環境汚染問題二題(地球温暖化、海洋汚染)【米・英国メディア】(2017/09/19)
既報どおり、国連総会の一般討論で初めて演説するトランプ大統領が、パリ協定(気候変動対策協定)離脱をあくまで貫き通すのか、世界が注目している。そこで、パリ協定の根拠となった地球温暖化の進捗状況であるが、この程専門家が2000年以降のデータを再評価したところ、地球に壊滅的打撃を与える恐れとなる時期が20年程伸びる見通しとなったという。一方、環境活動家グループによる調査結果によると、プラスチックゴミ等による海洋汚染が増々深刻となっており、北太平洋上に浮遊するゴミの山は、今やフランスの面積に匹敵する程膨れ上がっているという。
9月19日付英
『ジ・インディペンデント』紙:「直近の再評価で、地球温暖化のスピードが以前の想定よりゆっくり進むとの見通し」
今週発行された科学雑誌
『ネイチャー・ジオサイエンス(注後記)』掲載のレポートによると、2015年時に評価したときより、地球に壊滅的打撃を与える恐れのある、産業革命前と比較して1.5℃以上となる地球温暖化が進むスピードは、20年程遅くなる見通しとなったという。
オックスフォード大のマイル・アレン教授(地球科学専門)及びユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマイケル・グラブ教授(国際エネルギー・気候変動専門)が共同で、2000年以降のデータを再評価した結果という。...
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9月19日付英
『ジ・インディペンデント』紙:「直近の再評価で、地球温暖化のスピードが以前の想定よりゆっくり進むとの見通し」
今週発行された科学雑誌
『ネイチャー・ジオサイエンス(注後記)』掲載のレポートによると、2015年時に評価したときより、地球に壊滅的打撃を与える恐れのある、産業革命前と比較して1.5℃以上となる地球温暖化が進むスピードは、20年程遅くなる見通しとなったという。
オックスフォード大のマイル・アレン教授(地球科学専門)及びユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマイケル・グラブ教授(国際エネルギー・気候変動専門)が共同で、2000年以降のデータを再評価した結果という。
『ザ・タイムズ』紙によると、グラブ教授は、2015年時の評価の基となったのは、世界の大学や政府機関の集積した10年前のデータであったが、今回は直近までのデータを踏まえて再評価したものだという。
それによると、産業革命前比較1.5℃上昇を抑えるため、2015年以降二酸化炭素発生量を700億トン削減する必要があるとしたが、今回の再評価では、2,400億トン発生しないと1.5℃には到達しない、言わば“二酸化炭素発生余量”が存在することになるとする。
アレン教授によれば、これはほぼ20年に相当し、また、グラブ教授は、海面上昇によって水没する恐れのある太平洋の島国にとっては朗報であるという。
なお、いずれにしても、二酸化炭素発生量を削減して、温暖化対策を講じることは必要不可欠な事実であるとする。
一方、9月18日付米『ザ・クォーツ』オンラインニュース:「大洋上のゴミの山がフランスに匹敵する大きさに肥大-環境活動家が警鐘を鳴らす意味でひとつの国家と認識すべきと主張」
コミュニティサイト『ラッドバイブル』によると、北太平洋に浮遊するゴミの山が、フランスの国土(編注;55万1,500平方キロメーター)に匹敵する程肥大化しているという。
そこで、環境活動家グループが同サイトにおいて、当該ゴミの山を国家に見立てて、通貨はもとよりパスポート(その全てに海洋汚染現状を示す挿図)を発行し、世界に海洋汚染の深刻さを訴えようとしている。これには、環境活動家で知られる、元米大統領選候補者のアル・ゴア氏も加わっている。
なお、同グループによると、プラスチックゴミは魚だけでなく、ミクロ粒子となって魚貝類に取り込まれるため、結果としてそれらを食する人体にも悪影響を及ぼすという。
また、このまま対策を講じないと、プラスチックゴミの総量は、2050年までには地球上の魚類総量を超えてしまう恐れがあるとする。
そして同サイトは、ゴミの山を国家と見立てるなどは愚かなことと思うならば、今やフランスの国土に匹敵する程ゴミの山が肥大化している現実を直視し、出来うる対策について真剣に考えて欲しい、と結んでいる。
(注)ネイチャー・ジオサイエンス:2008年1月創刊の、査読科学月刊誌。1869年に創刊された、世界最古の査読科学週刊誌『ネイチャー』を発行する英ネイチャー・パブリッシング・グループが発行元。
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米・英・フランス・イスラエルメディア;イスラエル、国連非難決議採択に猛反発(2016/12/27)
既報のとおり、オバマ大統領は、自身の政策を批評してきたトランプ次期大統領の就任前でも、ロシアによる大統領選時のサイバー攻撃についてプーチン大統領を名指しで非難したりと、退任直前まで自身の政策を貫徹しようとしている。そしてこの程、国連安全保障理事会に提議されたイスラエル非難決議についても、従来のイスラエル擁護の立場上の“拒否権発動”を止め、“棄権”したことから、賛成多数で同非難決議採択を許した。当然のことながら、トランプ氏はもとより、イスラエルのネタニヤフ首相も猛反発している。
12月25日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「イスラエル、ネタニヤフ氏がオバマ氏を非難したのに続いて、駐イスラエル米大使を召還」
「●イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は12月25日、国連安全保障理事会に提議されたイスラエル非難決議について、米国代表が棄権したために同決議が採択されたことに対して、オバマ政権に猛抗議。
●国連安保理は12月23日、イスラエルのウェストバンク(編注;ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区)への入植活動を即時停止するよう求める決議が、安保理メンバー14ヵ国の賛成多数で採択。...
