日本・インド;隔年実施の両国合同軍事演習を実行して対中国牽制協力を確認【米・インドメディア】(2020/09/29)
日本とインドは、2008年に日印安全保障共同宣言に署名(麻生太郎首相とマンモハン・シン首相)して以降、2012年には海上自衛隊・インド海軍による共同軍事演習(JIMEX)を初めて行い、その後隔年に実施している。そしてこの程、JIMEX 2020をアラビア海(インド洋北方)で行い、対中国牽制で協力していくことを再確認している。
9月28日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「日本とインド、アラビア海で共同軍事演習実施」
海上自衛隊とインド海軍は9月26~28日の間、アラビア海においてJIMEX 2020を実施した。
『ザ・タイムズ・オブ・インディア』(1838年創刊)によれば、第4回目となる二国間共同軍事演習JIMEXは2012年から続けられていて、今回の訓練によって、強大化する中国を睨み、両国間の国防協力が更に強化されたという。...
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9月28日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「日本とインド、アラビア海で共同軍事演習実施」
海上自衛隊とインド海軍は9月26~28日の間、アラビア海においてJIMEX 2020を実施した。
『ザ・タイムズ・オブ・インディア』(1838年創刊)によれば、第4回目となる二国間共同軍事演習JIMEXは2012年から続けられていて、今回の訓練によって、強大化する中国を睨み、両国間の国防協力が更に強化されたという。
同訓練には、海上自衛隊からヘリコプター搭載護衛艦“かが”、ミサイル駆逐艦“いかづち”が、
インド海軍からはステルス型駆逐艦、ステルス型フリゲート艦、補給艦が参加しており、更に両国のヘリコプター・戦闘機・偵察機等が加わっている。
両国は、6月下旬にもマラッカ海峡で巡航訓練を実施しているが、同月半ばには、正にインドと中国両軍がラダック(ヒマラヤ山脈西部の国境付近)において軍事衝突を起こしていた。
また、9月9日には、日印両国にオーストラリアを加えた三ヵ国間兵站協定(物資の配給や 整備、兵員の展開や衛生、施設の構築や維持等の協力)に合意している。
更に、日本は2015年より、米印共同軍事演習マラバル(1992年開始の演習)に正式参加している。
このようにして日本とインドは、機会あるごとに連携して、国防協力を実施してきており、そこには常に中国に対峙するという共通の意思が認められる。
特に、安倍晋三首相が第1次政権を執っていた2007年、インド議会において“両海の合流”と題した演説を行い、インド洋と太平洋を結び付けた共同開発を提唱したことから、インド側は大いに感迎した。
そして、同首相は第2次政権を執ってからの2014年9月、ナレンドラ・モディ首相が就任するや否やインドを再訪し、両国関係の強化を訴えている。
この程、同首相が辞任したことにインド側も落胆しているが、後任の菅義偉新首相も、安倍政権で官房長官として執務していたこと、更に、安倍政権の政策を基本的に踏襲すると意思表明していることから、インド側としても今後に期待している。
ただ、日本側にとっては、特に防衛装備品の対印ビジネスが余りうまくいっていないことが不満であるとみられる。
例えば、新明和工業製US-2水陸両用機について、9年間も協議を続けているのに未だ成約に至っていない。
また、日本側この程、インド海軍のプロジェクト75-I(通常動力型潜水艦6隻の新建造計画)から撤退している。
9月27日付インド『ザ・タイムズ・オブ・インディア』:「インド・日本両国によるJIMEX 2020がアラビア海で開始」
インドと日本両国の海軍の連携強化を目的としたJIMEX 2020が、9月26日から3日間にわたってアラビア海で開始した。
これは2012年に始められて以降、隔年に実施されている。
インド海軍からは、クリシナ・スワミナサン少将の指揮の下、最新鋭のステルス型駆逐艦“チェンナイ”、同じくステルス型フリゲート艦“タルカシュ”、補給艦“ディパック”が参加している。
海上自衛隊からは、今野泰樹海将補の指揮の下、ヘリコプター搭載護衛艦“かが”、ミサイル駆逐艦“いかづち”が参加している。
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英中関係;5年前の蜜月時代に比べて今や最悪【米・英国メディア】(2020/07/13)
英中関係は、ほんの5年前は“黄金期”に入ったと両国首脳がパブで祝杯を挙げる程蜜月だった。しかし、英国では当時の保守党政権と同じであるが、今や英中関係は最悪に陥っている。それは、ボリス・ジョンソン現首相(56歳、第77代)が、中国と何かと対峙しているドナルド・トランプ大統領(74歳、第45代)を信奉していることから、米国に追随するかのように香港治安問題や第5世代移動通信システム(5G)政策で中国との対立を先鋭化しているからである。
7月12日付米
『AP通信』:「英中関係がファーウェイ、香港問題で凍結状態」
僅か5年前、当時のデビッド・キャメロン首相(現53歳、第75代)は、英中関係は“黄金期”を迎えているとして、両国間の数十億ドル(数千億円)規模の通商協定締結を祝って、当時訪英中の習近平(シー・チンピン)国家主席とパブで祝杯を挙げる程であった。
しかし、それは今や遥か昔の光景となっている。
何故なら、同じ保守党政権でありながら、現在のボリス・ジョンソン首相は、中国が香港国家安全維持法を制定して、かつての宗主国の英国と交わした自由・民主主義を支持するとの約束を反故にしたことに反発して、香港から避難してくる数百万人に英国ビザを与えると発表したからである。...
