中央アジアのキルギスの大統領選で、一時収監されていた野党勢力代表が圧倒的勝利【米・キルギスメディア】
中央アジアのキルギス(1991年ソ連邦から独立)は、歴史及び地政学的関係より親ロ・親中の国である。綿花・タバコなどの農業及び金・水銀などの鉱業に拠っている。しかし、2005年発生のチューリップ革命(注後記)に代表されるように、独裁政権を営む大統領が次々に反政府運動で退陣させられる程、政治活動が活発な国である。そしてこの程、2017年から収監されていた野党勢力代表が、2020年10月の議会選挙が不正とされて現職大統領の退陣に伴って行われた大統領選挙で、圧倒的多数の票を獲得して当選した。
1月10日付米
『AP通信』:「一時収監されていた野党勢力代表がキルギス大統領選に勝利」
一時は有罪判決を受けて収監されていた野党勢力代表が、1月10日に実施されたキルギス大統領選で勝利した。
昨年10月に実施された議会選挙が不正とされて、ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領(62歳)が辞任に追い込まれたために実施された選挙で、同時期に釈放されたばかりのサディル・ジャパロフ民族主義党首(52歳)が79%の得票率で当選した。...
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1月10日付米
『AP通信』:「一時収監されていた野党勢力代表がキルギス大統領選に勝利」
一時は有罪判決を受けて収監されていた野党勢力代表が、1月10日に実施されたキルギス大統領選で勝利した。
昨年10月に実施された議会選挙が不正とされて、ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領(62歳)が辞任に追い込まれたために実施された選挙で、同時期に釈放されたばかりのサディル・ジャパロフ民族主義党首(52歳)が79%の得票率で当選した。
同党首は2017年、2013年に起きた地方政府知事誘拐事件の首謀者と認定され、有罪判決を受けていたが、支持者勢力によって昨年10月に解放されてから、ジェーンベコフ大統領を辞任に追い込む反政府運動の陣頭指揮を執っていた。
キルギスでは、住民蜂起による政変が2005年、2010年にも発生している。
昨年10月で3度目となる政変では、元々同系列であった民族主義政党間で起こったものである。
大統領選に大勝利を収めたジャパロフ氏は、同時に行われた、大統領の権限を強化するかどうかの国民投票で多くの支持票を獲得したことから、この結果を踏まえた憲法改正承諾を求める再度の国民投票を推し進める意向である。
この試みが成功すれば、これまで議会が有していた多くの権限を大統領が引き継ぐことが可能となる。
なお、キルギスは、ロシアが主導するユーラシア経済同盟(2015年発足、加盟6ヵ国)の加盟国であり、カント基地(首都ビシュケク郊外)にロシア軍の駐留を認めていて、ロシアからの経済支援に大きく依存している。
ただ、ロシア政府は今回、キルギスにおける政変に懸念を表していたが、どの大統領選候補
を支持するかは明らかにしていなかった。
1月11日付キルギス『ザ・タイムズ・オブ・セントラル・アジア』(1999年創刊の英字紙):「ジャパロフ氏が大統領選に当選」
1月10日実施の大統領選で当選を果たしたジャパロフ氏は、今後汚職撲滅に最優先に取り組み、また、“開示性”及び“透明性”を持たせて政策を実行して行くと誓った。
同氏は、“過去30年間、国の至る所で汚職が蔓延してきたが、これからは過去の政府が犯したような間違いを繰り返さない”とした上で、“この国の将来のため、選挙戦を戦った他の候補者(合計16名)とも協力していく”と強調した。
なお、大統領選と同時に行われた国民投票で、大統領に権限を戻すことに80%以上が賛同し、現行の議会の権限維持を支持したのは僅か10.8%であった。
この結果を踏まえて、憲法評議会が今後改正憲法草案作成に取り掛かり、3月に再度の国民投票が行われ、当該改正憲法の賛否が問われることになる。
(注)チューリップ革命:2005年初めに行われたキルギス議会選挙での不正糾弾に端を発し、後に同国初代大統領アスカル・アカエフ(76歳)を辞任に追い込んだ事件。花を冠した表現は、暴力を伴わなかったその他の出来事-1989年チェコスロヴァキアのビロード革命、2003年グルジア(現ジョージア)のバラ革命、2004年に起きたウクライナのオレンジ革命-を連想させるために作られたもの。
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日本・インド;隔年実施の両国合同軍事演習を実行して対中国牽制協力を確認【米・インドメディア】
日本とインドは、2008年に日印安全保障共同宣言に署名(麻生太郎首相とマンモハン・シン首相)して以降、2012年には海上自衛隊・インド海軍による共同軍事演習(JIMEX)を初めて行い、その後隔年に実施している。そしてこの程、JIMEX 2020をアラビア海(インド洋北方)で行い、対中国牽制で協力していくことを再確認している。
9月28日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「日本とインド、アラビア海で共同軍事演習実施」
海上自衛隊とインド海軍は9月26~28日の間、アラビア海においてJIMEX 2020を実施した。
『ザ・タイムズ・オブ・インディア』(1838年創刊)によれば、第4回目となる二国間共同軍事演習JIMEXは2012年から続けられていて、今回の訓練によって、強大化する中国を睨み、両国間の国防協力が更に強化されたという。...
