コロナ禍で人身売買増加、米国務省(2021/07/02)
米国務省が1日、人身売買に関する各国の対策状況をまとめた年次報告書を発表。今年の報告書では、中国が国民に強制労働を強いている点や、コロナ禍の問題も指摘されている。
7月1日付米国
『CNN』は「コロナ禍で人身売買のリスクが増加、米国務省報告書」との見出しで以下のように報道している。
米国務省が1日発表した人身売買に関する報告書によると、世界的流行となった新型コロナウイルスの影響により社会経済上、人身売買利用への動きが高まりリスクが増したという。また、コロナ禍では人身売買対策がなおざりとなり、被害者保護や支援対策が減り、予防対策も手薄となり、取り調べや起訴にも影響があったという。...
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7月1日付米国
『CNN』は「コロナ禍で人身売買のリスクが増加、米国務省報告書」との見出しで以下のように報道している。
米国務省が1日発表した人身売買に関する報告書によると、世界的流行となった新型コロナウイルスの影響により社会経済上、人身売買利用への動きが高まりリスクが増したという。また、コロナ禍では人身売買対策がなおざりとなり、被害者保護や支援対策が減り、予防対策も手薄となり、取り調べや起訴にも影響があったという。
ブリンケン国務長官は、「多くの地域で政府が資源をコロナ対策に回したのを機に、人身売買活動が活発化していった。弱い立場の人々が搾取される経済状態となった上、職場や学校でもネット利用者が増えたことでネットを介し被害者のリクルートが行なわれていった。コロナ禍を早く修復するのが急務だ」等としている。
また報告書では、「過激派グループや白人至上主義者が人身売買を募るため誤ったメッセージを拡散、組織的レイシズムが米国内外の人身売買と関係している。人身売買をなくすには、組織的人種差別や性差別などの差別を無くし、様々な側面から公平な社会を築く対策が必要だ」とし、誤情報の拡大阻止が急務だとしている。
報告書では人身売買被害者保護法(TVPA)を基準に、昨年4月から今年3月までの各国の対策状況をまとめている。17カ国が基準を満たしていないとする「カテゴリー3」に分類され、アフガニスタン、中国、キューバ、イラン、ニカラグア、北朝鮮、ロシア、シリア、ベネズエラ等が含まれる。また、トルコ(NATO加盟国では初)を含む15カ国が、少年兵防止法に違反し、児童を徴兵する政府軍や治安部隊を持つ国としている。更に、人身売買に政府自らが関与した国に11カ国を指定し、ウイグル族などの少数民族を強制労働させたとする中国政府もここに含まれる。
コロナ禍では経済社会的低迷により弱い立場にある人々のリスクが増幅した。これには女性や子どもや、渡航制限やステイホーム指示で影響を受けた人々、食糧事情が不安定な地域の人々、人身売買のサバイバーなども含まれる。
同日付仏『フランス24』(AFP通信引用)は「新型コロナが人身売買に都合の良い環境を作った」との見出しで以下のように報道している。
米国は、パンデミックにより各国政府が資源を保健対策に回したことで、人身売買に最適な環境が出来、これが利用されたとしている。
米国務省の今年の人身売買に関する報告書では、数カ国が人身売買対策の格付け評価を下げた一方、評価を上げた国々もあった。報告書の発表にあたり、ブリンケン国務長官は、「約25カ国で人身売買の被害者が存在し、その多くは性被害や強制労働、徴兵に苦しんでおりこれは世界的危機だ」等とした。
仲介業者はパンデックにより露呈した脆弱性を素早く見抜きフルに活用したと指摘。インドやネパールでは経済状況悪化のため、貧困層や過疎地の若者が学校をやめて家計を支え結婚させられる等、収入減を補うため強制労働させられるケースもあった。米国等の国では、家賃を払えない時、家主が借主に性的関係を迫ったりするケースもみられた。
取り組みの格付けでは、6カ国(キプロス、イスラエル、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スイス)が最高の「1」から「2」に降格。これは最低限の基準を満たしていないが、基準を満たすようかなりの対策を行っている国となる。一方、ギニア-ビサウとマレーシアの2カ国は、最低評価の「3」に追加された。ベラルーシ、ブルンジ、レソト、パプアニューギニアは「3」から「2」に昇格。米国は、大統領の承認を受ければ、「3」の国々への海外援助を制限する可能性もあるという。