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12月25日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「イスラエル、ネタニヤフ氏がオバマ氏を非難したのに続いて、駐イスラエル米大使を召還」
「●イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は12月25日、国連安全保障理事会に提議されたイスラエル非難決議について、米国代表が棄権したために同決議が採択されたことに対して、オバマ政権に猛抗議。
●国連安保理は12月23日、イスラエルのウェストバンク(編注;ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区)への入植活動を即時停止するよう求める決議が、安保理メンバー14ヵ国の賛成多数で採択。
●これを受けてイスラエル政府は、駐イスラエルのダニエル・シャピロ米大使を召還した他、同決議に賛同した安保理メンバー10ヵ国(日・中・英・仏・ロ・アンゴラ・エジプト・スペイン・ウクライナ・ウルグアイ)の大使も召喚。
●更にネタニヤフ首相は閣僚会議の席上、オバマ政権はこれまでの米・イスラエル関係を無視し、反イスラエル勢力と結託して、今回の非難決議を採択せしめたものだとコメント。
●なお、国際人権監視団体によると、ウェストバンクでイスラエルが進めた入植地建設地域に、イスラエル人が既に50万人以上居住。」
同日付英
『ザ・サン』紙:「イスラエル、国連安保理の非難決議に反発して国連への拠出金停止措置」
「●ネタニヤフ首相は、親イスラエルのトランプ氏が大統領就任前に、オバマ政権が裏で操った“恥ずべき”決議だと猛反発。
●その上で同首相は、イスラエルの国連との関係を見直す必要があるとして、同国の国連機関宛拠出金約3,000万シェケル(630万ポンド、約9億円)の支払い停止を指示。
●更に、同非難決議案を共同提議したニュージーランドとセネガルに駐在するイスラエル大使を召還した上で、セネガルに対しては開発援助金の拠出を停止すると発表。」
同日付フランス
『AFP通信』:「ネタニヤフ氏、国連決議案に棄権したことに抗議して駐イ
スラエル米大使を召喚」
「●米国は1979年以降、イスラエルの入植地建設問題について拒否権を行使してきたが、今回の非難決議に対して初めて(拒否権を行使せず)棄権。
●同決議案は、ウェストバンク及び東エルサレムのパレスチナ自治区におけるイスラエル入植地建設は“違法行為”であるので、即時中止を求めるとの内容。
●今回の決議では国連による制裁条項は含まれていないが、イスラエル高官は、(入植地建設について)国際刑事裁判所に提訴される可能性があることと、何ヵ国かが個別の制裁を科す動きに出ることを憂慮。
●一方、国連決議直前までイスラエル支援に動いていたドナルド・トランプ次期大統領は、“国連については、(大統領に就任する)1月20日以降事態は変わる”とツイート。」
12月26日付イスラエル
『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』オンラインニュース:「国連
決議採択はオバマ政権の差し金との“確かな情報”があるとイスラエル高官発言」
「●イスラエル首相府のデイビッド・キース報道官は12月25日、今回の国連安保理のイスラエル非難決議採択に当っては、オバマ政権の差し金があったとの“確かな情報”があるとコメント。
●これに対して米大統領府のベン・ローズ副補佐官(国家安全保障担当)は、イスラエルの抗議内容は全く事実無根のことで、ただ、イスラエルの入植地建設問題は看過できない程になっており、(決議案に対して)拒否権を発動することはできないと判断したと表明。
●ネタニヤフ首相は12月25日、召喚したシャピロ米大使と40分余り面談し、米国の今回の対応について詰問。
●同首相はこれに先立ち、非難決議採択に賛成した12ヵ国の安保理メンバー国の駐イスラエル大使も召喚して同様に詰問。
●更に同首相は12月24日、(賛成票を投じた)ウクライナのヴォロディーミル・フロイスマン首相のイスラエル訪問受け入れを直前キャンセル。」
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