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9月28日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「日本とインド、アラビア海で共同軍事演習実施」
海上自衛隊とインド海軍は9月26~28日の間、アラビア海においてJIMEX 2020を実施した。
『ザ・タイムズ・オブ・インディア』(1838年創刊)によれば、第4回目となる二国間共同軍事演習JIMEXは2012年から続けられていて、今回の訓練によって、強大化する中国を睨み、両国間の国防協力が更に強化されたという。
同訓練には、海上自衛隊からヘリコプター搭載護衛艦“かが”、ミサイル駆逐艦“いかづち”が、
インド海軍からはステルス型駆逐艦、ステルス型フリゲート艦、補給艦が参加しており、更に両国のヘリコプター・戦闘機・偵察機等が加わっている。
両国は、6月下旬にもマラッカ海峡で巡航訓練を実施しているが、同月半ばには、正にインドと中国両軍がラダック(ヒマラヤ山脈西部の国境付近)において軍事衝突を起こしていた。
また、9月9日には、日印両国にオーストラリアを加えた三ヵ国間兵站協定(物資の配給や 整備、兵員の展開や衛生、施設の構築や維持等の協力)に合意している。
更に、日本は2015年より、米印共同軍事演習マラバル(1992年開始の演習)に正式参加している。
このようにして日本とインドは、機会あるごとに連携して、国防協力を実施してきており、そこには常に中国に対峙するという共通の意思が認められる。
特に、安倍晋三首相が第1次政権を執っていた2007年、インド議会において“両海の合流”と題した演説を行い、インド洋と太平洋を結び付けた共同開発を提唱したことから、インド側は大いに感迎した。
そして、同首相は第2次政権を執ってからの2014年9月、ナレンドラ・モディ首相が就任するや否やインドを再訪し、両国関係の強化を訴えている。
この程、同首相が辞任したことにインド側も落胆しているが、後任の菅義偉新首相も、安倍政権で官房長官として執務していたこと、更に、安倍政権の政策を基本的に踏襲すると意思表明していることから、インド側としても今後に期待している。
ただ、日本側にとっては、特に防衛装備品の対印ビジネスが余りうまくいっていないことが不満であるとみられる。
例えば、新明和工業製US-2水陸両用機について、9年間も協議を続けているのに未だ成約に至っていない。
また、日本側この程、インド海軍のプロジェクト75-I(通常動力型潜水艦6隻の新建造計画)から撤退している。
9月27日付インド『ザ・タイムズ・オブ・インディア』:「インド・日本両国によるJIMEX 2020がアラビア海で開始」
インドと日本両国の海軍の連携強化を目的としたJIMEX 2020が、9月26日から3日間にわたってアラビア海で開始した。
これは2012年に始められて以降、隔年に実施されている。
インド海軍からは、クリシナ・スワミナサン少将の指揮の下、最新鋭のステルス型駆逐艦“チェンナイ”、同じくステルス型フリゲート艦“タルカシュ”、補給艦“ディパック”が参加している。
海上自衛隊からは、今野泰樹海将補の指揮の下、ヘリコプター搭載護衛艦“かが”、ミサイル駆逐艦“いかづち”が参加している。
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