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国連:気候変動と生物多様性は切り離せない問題(2021/06/11)
国連の気候変動と生物多様性に関する政府間パネルは、気候変動への取り組みと生物多様性は切り離せない問題で、多様性を守る対策の多くは気候変動解決にもなると提言している。また、バイオエネルギー作物や、大気中の二酸化炭素回収なども生物多様性へ大きなダメージとなると警告している。
6月10日付
『AP通信』は「国連:地球温暖化対策と同時に多様生物を守るべき」との見出しで以下のように報道している。
10日、国連の気候変動と生物多様性の喪失を調査する科学者による政府間パネルは合同報告書で、世界は地球環境を守るため気候変動と生物多様性喪失の危機に同時に取り組み、どちらか一方ではなく両方を解決する対策を講じなければならないとした。
同時にこれら二つの問題への解決策は存在するが、温暖化問題の解決策の中には動植物の絶滅を早めるものも含まれているとする。...
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6月10日付
『AP通信』は「国連:地球温暖化対策と同時に多様生物を守るべき」との見出しで以下のように報道している。
10日、国連の気候変動と生物多様性の喪失を調査する科学者による政府間パネルは合同報告書で、世界は地球環境を守るため気候変動と生物多様性喪失の危機に同時に取り組み、どちらか一方ではなく両方を解決する対策を講じなければならないとした。
同時にこれら二つの問題への解決策は存在するが、温暖化問題の解決策の中には動植物の絶滅を早めるものも含まれているとする。報告書の著者の一人でドイツのカールスルーエ工科大学の生物学者アルムット・アーネス博士は、「とうもろこしなどのバイオエネルギー作物の利用拡大や大気中の二酸化炭素を除去し回収する方法などの施策があるが、インドの2倍ほどの広大な土地の利用が必要で、生物多様性へ大きなダメージとなる」としている。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でドイツの生物学者Hans-Otto Portner氏は、「気候変動と多様性喪失は、人間社会だけでなく、人間の健康にも脅威を及ぼしている。双方の問題を同時に解決する多くの方法がある」と指摘する。気候変動問題の解決策の中には、生物の多種性を失う可能性のあるものも含まれるが、絶滅を減らす努力は解決策として無駄でないという。
同日付仏『フランス24』(AFP通信引用)は「気候変動問題と生物多様性喪失は同時に取り組むべき課題:国連政府間パネル」との見出しで以下のように報道している。
世界は気候変動と生物多様性喪失という二つの問題へ同時に取り組まなくてはならないと国連専門家委員会が提言。地球温暖化対策として、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が初めて協働し議論を報告書にまとめた。
気候変動と生物多様性喪失という二つの脅威は互いに影響し合っているが、歴史的に別の問題と見なされてきた。報告書では、現在提案されている多くの温暖化対策の多くは自然に悪影響を与えるとしている。これにはバイオエネルギー食物の植え付けも含まれる。また、森林のない場所へ二酸化炭素吸引目的で植林することも生物多様性や食物生産に悪影響となるとしている。
また、報告書では砂漠化や漁業乱獲など、自然を破壊する活動への補助金は停止すべきと結論づけている。同時に、個人の消費習慣の変化の必要性を強調。エコシステムを維持することが最も低費用で最速の気候問題解決策で、穀倉地帯や放牧システムの管理向上は年間30~60億トンの二酸化炭素排出削減と同じ効果があるとする。
IPCCのHoesung Lee委員長は、「気候変動と生物多様性喪失の両方が社会への脅威となる。年々、その影響が増している。この報告書は気候分野と生物多様性の科学者が協力した「重要なステップ」となるとしている。
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