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7月12日付米
『AP通信』:「英中関係がファーウェイ、香港問題で凍結状態」
僅か5年前、当時のデビッド・キャメロン首相(現53歳、第75代)は、英中関係は“黄金期”を迎えているとして、両国間の数十億ドル(数千億円)規模の通商協定締結を祝って、当時訪英中の習近平(シー・チンピン)国家主席とパブで祝杯を挙げる程であった。
しかし、それは今や遥か昔の光景となっている。
何故なら、同じ保守党政権でありながら、現在のボリス・ジョンソン首相は、中国が香港国家安全維持法を制定して、かつての宗主国の英国と交わした自由・民主主義を支持するとの約束を反故にしたことに反発して、香港から避難してくる数百万人に英国ビザを与えると発表したからである。
更に同首相は、同盟国の米国から提案された、安全保障を脅かす中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、1987年設立)の5Gシステム導入を取り止めようとしている。
かかる動きに対して、中国高官からは、もし英国が中国を“敵国”扱いし、また、ファーウェイ製品の締め出しを決定するならば、中国はそれ相応の“対応”をすることになると脅す発言が出されている。
これに対して、元保守党々首のイアン・ダンカン・スミス下院議員(66歳)は、“中国こそが、香港返還に当たって両国で交わした「英中間覚書」を破って、香港の自治を蔑ろにしようとしている”とした上で、南シナ海における国際法を無視した一方的な海洋進出も看過できないと非難している。
同議員は更に、英国の安全保障を守るため、可及的速やかにファーウェイ製品を英国テレコミュニケーション・ネットワークから排除すべきだとも主張している。
一方、英国秘密情報部(MI6、1909年設立)の諜報・情報収集活動責任者だったナイジェル・インクスター氏(64歳、現在は国際戦略研究所上級顧問)は、ファーウェイ製品そのものが危険というより、これを利用して中国が5G先端技術で世界を席巻することになることを懸念しての対応が必要となっていると分析している。
また、オックスフォード大(1096年設立、英語圏最古の大学)の中国史専門のラナ・ミッター教授(51歳)は、新型コロナウィルス感染問題における中国当局の情報提供等への不満が積もり積もったことも、今回の安全保障問題を深刻に捉える気運となっているとみられるとする。
更に同教授は、これまで英国が“中国の全てを無批判に受け入れてきた”態度を改めて、中国が何をしようとしているのか必要に応じて対立することも辞さないで対応していく、という方針転換がなされたとも分析している。
一方、7月13日付英国『ザ・タイムズ』紙:「トランプ大統領補佐官、ファーウェイに関わる安全保障協議のため欧州訪問」
ロバート・オブライエン米大統領補佐官(54歳、米国家安全保障問題担当、ジョン・ボルトン氏後任)が7月13日、中国関係協議のためにパリを訪問する。
フランス政府とは、主として中国のファーウェイに関わる安全保障問題について討議する予定であるが、同地に3日間滞在中、英国の安全保障問題担当トップのマーク・セドウィック官房長官(55歳)も来訪して協議に参加する。
英国では7月14日、ジョンソン首相を議長とする国家安全保障会議(NSC)が開かれ、ファーウェイ製品の取り扱いについて討議されることになっている。
そこで、同大統領補佐官から同官房長官に対して、トランプ政権としての対中国、対ファーウェイ戦略について圧力がかけられるものとみられる。
ジョンソン首相は、米政権のみならず保守党議員らからも、ファーウェイ製品を通じて中国は英国のスパイ活動や妨害工作を仕掛けようとしていると脅されていて、明日のNSCにおいてファーウェイ製品締め出しの最終決定を行うよう迫られている。
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