3月29日付米
『CBSニュース』:「ナワルニー氏、ほんの軽微なルール違反で“ほぼ拷問”の独房に閉じ込められると告発」
野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏はこの程、投獄中の刑務所で、例えば決められた時間より僅か数分早く起床しただけで、“ほぼ拷問”に等しい独房に閉じ込められる恐れがあると告発した。
同氏は、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)にとって最大の政敵とされていて、毒殺未遂事件の被害に遭ってドイツで治療を受けていたが、1月中旬に帰国したところ、かつて有罪とされた執行猶予下、その保釈条件を破って出頭しなかった罪で、2年半の有罪判決を受けて投獄されてしまった。
同氏は今月初め、モスクワ市内の刑務所から、60マイル(約96キロメートル)郊外にある、流刑地との悪名のある刑務所に移されている。
そして3月29日に彼の代理人が投稿したインスタグラムで、同刑務所の刑務官から、取るに足らないルール違反を犯しただけで、独房に閉じ込められると脅されていると告発したものである。
軽微とするルール違反とは、刑務所で決められた朝の起床時間より10分早く起きたとか、代理人弁護士と接見する際にTシャツを着用していたとか、また、朝の全体体操に参加することを拒否した等であるという。
また同氏は、毎夜、看守から点呼と称して1時間ごとに起こされ、正に拷問を受けているようなものだとも訴えている。
更に、代理人弁護士によると、(軽微な違反に対する)度重なるけん責処分によって、同氏の早期仮出所が認められなくなる恐れがあるとする。
一方、同氏の家族及び支持者が先週リリースした声明によると、同氏は背中と右足に異常を来しているが、当局は適切な治療を受けさせないという。
また、ロシア国内の刑務所の状況をチェックしている準公的機関のロシア公共監視委員会委員によると、3月26日に同氏と面会した際、痛みを和らげるため、抗炎症薬のジアロフェナク(解熱・鎮痛薬)の注射を要求していると話していたという。
なお、米国、欧州連合(EU)他多くの西側諸国が、プーチン政権に対してナワルニー氏の早期釈放を求めているが、同政権は、内政干渉だとして一蹴している。
同日付英国『ザ・タイムズ』紙:「ナワルニー氏、政権主導による刑務所での罰や拷問を非難」
ナワルニー氏は3月29日、フェイスブックとインスタグラム上で、投獄されている刑務所で、拷問相当の扱いや軽微な刑務所ルールの違反行為に伴い独房に放り込まれるとの脅しを受けていると告発した。
同氏は目下、モスクワ東方の悪名高いポクロフ第2流刑地に投獄されている。
同氏は、過去有罪判決を受けた横領罪で仮釈放中であったが、出頭命令違反を理由に2年半の有罪判決が確定している。
しかし、同氏は当該横領罪自体が政略的に行われたものと非難しているが、この程投獄されている同流刑地の4週間で、軽微な違反事項に対して、看守からの6度含めて、合計10度のけん責処分を同所刑務官から言い渡されていると強調した。
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米国大統領は過去40年間、就任早々に中東の同盟国イスラエル首脳に就任挨拶の電話をかけるのが慣例になっていた。しかし、ジョー・バイデン新大統領(78歳)は、極端にイスラエル寄り政策を取って反って中東を混乱に陥れた前任者に抗うかのように、就任後23日経っても電話連絡を入れようとしていない。
2月12日付米
『ワシントン・フリー・ビーコン』オンラインニュース(2012年設立の保守系メディア):「バイデン新大統領、40年振りにイスラエルに背を向ける対応」
ジョー・バイデン大統領は、40年振りに中東の雄であるイスラエルに対して背を向ける対応を取ろうとしている。
すなわち、歴代大統領は、就任以来かなり早い段階で、イスラエル首脳に対して就任挨拶の電話をかけてきているが、同大統領は、就任後23日も経つのに一向に電話をかけようとしていないため、今後4年間、米・イスラエル関係が冷え込むことを暗示している。
同大統領は、宿敵とされるウラジーミル・プーチン大統領(68歳)や習近平国家主席(67歳)含めて主要10ヵ国の首脳と既に電話会談を実施しているにも拘らず、今回の対応は直近40年の米大統領史で特筆すべきことになっている。
これまでの歴代大統領の対応は以下であった。
●ロナルド・レーガン(1981~1989年在任の第40代共和党大統領):就任後1週間以内に電話会談を行っただけでなく、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官(1973~1977年在任)を訪問させて、米・イスラエル関係盤石化をアピール。
●ジョージ・H.W.・ブッシュ(1989~1993年在任の第41代共和党大統領):就任後5日目の1月25日、イツハク・シャミル首相(1986~1992年在任の第10代首相)と電話会談。
