる見通しとなったという。
オックスフォード大のマイル・アレン教授(地球科学専門)及びユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマイケル・グラブ教授(国際エネルギー・気候変動専門)が共同で、2000年以降のデータを再評価した結果という。...
全部読む
9月19日付英
『ジ・インディペンデント』紙:「直近の再評価で、地球温暖化のスピードが以前の想定よりゆっくり進むとの見通し」
今週発行された科学雑誌
『ネイチャー・ジオサイエンス(注後記)』掲載のレポートによると、2015年時に評価したときより、地球に壊滅的打撃を与える恐れのある、産業革命前と比較して1.5℃以上となる地球温暖化が進むスピードは、20年程遅くなる見通しとなったという。
オックスフォード大のマイル・アレン教授(地球科学専門)及びユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマイケル・グラブ教授(国際エネルギー・気候変動専門)が共同で、2000年以降のデータを再評価した結果という。
『ザ・タイムズ』紙によると、グラブ教授は、2015年時の評価の基となったのは、世界の大学や政府機関の集積した10年前のデータであったが、今回は直近までのデータを踏まえて再評価したものだという。
それによると、産業革命前比較1.5℃上昇を抑えるため、2015年以降二酸化炭素発生量を700億トン削減する必要があるとしたが、今回の再評価では、2,400億トン発生しないと1.5℃には到達しない、言わば“二酸化炭素発生余量”が存在することになるとする。
アレン教授によれば、これはほぼ20年に相当し、また、グラブ教授は、海面上昇によって水没する恐れのある太平洋の島国にとっては朗報であるという。
なお、いずれにしても、二酸化炭素発生量を削減して、温暖化対策を講じることは必要不可欠な事実であるとする。
一方、9月18日付米『ザ・クォーツ』オンラインニュース:「大洋上のゴミの山がフランスに匹敵する大きさに肥大-環境活動家が警鐘を鳴らす意味でひとつの国家と認識すべきと主張」
コミュニティサイト『ラッドバイブル』によると、北太平洋に浮遊するゴミの山が、フランスの国土(編注;55万1,500平方キロメーター)に匹敵する程肥大化しているという。
そこで、環境活動家グループが同サイトにおいて、当該ゴミの山を国家に見立てて、通貨はもとよりパスポート(その全てに海洋汚染現状を示す挿図)を発行し、世界に海洋汚染の深刻さを訴えようとしている。これには、環境活動家で知られる、元米大統領選候補者のアル・ゴア氏も加わっている。
なお、同グループによると、プラスチックゴミは魚だけでなく、ミクロ粒子となって魚貝類に取り込まれるため、結果としてそれらを食する人体にも悪影響を及ぼすという。
また、このまま対策を講じないと、プラスチックゴミの総量は、2050年までには地球上の魚類総量を超えてしまう恐れがあるとする。
そして同サイトは、ゴミの山を国家と見立てるなどは愚かなことと思うならば、今やフランスの国土に匹敵する程ゴミの山が肥大化している現実を直視し、出来うる対策について真剣に考えて欲しい、と結んでいる。
(注)ネイチャー・ジオサイエンス:2008年1月創刊の、査読科学月刊誌。1869年に創刊された、世界最古の査読科学週刊誌『ネイチャー』を発行する英ネイチャー・パブリッシング・グループが発行元。
閉じる
その他の最新記事