●ビル・クリントン(1993~2001年在任の第42代民主党大統領):就任後3日目の1月23日にイツハク・ラビン首相(1992~1995年在任の第11代首相)と電話会談。
●ジョージ・W.・ブッシュ(2001~2009年在任の第43代共和党大統領):1月27日にエフード・バラック首相(1999~2001年在任の第14代首相)に電話をかけ、米・イスラエル同盟関係支持を表明。
●バラク・オバマ(2009~2017年在任の第44代民主党大統領):就任当日の1月20日、エフード・オルメルト首相(2006~2009年在任の第16代首相)と同時にパレスチナ自治政府のサラーム・ファイヤード首相(2007~2013年在任の第5代首相)にも電話をかけ、中東和平の道を模索。但し、両政府の直接交渉は2014年に破綻。
●ドナルド・トランプ(2017~2021年在任の第45代共和党大統領):ベンヤミン・ネタニヤフ首相(2009年就任の第17代首相)を就任直後の1月22日、ホワイトハウスに招き入れ、イスラエル偏重の姿勢を顕示。
今回、バイデン大統領がイスラエルに対して頑なな対応に出ている背景には、若い時代に反イスラエル運動を展開していたメイハー・バイター氏を国家安全保障会議諜報担当トップに任命したことや、同じくイスラエル非難派のロバート・マレー氏(57歳)を国務省イラン特命全権公使に据えたことが挙げられる。
また、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官(42歳)は2月12日の記者会見で、同大統領がいつイスラエル首相に電話をかけるのか、あるいは電話もしないのかについて明らかにしなかったばかりか、ホワイトハウスはイスラエルを同盟国の中に入れていないとまで表明している。
同大統領の対応に対して、野党・共和党議員は一斉に反発している。
まず、下院外交委員会(HFAC)委員のマーク・グリーン議員(56歳、テネシー州選出)は2月11日、『ワシントン・フリー・ビーコン』のインタビューに答えて、“10ヵ国余りの主要国首脳に電話をかけているのに、何故イスラエルには電話しないのか理解できない”とした上で、“イスラエルは、米国含めて、世界のどの国からも尊敬される国だ”と強調した。
また、同じくHFAC委員のロニー・ジャクソン議員(53歳、テキサス州選出)も、“米・イスラエル関係は、数えきれない程の理由から、国家安全保障上不可欠なものとなっている”とした上で、“民主党極左グループの意見は無視して、可及的速やかにネタニヤフ首相に電話をするよう強く求める”と主張している。
一方、2月14日付イスラエル『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』紙(2012年創刊の英字紙):「イスラエル大使、バイデン大統領からの電話がなくともネタニヤフ首相は動揺せずと表明」
駐米イスラエル大使のジラード・アーダン氏(50歳)は2月13日、イスラエルの『チャンネル12』(2017年設立)のインタビューに答えて、バイデン新大統領は目下新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題や経済等の国内問題に注力している最中であるので、“大統領から電話での就任挨拶がなくとも、ネタニヤフ首相は全く困惑していない”と語った。
メディア等でバイデン大統領がイスラエル首相に電話をしていないことで、いろいろ噂が立っているが、イスラエル首相も米高官もその一切を否定している。
ホワイトハウスは2月12日、3週間経ってもイスラエル首相に電話しないことで意図的に同首相を嘲っているという話を全面否定した。
事実、同大統領はこれまで、中東のどの首脳とも電話会談をしていない。
2月12日の記者会見で、ホワイトハウスのサキ報道官は、“いつとは言えないが、大統領はネタニヤフ首相に電話をかける意図を持っている”とし、“米・イスラエルは長く大切な関係にある”と明言している。
同首相とバイデン大統領とは、数十年続く長年の知己である。
また、同大統領は、上院また副大統領時代を通して、長い間イスラエルを温かく支持してきている。
実際、昨年11月の大統領選で当選後まもなく、同氏からネタニヤフ首相に電話が入っている。
なお、バイデン新政権のアントニー・ブリンケン国務長官(58歳)、ロイド・オースティン国防長官(67歳)、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当、44歳)は既にイスラエル側高官と会談しており、また、米中央軍(中東全域及び中央アジア一部を管轄)のケネス・マッケンジー・ジュニア司令官はイスラエル訪問済みである。
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